1. トップ
  2. 25年前、都会の夜に響いた“やさしく素直なメロディ” まっすぐな想いを描いた“ドラマの余韻”

25年前、都会の夜に響いた“やさしく素直なメロディ” まっすぐな想いを描いた“ドラマの余韻”

  • 2025.11.9

「25年前の秋、あなたはどんな恋をしていた?」

2000年の東京。街にはデジタルの光が灯り始め、携帯電話の着メロが流行し、CDショップの新譜コーナーにはジャンルの境界を越えたJ-POPが並んでいた。そんな時代の空気の中で、静かに、けれど確かに心を震わせた楽曲があった。

hitomi『キミにKISS』(作詞:hitomi・作曲:多胡邦夫)――2000年11月8日発売

三上博史が主演を務めた日本テレビ系ドラマ『ストレートニュース』のエンディング・テーマとして流れたこの曲は、作品に“希望の余韻”を与える役割を担っていた。

やさしさの中にある“強さ”

hitomiといえば、デビュー当初はデジタルなサウンドとファッション性の高さで知られた存在だった。しかし2000年前後の彼女は、内面にある感情や温度を音楽で表現し始めていた時期でもある。『キミにKISS』は、まさにその転換点に位置する一曲だ。hitomiの“芯のあるやさしさ”を感じる歌声が全体を包む。

サウンドを手がけたのは多胡邦夫。彼は数々の名曲を送り出してきたメロディメーカーであり、感情を過剰に盛り上げず、自然に心へ届く旋律を得意とする。その手腕が、hitomiのまっすぐな声質と出会い、やさしさと強さが同居した名曲を生んだ。

undefined
2001年、グンゼ「ボディワイルド」イメージキャラクター発表会見に登場したhitomi(C)SANKEI

“都会の夜”に寄り添うメロディ

ドラマ『ストレートニュース』は、テレビ局のニュース番組を舞台にした作品だった。物語のラストで流れる『キミにKISS』は、激しさのあとに訪れる静寂のように、登場人物たちの想いを包み込む。

hitomiの歌声は、どこか夜の街の風景と重なる。ネオンの光が遠くで瞬き、タクシーのテールランプが滲む。そんな都会の一瞬の孤独と、確かなぬくもりを感じさせる。

“恋愛ソング”を超えたメッセージ

2000年という時代は、インターネットが一般化し始め、人と人の距離が変わりつつあった時期。そんな中でhitomiが歌ったのは、“誰かにちゃんと想いを伝える”という、最もシンプルで普遍的なテーマだった。

その誠実さが、今もなおこの曲を聴く人の心に残っている。

あれから四半世紀。音楽の形はCDから配信へと移り変わり、hitomi自身も母となり、人生のステージを重ねてきた。それでも『キミにKISS』を聴くと、あの頃の彼女が持っていた“まっすぐな想い”が、今も変わらず息づいているのがわかる。

時代が変わっても、人を想う気持ちは変わらない。この曲は、そのことを静かに教えてくれる。夜の静けさに寄り添うように、そっと口ずさみたくなる。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。