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「あまりにも切ない」「イントロで涙」20年後も心を揺さぶる“洗練された上品ラブソング” 圧倒的静けさの“恋愛映画主題歌”

  • 2025.10.2

「20年前の冬、あなたはどんな音楽に耳を傾けていた?」

2005年1月。駅前のイルミネーションが冬空の下で美しく、冷たい空気の中で人々の吐く息が白く揺れる。そんな都会の静けさの中で、映画館から流れてきたのが、心を深く揺さぶるような一曲だった。

山下達郎『FOREVER MINE』(作詞・作曲:山下達郎)――2005年1月19日発売

静けさの中に響く愛の言葉

映画『東京タワー Tokyo Tower』の主題歌として書き下ろされた『FOREVER MINE』は、ピアノとストリングスを主役に据えた気品あふれるバラードだった。

余分な装飾を削ぎ落としたサウンドは、旋律の一音一音を際立たせ、まるで映像のワンカットを切り取ったかのような余韻を残していく。聴く者は自然と心を内側へと向けられ、愛という言葉の意味を改めて問い直されるような感覚を味わう。

達郎が示した“もうひとつの表情”

山下達郎といえば、1970年代から日本のニューミュージックを象徴し、夏や海を想起させる爽やかなナンバーから、深く沁み入るバラードまで数多くの名曲を生み出してきた存在だ。そんな彼が2005年に発表した『FOREVER MINE』は、そのキャリアの中でもひときわ気品に満ちた作品といえる。

ボーカルは時に力強く、時に落ち着いたトーンで愛を紡ぐ。その声に寄り添うように、ピアノと弦楽器が丁寧に重なり合い、語りかけるのではなく祈りのように響いていく。シンガーソングライターとしての達郎が、キャリアの中で培った幅広い表現力を研ぎ澄ませた結果、この楽曲はひときわ強い余韻を残す作品となった。

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山下達郎-1991年撮影 (C)SANKEI

映画と寄り添った時間の記憶

『東京タワー Tokyo Tower』は江國香織の小説を原作とした映画で、大人の恋愛を繊細に描いた作品。その主題歌として流れた『FOREVER MINE』は、映像の余韻を静かに受け止め、観客の感情を柔らかく包み込んだ。

映画館でエンドロールにこの曲が重なると、場内がしばらく動けなくなるような静寂に包まれたことだろう。音楽が映像を超え、ひとつの記憶として胸に残る瞬間を体験した人は多かったと思う。

今も冬の空気に溶け込む旋律

20年という年月が流れても、冬の夜にふと耳にすると、あの頃の空気や街の景色が蘇る。ピアノとストリングスが織りなす静謐な響きは、聴く人にとっての大切な人や忘れがたい記憶を優しく照らし出す。

『FOREVER MINE』は、派手さではなく余白で語る楽曲。だからこそ、人生の節目や静かな夜にふと寄り添ってくれる。愛の歌がこれほどまでに“静けさ”をまとって心に響くことを教えてくれた一曲として、今なお大切に聴き継がれている。

現に令和7年を迎えた今、「イントロでポロポロ涙出てきて…」「とても刺さる」「あまりにも切なくて号泣」など評する声も少なくない。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。