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「ベランダ」と「バルコニー」って同じ?“違い”について、1級建築士に聞いた

  • 2025.9.12
「バルコニー」のイメージ
「バルコニー」のイメージ

布団や洗濯物を干したり、椅子を置いてコーヒーやティータイムを楽しんだり、プランターを使って家庭菜園をしたりと、住人によってさまざまな使い方がある「ベランダ」や「バルコニー」。しかし、「どう違うの?」「テラスとは違う?」など、違いについて疑問を持つ人は少なくないのではないでしょうか。そこで、「ベランダ」と「バルコニー」の違いについて、グローバルベイス(東京都渋谷区)のオーダーリノベーション「マイリノ」で設計を担当する1級建築士の長谷川洋子さんと山内淳さんに解説してもらいました。

実は「曖昧」

長谷川さんによると、「ベランダ」は「ポルトガル語の『varanda』に由来し『手すり付きの張り出し部分』」を意味するということです。そして、「一般的には建物の外側に張り出しており、屋根が付いているスペースを指します。アパートや戸建て住宅のベランダは、主に洗濯物を干したり、物置場として使われる事が多くなっています」と説明。さらに、「日本の伝統的な家屋に見られる縁側も、ベランダの一種と考えられます。深い屋根があるため、強い日差しを遮り、雨天時でも使いやすい利点があります。また、プライバシーも確保しやすく、周囲からの視線を気にせずリラックスできる環境が得られます。特に都市部の密集した住宅地では自然を感じられる貴重なスペースになっています」と教えてくれました。

では、一方の「バルコニー」とはどういったものなのか、質問すると、「イタリア語の『balcone』に由来し、『梁(はり)』や『張り出し』を意味します。基本的に『屋根がない張り出し部分』とされますが、実際には上部に屋根やひさしが設置されているスペースもバルコニーと呼ばれる事が一般的です。このため、ベランダとの違いは曖昧になっているといえます」と回答してくれました。

続けて、「特にマンションやアパートなどの集合住宅では、上階のバルコニー床部分が下階の屋根となる構造が一般的で、ベランダと同様の雨よけ効果があります。バルコニーは日当たりや風通しもよく、アウトドア感覚やガーデニングを楽しめるほか、火災時の避難経路としても重要な役割をもっています」と話しつつ、「建築基準法や消防法などの法令では、ベランダやバルコニーのような構造を称して『バルコニー』と表記される事が一般的です」と、丁寧に説明してくれました。

つまり、ポルトガル語とイタリア語という「語源の違い」だということです。

ベランダとバルコニーのほかに、「テラス」や「デッキ」、「縁側」という言葉も見聞きしたりします。そこで、その違いについても聞いてみました。

山内さんによると、縁側は「日本の伝統的な家屋に見られるもので、外と内をつなぐ特有の空間」を指すようです。ベランダやバルコニーは「住宅の外部に付随する『小規模な空間』」で、テラスやデッキは「より広く開放的で、屋外生活の一部として使われることが多い」ということです。

長谷川さんも、テラスやデッキについて「主に戸建てに使われます。マンションでも一階の場合は『テラス』がある事もあります。『デッキ』は主に木材で作られた床面を差す事が多いため、戸建てに使われるものです。『縁側』も同様でマンションにはありません。縁側は戸建ての一階にあり、通路としての役割が主ですが、コミュニケーションの場、休息の場、畳への日差しを遮るためのもの」と言います。

最後に、ベランダやバルコニーを利用する際の注意点についても聞くと、山内さんは「(マンションや集合住宅では)共用部のため、個人的にリフォーム工事などを行うことは禁止されています。また、ウッドデッキ、椅子、物入れといった物を置くことは、消防避難経路としても使用するため、禁じられています」と教示。長谷川さんは「タワーマンションなどの高層階では強風に注意をした方がよいため、洗濯物は干さず、主に室外機置場としての用途にするケースが多いです。物を置いたりする事には注意が必要です」と話していました。

オトナンサー編集部

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