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「今聴いても新鮮!」「メロディが天才」35年後も心を奪う“タイトル拒否ソング” 16歳の少女が放った“未完成の輝き”

  • 2025.9.20

「35年前のあの日、あなたはどんな気持ちで音楽を聴いていた?」

1990年、バブルの余韻はまだ街を照らし、ネオンは夜を眠らせなかった。ブランドの紙袋を抱えた人々が行き交う街角には、きらびやかで勢いに満ちた空気があった。

だが、その華やぎの陰で、社会には得体の知れない不安が忍び寄っていた。雑誌やテレビの賑やかさに身を委ねながらも、心の奥では未来への戸惑いを抱いていた人も多かっただろう。

宮沢りえ『NO TITLIST』(作詞:川村真澄・作曲:小室哲哉)——1990年2月15日発売

前年に『ドリームラッシュ』で鮮烈なデビューを飾った彼女が挑んだセカンドシングルは、自身が主演を務めたフジテレビ系ドラマ『いつも誰かに恋してるッ』の主題歌として、多くの耳に届いた。

小室サウンドに宿る“都会のまなざし”

この楽曲の最大の特徴は、やはりプロデューサー・小室哲哉の手腕にある。前作『ドリームラッシュ』に続き、作詞家・川村真澄と再びタッグを組んだことで、2作連続で“小室×川村”という強力な布陣が揃った。

実はこの組み合わせは、渡辺美里『My Revolution』を生んだ黄金コンビでもある。80年代を代表する名曲を手がけたタッグが、今度は宮沢りえに託した——そう考えると、この曲が持つ特別さがより鮮明に浮かび上がってくる。

『NO TITLIST』は、シンセを軸にした都会的で洗練されたポップサウンドが特徴的だ。前作の弾けるような明るさに比べると、やや抑えめのテンポ感で、きらびやかさの中にほんのりとした切なさが漂う。

シンプルながらも計算されたコード進行と音の重なりは、聴き手に浮遊感を与え、派手さよりも余韻で心を惹きつける仕上がりとなっていた。

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いつも誰かに恋してるッ』の続編となるドラマ『いつか誰かと朝帰りッ』制作発表に登場した宮沢りえ-1990年撮影 (C)SANKEI

未完成だからこそ響いた“若さの声”

当時まだ16歳という若さだった宮沢りえのボーカルは、技巧的な完成度よりも、年齢ゆえの真っ直ぐさが際立っていた。歌声はどこか不安定で、それゆえに聴く人の胸をまっすぐ射抜く力を持っていた。煌びやかな編曲に寄り添いながらも、無垢な響きが残る。そのアンバランスさこそが、この曲を特別なものにしている。

ドラマの中で見せた等身大の演技と、この歌声がリンクすることで、彼女自身の姿が“フィクションと現実の境界”を越えてリスナーの心に投影されたのだ。

初登場1位と25万枚の証明

『NO TITLIST』はリリースと同時にランキング初登場1位を記録し、クォーターミリオン(25万枚)を超えるセールスを達成した。ドラマの世界観とリンクした楽曲は自然と広がり、90年代初頭の音楽シーンにしっかりと爪痕を刻んだ。

当時の小室哲哉はTRFやglobe以前。だが、すでに“時代を先取りする旋律”を描き始めていたことが、この楽曲からも感じ取れる。

“タイトルを拒む”という若さの宣言

歌詞では「No No Imitation」が繰り返され、誰かの真似ではなく、自分自身の感覚で生きることが強調されている。そして「今は自分にタイトルなんて つけたくないよ」というフレーズに象徴されるように、肩書きや称号に縛られない“若さの自由宣言”として響いていたのだ

まだキャリアの入り口に立っていた宮沢りえにとって、このタイトルは偶然ではなく必然だったのかもしれない。のちに映画や舞台で大女優へと成長していく彼女の姿を思えば、この曲は“無冠”であることを恐れず、自分自身であり続ける姿勢を示した原点のひとつとして刻まれている。

華やかさの中に漂う未完成の煌めき。その儚さこそが、時代を映し出した“90年のポップソング”として、今もなお胸に残り続ける理由なのだ。

SNSでも「小室哲哉の最高傑作」「メロディが天才」「やっぱりこの曲!」「今聴いても新鮮!」といった声が今もなお絶えない。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。