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35年前、ランキング1位を飾った“硬質だけどドラマチックな”切迫ソング ポップ→ハードロックに一転した“高速ビート曲”

  • 2025.10.10

1990年の秋、街を歩けばCDショップの看板が光り、最新のポップスが絶えず流れていた。バブルの余韻をまだ引きずりながらも、どこかで「次の時代の気配」を探していた日本。そんな空気を切り裂くようにして、ひとつのカウントダウンが鳴り響いた。

TMN『TIME TO COUNT DOWN』(作詞:小室みつ子・作曲:小室哲哉)――1990年9月28日発売

それは、「TM NETWORK」から「TMN」へと名を改めた彼らの第一弾シングルであり、次の時代への宣言だった。

名前を変えて放たれた新しい衝撃

すでに『Get Wild』や『SEVEN DAYS WAR』などで80年代の音楽シーンを席巻していたTM NETWORK。だが1990年、彼らは「TMN」へと名を変えた(現在はふたたびTM NETWORKに)。

ネットワークという柔らかさを取り払い、よりハードで直線的な響きへ――その象徴として放たれたのが、この『TIME TO COUNT DOWN』だった。

CMソングとしてテレビからも流れたこの曲は、冒頭のピアノの速弾きで一気に空気を掴み、続くディストーションギターとツーバスドラムが刻む”ドコドコ音”の高速ビートで、従来のTM像を鮮烈に塗り替えていく。シンセを駆使したポップサウンドの旗手だった彼らが、一転してハードロックに肉迫するサウンドを打ち出したこと自体が、当時のリスナーに大きな衝撃だった。

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1990年、「TM NETWORK」から「TMN」にリニューアルを発表したTMN (C)SANKEI

楽曲の核心に宿る“切迫感”

この曲の魅力は、なんといっても「時間が迫ってくる」ような緊張感だ。イントロから一気に走り出すピアノのフレーズは、聴き手の心拍数を強制的に引き上げる。ギターは荒々しく、ドラムは絶えず前へと突き進む。タイトル通り、まさに「カウントダウン」の刻みを音にしたかのようだ。

そこに小室みつ子の詞が乗ることで、サウンドとメッセージが呼応する。音と言葉が同時に「迫るもの」を感じさせるこの構造こそ、90年代を予感させる小室サウンドの原型だった。

アルバム『RHYTHM RED』への布石

『TIME TO COUNT DOWN』は、のちにアルバム『RHYTHM RED』にも収録される。このアルバム全体が、それまでのTMとは一線を画すロック色の強い作品であり、その先駆けとしての役割を果たした。また、シングルとしてもランキング初登場1位を飾り、クォーターミリオン(25万枚)を超えるセールスを記録。リニューアル後の第一弾ながら、その挑戦的な内容がしっかりとリスナーに受け止められたことを示していた。

時代を駆け抜けた余韻

「カウントダウン」は未来への合図。 1990年という節目に放たれたその音は、のちの小室ブームの扉を開く始まりの鐘でもあった。

今聴いてもなお、胸をざわつかせる切迫感と疾走感。あの時代が求めた「変化への衝動」が、この曲の中に確かに刻まれている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。