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20年前、90万枚超えの“日常に宿る希望を歌った”前代未聞ソング ポカリスエットのCMから流れた応援歌

  • 2025.10.25

「20年前、あの青い空を、今も覚えてる?」

2005年の夏。街には新しい携帯音楽プレーヤーが溢れ、ポカリスエットのCMから流れる軽やかなメロディが、真っ白な太陽の下を駆け抜けていた。どこかで聴いた瞬間に、“前を向く勇気”がふっと戻ってくるような曲――それが、あの夏の象徴だった。

Mr.Children『未来』(作詞・作曲:桜井和寿)――2005年6月29日発売

この楽曲を含むシングル『四次元 Four Dimensions』は、4曲(5曲目にインストバージョン収録)すべてがタイアップという異例の構成をとった。『and I love you』『ランニングハイ』『ヨーイドン』、そしてその幕開けを飾ったのが『未来』だった。

青空とともにあった“希望のうた”

『未来』は、大塚製薬「ポカリスエット」のCMソングとしてオンエアされた。制服姿の綾瀬はるかと平岡祐太が汗を光らせながら走る映像。まるで日常の一瞬を切り取ったような透明感が、Mr.Childrenの音と溶け合っていた。その光景を思い出すだけで、当時の空気の温度まで蘇る。

Mr.Childrenは確かな円熟に達していた。桜井和寿のボーカルには、叫びもささやきもすべてに、“語りかけるような温度”があった。軽快なテンポに乗せて、心の奥を優しく照らす。派手な構成ではなく、心の輪郭をなぞるようなメロディがこの曲の核心だ。

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ボーカルの桜井和寿-2005年 (C)SANKEI

「日常」の中に宿る希望

2000年代半ば、社会は便利さの中に少しずつ息苦しさを感じ始めていた。当時は人と人が繋がる手段は“言葉”と“音”だった。そんな時代に鳴り響いた『未来』は、誰にとっても“背中を押してくれる”存在だった。

桜井が描くメロディは力強く、ギターのリフが始まった瞬間、「大丈夫」と言ってくれるような優しさが確かにあった。バンドのアンサンブルも過剰にならず、リズムの“抜け感”と空気の“間”が心地よい。

“4曲入りシングル”が示した新しい形

『四次元 Four Dimensions』というタイトル通り、この作品はMr.Childrenにとっての“実験”でもあった。シングルでありながらEPのような構成で、4曲すべてがA面扱いという前代未聞の試み。その中で『未来』は、最も軽やかで普遍的なポップナンバーとして位置づけられた。

累計で90万枚以上を売り上げ、CD不況が始まっていた時代においても突出した数字を記録。だがその数字以上に、聴いた人の“記憶”に残る力が、この曲にはあった。

今も心に残る、“音の温度”

あのイントロを耳にすると、不思議と胸がすっと軽くなる。それは単なる懐かしさではなく、誰の中にもある“未来への不安”にそっと寄り添ってくれる感覚。桜井が歌い続けてきた「希望」や「優しさ」は、時代を超えて変わらない。

「未来」は、Mr.Childrenが放った名曲の中でも、特に“心の奥に残るタイプ”の一曲だ。青春を象徴する曲として、今なお夏の記憶とともに語り継がれている。

あの青い空を見上げるたびに、どこからか「未来」が聞こえてくる。それは20年前の歌なのに、いまの自分にも、ちゃんと寄り添ってくれる。そんな普遍性こそが、Mr.Childrenというバンドの奇跡なのだ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。