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「泣きたくなる」25年後も色褪せない“希望を運ぶラストシングル”「切ないけど勇気付けられる」架け橋の一曲

  • 2025.10.4

「25年前、あなたはどんな音楽に心を預けていた?」

2000年2月。街にはまだ冷たい風が残り、吐く息が白く夜の街灯に溶けていく。雑誌やテレビは2000年代を意識した特集で溢れ、どこかぎこちない未来の予感が漂っていた。そんな時代の空気をまといながら、しっとりとした旋律が人々の耳に届いた。

Every Little Thing『sure』(作詞:持田香織・作曲:Every Little Thing)――2000年2月16日発売

この曲は、グループの大きな節目にリリースされた特別なシングルだった。

変化の予感を孕んだラストシングル

『sure』は、クォーターミリオン(25万枚)を超えるセールスを記録したEvery Little Thingのシングルの中でも特別な位置を占める。なぜなら、五十嵐充在籍時最後のシングルだったからだ。翌月に発売されたアルバム『eternity』をもって五十嵐は脱退し、グループは新しい形へと進んでいく。

それまでのELTは、ほぼすべての楽曲制作を五十嵐が担っていた。だがこのシングルからは、持田香織や伊藤一朗も制作に深く関わり始める。表題曲『sure』はELT名義での作曲、カップリング曲『switch』は持田が作詞、伊藤が作曲・編曲を手がけている。「ELTの第二章」が幕を開ける、その最初の一歩を示した作品だったのだ。

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ボーカルの持田香織-1998年撮影 (C)SANKEI

柔らかく、でも確かな響き

『sure』の最大の魅力は、そのサウンドが放つ柔らかさにある。ピアノ系のキーボード、感情を揺さぶるギター、そこに透明感のあるストリングスやシンセサウンドが重なり、冬の街に静かに降る雪のように耳へと舞い降りてくる。そこに持田香織の繊細なボーカルが溶け合い、聴く人の心に余白を残すような余韻をつくり出していた。

メンバー3人の良さが活かされた緻密なアレンジと、そこへ吹き抜ける新しい息吹。その二つが交わることで、過去と未来が同じ時間に存在しているかのような不思議な響きを持った。まさに、転換期を象徴するサウンドだった。

受け継がれた思いとその先へ

『sure』は日本テレビ系ドラマ『バーチャルガール』の主題歌にも起用された。当時のテレビドラマは音楽の広がりに大きな影響を与えており、この楽曲もその存在感を一層強めた。物語の余韻とともに流れることで、リスナーの記憶により深く刻み込まれていった。

五十嵐の脱退は、ファンにとっても大きな出来事だった。作詞・作曲をメインで担ってきた存在がいなくなることで、グループがどう変わるのか不安も広がった。だが同時に、このシングルが示したように、持田や伊藤が自らの音楽を形にしていく可能性も開かれていた。

『sure』は、過去のELTを締めくくりながらも未来への期待を静かに描いた作品だった。切なさと希望が同居するこのバラードは、ファンにとって「別れ」以上に「出発」を感じさせる一曲となったのだ。

25年後に残る余韻

時が流れ、CDを手に取る習慣が減った今でも、『sure』の持つ柔らかな響きは色褪せない。五十嵐が残した緻密な音の設計、そして持田と伊藤がこれから築いていく未来。その両方を一つに閉じ込めたこのシングルは、まさに「架け橋のような音楽」だった。

冬の夜、街のざわめきが一瞬やむ瞬間。ふと聴こえてくる『sure』は、25年前のあの空気と、これからの希望を同時に運んでくる。僕らがどこへゆこうとも、時代を超えて響く静かな祈りのように、今も耳に残り続けている。

現に令和7年を迎えた今「泣きたくなる」「いつまで経っても色褪せない」「切ないけど勇気付けられる」など評するこえが少なくない。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。