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モード好き必見、パリ4区で開催中のアライアの伝説の2003年コレクションへ。

  • 2025.10.4

パリ4区、ラ・ヴェルリ通り18番地。両開きのグレーの扉の向こうに、テーブル席がリズミカルに置かれた中庭が見える。ここは1987年にアズディン・アライアが購入し、2017年に亡くなるまで、自宅、アトリエ、コレクション発表や展覧会の場としていたゆかりの地。現在はアズディン・アライア財団の本拠地となっている。

マレ地区にあるアズディン・アライア財団。ふたつのAのロゴをあしらった扉の向こうにカフェ、書店、展覧会スペースがある。

財団の特徴は、アライアのアーカイブにとどまらず、モード史上貴重なクチュール作品、デザインやアート作品の蒐集家としても知られた彼のプライベートコレクションを保管・展示していること。過去には所蔵作であるマダム・グレやバレンシアガを、またこの夏には親交の深かったティエリー・ミュグレーの作品をアライア作品とともに比較展示するなど、服飾史の視点を盛り込んだ企画展がモードファンに愛されている。

ガラス張りの大空間ではアライア存命中にも展覧会やショーが行われていた。8月まで開催された『アズディン・アライア/ティエリー・ミュグレー』展より。© Stéphane Aït Ouarab

アライアが亡くなってから手つかずのアトリエには試作品やパターン、布地がそのままに。

2階の展示スペースをお見逃しなく。アライアのアトリエが丸窓越しに見学できる。ブルース・ウェーバーの写真展もこのフロアで。

この秋開催されているのは、彼の50年のクリエイションでも特別な存在となった2003年のコレクションに焦点を当てる展覧会。アライアは1982年にコレクションデビュー。栄光の1980年代を経て1992年にファッションシステムを嫌って表舞台から退いた後、11年ぶりにカムバックした2003年のクチュールコレクションは大評判となった。ボディラインを美しく引き立てるシルエット。ファスナーやハトメ、真っ白なレース。ビュスチエやジャケットの背中にあしらわれたクロコダイル。アライアのモードの集大成ともいえる崇高な作品集は、無駄な装飾を退け、卓越したカッティングで造形された、究極のクチュール。パリのモードを代表するクチュリエの最終章の幕開けを飾った。

2003年1月、ラ・ヴェルリ通り18番地で開催された2003年夏コレクションより。ナオミ・キャンベルが着用したトランスペアレンスの美しいドレス。© Ilvio Gallo

クロコダイルが嵌め込まれたレザーのビュスチエと大きくフレアが広がるスカートのコーディネート。アライアのカッティングが冴える。2003年夏コレクションより。© Ilvio Gallo

22年前にショーが行われたのと同じ会場に、コレクションの全作品と資料、ビデオが一堂に集う。丸窓を通してアズディン・アライアのアトリエが見学できる2階のスペースでは、当時のイタリアン・ヴォーグ誌のために撮影されたブルース・ウェーバーのファッションストーリーも展示される。アズディン・アライアが到達した究極のサヴォワールフェールを体感できる展覧会だ。

中庭のテラス席も気持ちいいカフェLe Aは、友人を招いて食事するのが好きだったアライアを偲んで。ランチタイムにはイタリアンが美味。営)11:00~23:00休)月© Sylvie Delpech

『Azzdine Alaïa, de Silence Sculpté / la Collection Couture 2003』『Bruce Weber / Photographies de la Collection Couture 2003』会期:開催中~11/16アズディン・アライア財団Fondation Azzedine Alaïa 18, rue de la Verrerie 75004 Paris France.+33-(0)1-87-44-87-75開)11:00~18:30最終入場無休料)一般10ユーロhttps://fondationazzedinealaia.org/

*「フィガロジャポン」2025年11月号より抜粋

●1ユーロ=約172円(2025年9月現在)

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