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ディオールにボッテガ・ヴェネタ、シャネルにヴェルサーチェ。続々とお披露目される、新任クリエイティブ・ディレクターによるニューデザイン

  • 2025.9.3
『フランケンシュタイン』のプレミアでのジェイコブ・エロルディ。着用しているのはボッテガ・ヴェネタのタキシード。
"Frankenstein" Red Carpet - The 82nd Venice International Film Festival Jacob Elordi『フランケンシュタイン』のプレミアでのジェイコブ・エロルディ。着用しているのはボッテガ・ヴェネタのタキシード。

2025年のファッションといえば、次々と発表されるデビューコレクション。そして第82回ヴェネチア国際映画祭で、新任クリエイティブ・ディレクターやアーティスティック・ディレクターによるデザインをお披露目することが、どうやらメゾンの間でトレンドとなっているようだ。

今年はすでに、ジバンシィGIVENCHY)、ランバンLANVIN)、セリーヌCELINE)がそれぞれサラ・バートンピーター・コッピングマイケル・ライダーによるコレクションを初出し。ジョナサン・アンダーソンは2026年春夏メンズ・ファッションウィークでディオールDIOR)での初コレクションを発表し、グレン・マーティンスは2025-26年秋冬オートクチュールコレクションで、メゾン マルジェラMAISON MARGIELA)のクリエイティブ・ディレクターとしてデビューを果たした。そして来たる2026年春夏ファッションウィークも、デビューショーが目白押しだ。ルイーズ・トロッターによるボッテガ・ヴェネタBOTTEGA VENETA)、ダリオ・ヴィターレによるヴェルサーチェVERSACE)、デムナによるグッチGUCCI)。ピエールパオロ・ピッチョーリが手がけるバレンシアガBALENCIAGA)に、デュラン・ランティンクが手がけるジャンポール・ゴルチエJEAN PAUL GAULTIER)。ミゲル・カストロ・フレイタスが指揮するミュグレーMUGLER)。ジャック・マッコローとラザロ・ヘルナンデスが率いる新生ロエベLOEWE)も始動し、マチュー・ブレイジーのもとで、シャネルCHANEL)も新たなスタートを切る。

そんな注目すべきシーズンの開幕まであと数週間だが、セレブやメゾンのアンバサダーたちは、ここぞとばかりに映画祭のレッドカーペットやフォトコールなどで、新生ブランドのルックを先出ししている。

レッドカーペットルックから垣間見える、各メゾンの新章

ボッテガ・ヴェネタのアンバサダーに新たに任命されたヴィッキー・クリープス。
"Father Mother Sister Brother" Red Carpet - The 82nd Venice International Film Festivalボッテガ・ヴェネタのアンバサダーに新たに任命されたヴィッキー・クリープス。
ボッテガ・ヴェネタのオールホワイトルックで、記者会見に参加したジェイコブ・エロルディ。
"Frankenstein" Photocall - The 82nd Venice International Film Festivalボッテガ・ヴェネタのオールホワイトルックで、記者会見に参加したジェイコブ・エロルディ。

以前からボッテガ・ヴェネタ好きとして知られているジェイコブ・エロルディは、クリエイティブ・ディレクターがトロッターに変わった今も、ボッテガ・ヴェネタ信者のようだ。ヴェネツィア・マルコポーロ空港に降り立った際の彼は、愛用の「カバ」や、メゾンの代名詞である「イントレチャート」仕立ての大きなスーツケースなど、ブランドのバッグを一式携えていた。その後、映画祭では、もうじき発表されるトロッターの初コレクションを仄めかすルックの数々に身を包んだ。ある日は「B.V.」と刺繍されたチェックのシャツと、カーキのプリーツパンツで登場し、また別の日の記者会見には、ゆったりとしたテーラードシャツにトリプルプリーツボトムという、ヨーロッパらしいオールホワイトルックで出席。また、自身が主役を演じるギレルモ・デル・トロ監督の『フランケンシュタイン』のプレミアには、洗練されたダブルブレストのタキシードに、「ローマ」レースアップシューズという装いで現れた。

そして9月1日(現地時間)、5月のカンヌ国際映画祭でトロッターによるカスタムメイドの衣装をさりげなく披露していた、映画『Father Mother Sister Brother(原題)』出演俳優のヴィッキー・クリープスが、正式にボッテガ・ヴェネタのアンバサダーに就任したことが発表された。今回のヴェネチア国際映画祭で、彼女はすでにオリーブグリーンのレザーシャツとバミューダショーツからなるルックなどをフォトコールで着用。プレミアでは彫刻のようなドレープが美しい、レザートリミングのブラックドレスを纏い、「ラナ」ミュールや「イントレッチオ」イヤリングといったメゾンのシグネチャーアクセサリーでコーデを仕上げた。

これらのルックからは、トロッターが手がけるボッテガ・ヴェネタが、イタリアのクラフツマンシップに焦点を当てたものになることが見てとれる。曲線的で繊細なフォルムや、緻密なテーラリングは新鮮ながらも、メゾンの巧みなテクシャー使いと美学を損なっていない。

ダリオ・ヴィターレによる初のヴェルサーチェのルックを披露したジュリア・ロバーツ。
"After The Hunt" Photocall - The 82nd Venice International Film Festival Julia Robertsダリオ・ヴィターレによる初のヴェルサーチェのルックを披露したジュリア・ロバーツ。
アマンダ・サイフリッドは、ロバーツが身につけたのと同じヴェルサーチェのルックを着ることを自ら希望。
"The Testament Of Ann Lee" Photocall - The 82nd Venice International Film Festival Amanda Seyfriedアマンダ・サイフリッドは、ロバーツが身につけたのと同じヴェルサーチェのルックを着ることを自ら希望。

新生ボッテガ・ヴェネタに続いてお披露目されたのが、ダリオ・ヴィターレ率いるヴェルサーチェの新作だ。『After the Hunt』で主演を務めるジュリア・ロバーツが披露したカスタムのファーストルックは、ブルーのウールブレザーにストライプのシャツ、ストレートレッグデニムという、90年代風の洗練されたスタイル。そしてその数日後、今度はアマンダ・サイフリッドが全く同じ装いで別のフォトーコールに登場した。サイフリッドが自らロバーツのスタイリストに頼み、ルックを借りたという。同じコーデを同じイベントで着まわすことは、ある意味サステナブルな服の着方なのかもしれないし、同時にインパクトを残した。ただ、ドナテラ時代のヴェルサーチェに見られた、大胆な色使いとプリントのピースとは対極的な、かなりシンプルな仕上がりのルックではある。また、ロバーツはプレミアでも、ヴィターレが手がけたアトリエ ヴェルサーチェATELIER VERSACE)のカスタムドレスを着用。ネイビーのクレープ・デ・シンから作られたこのロングガウンも、やはり派手というよりも、タイムレスでグラマラスな魅力を放つ。

ディオールのカスタムドレスでレッドカーペットに登場したミア・ゴス。
"Frankenstein" Red Carpet - The 82nd Venice International Film Festivalディオールのカスタムドレスでレッドカーペットに登場したミア・ゴス。
ジョナサン・アンダーソンが手がける、初のディオールのクチュールピースを着用したアルバ・ロルヴァケル。
"Jay Kelly" Red Carpet - The 82nd Venice International Film Festivalジョナサン・アンダーソンが手がける、初のディオールのクチュールピースを着用したアルバ・ロルヴァケル。
ロエベ時代からジョナサン・アンダーソンのピースを着ているグレタ・リーも、ヴェネチア国際映画祭ではディオールを着用。
Celebrity Sightings - Day 4 - The 82nd Venice International Film Festivalロエベ時代からジョナサン・アンダーソンのピースを着ているグレタ・リーも、ヴェネチア国際映画祭ではディオールを着用。
モニカ・バルバロも、ディオールのカスタムクチュールドレスを纏って出席。
"After The Hunt" Red Carpet - The 82nd Venice International Film Festivalモニカ・バルバロも、ディオールのカスタムクチュールドレスを纏って出席。

10月のパリ・ファッションウィークで、ディオールのクリエイティブ・ディレクターとしての初ウィメンズウェア・コレクションを発表する予定のジョナサン・アンダーソンは、本映画祭ではモニカ・バルバロアンドリュー・ガーフィールドグレタ・リー、ミア・ゴス、そしてアルバ・ロルヴァケルのためにルックを手がけた。バルバロとロルヴァケルには、カスタムのクチュールルックを制作し、どちらも構造と生地、ともに歴史からインスピレーションを受けている。日中のイベントとレッドカーペットに登場した数々の衣装はどれも、緻密なテーラリングとクラシックなシルエットに、アンダーソン流のひねりが加えられたもので、そこに彼はさらに、20世紀初頭の社交界を思わせる甘やかな雰囲気や、ニュールック時代のシェイプをプラス。自身のブランド、ジェイ ダブリュー アンダーソンJW ANDERSON)とロエベ在籍時代に培った独特のタッチとDNAは、ここでも健在だ。

シャネルのベルベットガウンをレッドカーペットで纏ったフェルナンダ・トーレス。
"Frankenstein" Red Carpet - The 82nd Venice International Film Festivalシャネルのベルベットガウンをレッドカーペットで纏ったフェルナンダ・トーレス。
エディバリーが身につけた赤いガウンは、1986-87年秋冬コレクションで発表されたドレスを再現した1着。
"After The Hunt" Red Carpet - The 82nd Venice International Film Festivalエディバリーが身につけた赤いガウンは、1986-87年秋冬コレクションで発表されたドレスを再現した1着。
シャネルのクラシックなスーツを再解釈したルックも披露。
Ayo Edebiri "After The Hunt" Photocall - The 82nd Venice International Film Festivalシャネルのクラシックなスーツを再解釈したルックも披露。

また、マチュー・ブレイジーが手がけるシャネルの新作も、アイオウ・エディバリーやフェルナンダ・トーレスによってお披露目され、ブレイジーがいかにメゾンのアーカイブを重んじているかが感じ取れる。トーレスはロマンティックなブラックのベルベットガウン、エディバリーは1986-87年秋冬コレクションで発表されたドレスを再現した真っ赤なガウンと、テクスチャーが目を引くクラシックなホワイトのセットアップに身を包んだ。

新生メゾン マルジェラのピースを、いち早くオフランウェイで纏ったセレブのひとりのケイト・ブランシェット。
"Father Mother Sister Brother" Red Carpet - The 82nd Venice International Film Festival新生メゾン マルジェラのピースを、いち早くオフランウェイで纏ったセレブのひとりのケイト・ブランシェット。

グレン・マーティンスが率いる新生メゾン マルジェラは昨季すでにデビューしているが、ヴェネチア国際映画祭でも引き続き、新たなアプローチでブランドを展開し続けている。かつてはアンチ・セレブだったメゾンだが、映画祭のレッドカーペットでは、ケイト・ブランシェット2025-26年秋冬オートクチュールコレクションでお披露目された、羽根に覆われたゴシックなガウンに身を包んで登場。また、8月28日(現地時間)には、キム・カーダシアングレーのケープ付きジャンプスーツを着てDVFアワードに出席し、周囲の視線を独り占めにした。

1年のうちにデビューコレクションがこうも立て続けに披露されると、ひとつひとつのショーのインパクトはどうしても弱くなってしまう。ブランドアンバサダーがレッドカーペットでメゾンのデザインを着用する方が、より人々の印象に残り、自由な表現ができる。だからこそ、メゾンの新時代を拓くクリエイティブ・ディレクターたちは、ヴェネチアという舞台で、自身が手がけたピースを初出しするのかもしれない。

Text: Anna Cafolla Adaptation: Anzu Kawano

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