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「メロディ切なくて…」30年後も胸を焦がす“激シブな都会派ソング” 「ドラムがかっこいい」“未来を予感させる一曲”

  • 2025.10.3

「30年前の春、あなたはどんな景色を見ていた?」

1995年4月。街には新生活を迎えた人々のざわめきがあふれ、満開の桜が散りゆく中で、新しい時代の風が確かに吹いていた。雑誌やラジオ、テレビの音楽番組からは、華やかさと共に少しずつ次の流れを予感させるサウンドが響いていた。その中心に現れたのが、都会的で洗練されたラブソングだった。

ORIGINAL LOVE『夢を見る人』(作詞・作曲:田島貴男)――1995年4月28日発売

アルバム『RAINBOW RACE』に先駆けて届けられたこのシングルは、彼らのバンド時代としては最後の作品となった。次のシングル『プライマル』からは田島貴男のソロユニットとしての歩みが始まるため、この曲には“ひとつの終幕と新たな始まり”が交錯する特別な響きが宿っていた。

移ろう街に溶け込むメロディ

『夢を見る人』は、R&Bやソウルの要素を柔らかく取り込みながらも、ポップスとしての輪郭を鮮明に描いた一曲だった。軽やかなリズムと洒脱なコード進行が、夜の街を歩くときにふと口ずさみたくなるような余韻を残す。田島貴男のボーカルは甘く、しかし都会の冷たさも併せ持ち、聴く人の心に“都会で生きる人間の孤独と希望”を同時に呼び覚ますような力を持っていた。

シンプルでありながら奥行きのあるアレンジは、ジャズクラブの静けさと、ラジオから流れる大衆性のちょうど真ん中に位置するような独特の響きを放っていた。そのバランス感覚こそが、オリジナル・ラブの持ち味だったといえるだろう。

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ORIGINAL LOVE・田島貴男-2006年撮影 (C)SANKEI

魅力の核心にあるもの

この曲の核となっているのは、田島貴男のソングライティングの美しさだ。流れるようなメロディは決して派手ではないが、繰り返し聴くうちに胸の奥に静かに沁み込んでくる。歌声は熱を帯びすぎず、かといって突き放すこともなく、絶妙な距離感を保っている。

それは、まるで夜景を遠くから眺めるような感覚だ。手を伸ばせば届きそうでいて、決して掴みきれない。その“もどかしさ”こそが、90年代半ばの都会的な空気と強く結びつき、聴く人に長く残る余韻を与えている。

バンドからソロへ、時代の転換点

『夢を見る人』が持つもうひとつの意味は、オリジナル・ラブにとっての転換点であることだ。1980年代後半から90年代前半にかけてバンドとして活動を広げてきた彼らだが、このシングルを最後に、田島貴男のソロユニットへと姿を変える。

ソロ以降に広がるであろう個人の色彩の両方を予感させる『夢を見る人』。過去と未来を繋ぐ橋のような役割を担った一曲といえるだろう。

今もなお響き続ける夢の余白

都会の孤独も、未来への期待も、聴く人の解釈に委ねられる余白を持っている。その余白があるからこそ、聴く人の心の状態によって表情を変える“永遠の名曲”になったのだろう。

バンドの終幕を告げると同時に、新しい旅の始まりを予感させたこの一曲。あの頃の街角で響いていた旋律は、30年経った今も変わらず、夜の空気の中にそっと漂い続けている。

30年後の今もなお「ホントにメロディは切なくて、でも歌詞は力強くて…」「ドラムがかっこいい!」「未来に向けてのわくわく感が伝わって来ます」など評する声が少なくない。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。