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「いつまでも記憶に残る」20年後も愛される“ストリングスの音色”が焼き付くロックバラード「胸の奥から揺さぶられる」名曲

  • 2025.10.4

「20年前の冬、あなたはどんな音楽に心を預けていた?」

2005年。街のコンビニや駅前の有線から流れるのは、その時代を象徴するヒット曲の数々。寒空の下、学生がイヤホンで聴く音楽、社会人が帰宅途中に耳にする旋律。そんな日常の風景に、強く焼き付いた一曲があった。

Janne Da Arc『月光花』(作詞・作曲:yasu)――2005年1月19日発売

闇に浮かぶ“月光”のような存在感

『月光花』は、手塚治虫原作のアニメ『ブラック・ジャック』(日本テレビ系)のオープニングテーマとして放送され、瞬く間に全国へ広まった。作品の重厚でドラマティックな世界観に寄り添いながらも、単なるアニメ主題歌にとどまらず、「時代の空気を切り取ったロックバラード」として受け止められたのがこの曲だった。

yasuの描く旋律は、夜空に浮かぶ月の光のように淡く、しかし確かな輪郭を持って聴き手の心に届く。彼の声は力強さと儚さを同時に含み、聴く者の感情を静かに揺さぶった。これまでの派手なロックナンバーとは違い、内面に寄り添うバラードであったことが、多くの人の記憶に残る理由だった。

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Janne Da Arc-2005年撮影 (C)SANKEI

ストリングスが描く劇的な景色

この楽曲の魅力を際立たせたのは、ストリングスを前面に押し出した編曲だ。エレキギターやドラムの重厚なリズムの上に、オーケストラのような響きが重なることで、壮大なスケール感が生まれている。ロックバンドが持つ衝動性と、クラシック音楽が持つ格調の高さ。その二つが交わった瞬間、「ロックとクラシックが共鳴する特別な一曲」となった。

イントロから立ち上がる旋律は、アニメの世界とシンクロしながら、聴き手を一気に物語へと引き込んでいく。結果として、『月光花』はアニメファンに留まらず、幅広いリスナーに愛される楽曲へと成長していった。

バンドが迎えた転換点

Janne Da Arcは1999年に『RED ZONE』でメジャーデビューを果たし、ビジュアル系の流れを汲みつつ、ポップなメロディセンスを持ち味に数々の楽曲を世に送り出してきた。その中で『月光花』は、成熟したバンドの姿を提示した一曲だった。

2000年代半ばは音楽の聴き方が大きく変わり始めた過渡期だった。配信サービスが広がりを見せる中で、まだ多くの人がCDを手に取り、歌詞カードを読み込みながら音楽を楽しんでもいた。CDでの売り上げが30万以上のセールスを記録した『月光花』は、単なる楽曲以上に、「あの時代を象徴する風景」を思い起こさせる役割を果たしている。

余韻として残るもの

20年という時間が過ぎても、『月光花』を耳にすれば、当時の夜の街並みや、テレビの前で見たアニメの一場面が鮮やかに蘇る。月の光が静かに照らすように、この曲は聴き手の心に寄り添い続けている。

令和7年を迎えた今もなお「あまりにも神曲」「ヴァイオリンから始まるイントロがすごい」「いつまでも記憶に残る」「胸の奥から揺さぶられる」など評する声が少なくない。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。