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40年前、日本中が揺れた“ほろ苦い”未練たらたらソング ハスキーボイスが沁みる別れの一曲

  • 2025.10.25

1985年の初夏、アスファルトの熱気に混じって、どこか切ない風が吹き抜けていた。喫茶店の窓辺や、ラジオから流れる音楽が、日常の情景を少しだけドラマチックに見せてくれていた。そんな季節に、恋の終わりを静かに描いた一曲が届く。

サザンオールスターズ『Bye Bye My Love (U are the one)』(作詞・作曲:桑田佳祐)――1985年5月29日発売

どうすることもできない未練を歌ったこの作品は、サザンの多彩な楽曲群の中でもひときわ“ほろ苦い”輝きを放っている。

別れを描いたサザンのメロディ

サザンオールスターズといえば、ユーモラスでアップテンポな楽曲から、しっとりとしたバラードまで幅広く表現するバンドとして知られているが、この曲はその中でも“別れの情感”を色濃く映し出している。

イントロから漂う柔らかな音色は、明るさと切なさが同居しており、聴く人の心を不意に締めつける。桑田のボーカルは感情の奥深くをさらうように響いてくる。派手さではなく、余韻で胸に残る――そんな特性を持つのが、この曲の大きな魅力だ。

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桑田佳祐-1980年撮影 (C)SANKEI

“未練”を音楽に変えた瞬間

歌詞の細部に触れずとも、この曲から伝わるのは「終わった恋を受け入れられない気持ち」そのもの。愛が残っているのに、もう戻れない。そんな状況を描く楽曲は数あれど、『Bye Bye My Love (U are the one)』には独特のやさしさが漂っている。

それは、桑田の声が決して激情をぶつけるのではなく、静かな痛みをそのまま音に乗せているからだろう。聴く人それぞれの心の奥に眠る記憶を、自然に呼び起こしてくれる。

当時のシーンと重なる響き

1985年といえば、街はまだ落ち着いた華やかさに包まれていた。アイドルブームのさなかにあり、華やかさや派手さが音楽シーンを支配していた一方で、こうした“ほろ苦さを抱えたラブソング”も確かに人々の心に寄り添っていた。

シングル盤のジャケットやアレンジの繊細な作り込みも含めて、『Bye Bye My Love (U are the one)』はサザンの表現の幅を感じさせる1曲だった。当時から彼らは“夏”や“海”といったイメージだけにとどまらず、内面を深く掘り下げるラブソングを生み出していたことがわかる。

余韻として残る、あの夏の情景

40年経った今でも、『Bye Bye My Love (U are the one)』を耳にすると、不思議と夏の黄昏時が蘇る。夕暮れの街角、どこかで聴こえてくる曲に、ふと立ち止まってしまうような感覚。

恋の終わりは悲しいのに、音楽として聴くと懐かしい温度を帯びている。 それこそが、この曲が長く愛され続ける理由だろう。

別れの歌は時代ごとに数多く生まれるが、ここまでやわらかく、そして普遍的に響くものはそう多くない。サザンが描いた“未練のメロディ”は、あの夏を知る人だけでなく、今の世代にもそっと沁みていく。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。