1. トップ
  2. 「こんな名曲だったとは!」35年経ってもキュンとする“戸惑いの青春ソング” アイドル冬の時代に輝いた“ノンタイアップ曲”

「こんな名曲だったとは!」35年経ってもキュンとする“戸惑いの青春ソング” アイドル冬の時代に輝いた“ノンタイアップ曲”

  • 2025.9.21

「35年前、あなたはどんな気持ちで“恋の始まり”を感じていた?」

1990年の街角は、バブルの余韻をまだ引きずっていた。雑誌の表紙はカラフルに並び、夜の繁華街は明るいネオンに照らされていたが、その華やかさの影で、人々の心には「この先はどうなるのだろう」という淡い不安が忍び寄っていた。

そんな時代のすき間に流れていたのが、少し背伸びをしながらも照れくさい、青春の胸の内を映したような一曲だった。

CoCo『はんぶん不思議』(作詞:及川眠子・作曲:岩田雅之)——1990年1月24日発売

乙女塾が描いた“青春の群像”

CoCoは、フジテレビ系『パラダイスGoGo!!』内のタレント育成プロジェクト「乙女塾」から誕生した5人組のアイドルグループ。宮前真樹、羽田惠理香、三浦理恵子、瀬能あづさ、大野幹代というフレッシュなメンバーで活動を開始した。

当時のアイドルシーンは、80年代の華やかなブームを経て「アイドル冬の時代」と呼ばれる局面に差し掛かっていた。しかし、その逆境の中で登場したCoCoは、身近で等身大のキャラクター性を武器に人気を集めた。乙女塾からは後にribbonも誕生し、彼女たちと共に新たな時代を築き上げていったのである。

undefined
1994年8月、ファイナルコンサートで歌うCoCo (C)SANKEI

青春のきらめきをすくった“半分だけの不安”

『はんぶん不思議』の歌詞を開けば、夕暮れの川べり、図書館、学校の帰りの道といった光景が鮮やかに浮かび上がる。恋のときめきと、まだ手に入れていない未来への戸惑い。その二つの感情がないまぜになった心の揺れを、及川眠子は繊細に描き出した。

メンバーが歌うその声は、技巧に頼ることなく、まっすぐに響く。特に三浦理恵子の「あなた意地悪」の部分は印象的だ。だからこそ、聴き手は自分の青春を重ね合わせてしまう。ちょっとした仕草や言葉に心が動いたあの頃の気持ちが、歌声を通して鮮やかによみがえる。

作曲を手がけた岩田雅之の旋律は、軽やかで耳なじみのよいポップさを持ちながらも、サビに向けて徐々に胸を高鳴らせる仕掛けが施されている。シンプルだからこそ、メンバーの歌声と歌詞の情景がより際立っていく。

時代を超えて息づく“甘酸っぱい記憶”

CoCoにとって2枚目のシングルとなった『はんぶん不思議』は自身最大のセールスを記録したシングルである。派手なタイアップがあったわけではないのに、ラジオや音楽番組を通じてじわじわと浸透していった。この曲の成功によって、CoCoは単なる新人グループから本格的に“時代のアイドル”として認知されることとなり、彼女たちの存在感は一気に広がっていった。

2011年には中川翔子がこの曲をカバーし、再び脚光を浴びた。新しい世代の歌声によって蘇った『はんぶん不思議』は、オリジナルを知る世代には懐かしさを、初めて触れる世代には新鮮な共感を与えた。

つまり、この曲が持つ普遍性は、「アイドル冬の時代」を象徴する一曲であると同時に、時代を超えて共感を呼ぶ“青春のラブソング”だったということだ。

今も心に残る“あの頃のときめき”

『はんぶん不思議』を聴くと、放課後の帰り道、友達と並んで歩いた日々、ふとした沈黙に流れる胸の高鳴りが甦る。大げさではないけれど、確かに心を動かしてくれる。そんな小さなときめきの連続こそが、青春そのものだったのだ。

はにかみと勇気の間で揺れる少女たちの歌声は、今もなお色褪せずに響き続けている。「こんな名曲だったとは!」「これぞ!本物のアイドル!」と、35年経った今も愛される一曲だ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。