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万博インドネシア館、8月から客殺到なぜ?マツコの一言だけではない“大逆転”のウラ側…常連客が激白

  • 2025.8.23
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

うだるような暑さが続く2025年8月の大阪・夢洲。世界中の英知と文化が集うこの万博会場で、今、一つの「事件」が起きている。主役は、インドネシア館だ。

開幕当初、来場者もまばらで「予約なしですぐ入れますよ!」というスタッフの声が響いていた穴場スポット。それが、夏休みを境に魔法がかかったかのように一変した。SNSには「インドネシア館の人ファンサやばい」「インドネシア館おもしろすぎ」といった投稿が溢れ、超人気パビリオンへと変貌を遂げたのだ。

人々をこれほどまでに熱狂させるものは一体何なのか? その秘密は、陽気な音楽とダンス、そして館内に広がる奥深い文化体験にあった。一体、このパビリオンの中で何が起きているのか。

大阪・関西万博に50回以上訪れ(※2025年8月時点)、全パビリオンを制覇済みという万博ニキ(通称:パクニキ)さんも、この変化を目の当たりにした一人。今回はそんなパクニキさんに、インドネシア館人気爆発の真相について、お話を伺った。

マツコの一言が生んだ「インドネシア旋風」

---インドネシア館が急に人気になった背景を教えてください。

「一番大きかったのは8月初めに放送された『月曜から夜ふかし』ですね。インドネシア館の歌やスタッフの明るさが取り上げられて、マツコさんや村上さんが"インドネシア館が一番おもしろい"とコメントしたんです。その一言で一気に注目が集まりました。」

テレビの影響力とSNSの拡散力で、万博における勢力図を一夜にして塗り替えたのだ。放送後のSNS拡散により、これまで素通りしていた人々がこぞってインドネシア館に足を向けるようになったという。

---実際に館の中で感じる一番の魅力は?

「一番の推しポイントは、やっぱりスタッフの皆さんがすごく明るいこと。これはインドネシアに限らず、マレーシアとか他の東南アジア系のパビリオンも結構そうなんですが、スタッフが明るくてフレンドリーなところがまず人気のベースにあるのかなと思います。

その中でも特にインドネシア館は、パビリオンの前にあるライブステージがすごくて。『予約なしですぐ入れる〜♪』みたいな面白い歌で歓迎してくれて、スタッフもお客さんも一体になって踊り狂ってるんです(笑)。JKT48が来たこともありましたし、ああいう来場者を巻き込むエンターテイメント性が、今の人気につながっているんじゃないでしょうか」

パクニキさんが何度も足を運ぶ理由がここにある。単に展示を見るだけでなく、スタッフとの交流を通じて温かい空気を感じられる体験こそが、インドネシア館最大の魅力なのだという。

展示の見どころは?

---展示の見どころも教えてください。

「展示は本当に多彩です。まず、インドネシア館は、館内に本物のジャングルが再現されており、まるでインドネシアの熱帯雨林に迷い込んだかのような体験ができるのが魅力です」

さらに、現在のインドネシアが国を挙げて取り組んでいる壮大な国家プロジェクトを知ることができるとパクニキさんは語る。

---どのようなプロジェクトなのでしょうか?

現在、インドネシアの首都はジャカルタですが、人口の一極集中による深刻な混雑や、地震のリスクといった課題を抱えています。そこで、ジャワ島の隣にあるカリマンタン島(ボルネオ島)の未開拓な自然の中に、新首都「ヌサンタラ」を新たに建設し、首都機能を移転する計画が数年前から進められています。

これは、日本でも今まさに議論されている副首都構想のようなもので、リスク分散と国の持続的な発展を目指すものです。

インドネシア館では、この未来都市「ヌサンタラ」の巨大な縮小模型が展示されており、国家プロジェクトの全貌を間近に見ることができます」

---文化的な展示もあるのでしょうか?

「はい。『ワヤン』というインドネシアの伝統芸能の映像も流れています。日本でいう歌舞伎のような存在で、自然や神を崇拝する精神文化を表現しているんです。映像を見ていると、単に楽しいだけじゃなくて"文化と信仰の深さ"を体感できる。自然崇拝や多様な文化に触れられるのも魅力です」

展示内容の充実ぶりには目を見張るものがある。熱帯雨林の再現から首都移転という現代的な社会課題まで、そして伝統文化への理解まで、一つのパビリオンで幅広い体験ができる構成になっているのだ。

万博マニアが春から予想していた「必然の人気」

---4〜5月の空いていた頃から推していたそうですが?

「そうなんです。春の段階ではほとんど並ばずに入れて、僕はその頃から"ここは必ず人気になる"と思っていました。展示が充実しているだけじゃなくて、何よりスタッフの人柄がいい。結局、万博をオフラインでやる意味って『人と人との触れ合い』にあると思うんですよ。今人気が出たのも当然だと感じますね」

パクニキさんの慧眼が光るエピソードだ。展示の質の高さに加えて、「人と人との触れ合い」という万博の本質を体現していたインドネシア館。テレビで火がついた人気も、決して偶然ではなく必然だったのかもしれない。

「人との触れ合い」を体現する理想のパビリオン

インドネシア館の人気急上昇は、テレビをきっかけにしたものの、その背景にはパビリオンとしての本質的な魅力があった。パクニキさんが春の段階から「必ず人気が出る」と確信していたように、スタッフの温かい人柄、充実した展示内容、そして来場者を自然に巻き込む雰囲気作りなど、万博パビリオンに求められる要素が高いレベルで揃っていたのだ。

熱帯雨林の再現から首都移転という現代課題まで、伝統文化ワヤンから自然崇拝の精神まで、一つのパビリオンでこれほど多様な体験ができる場所は珍しい。しかし何より印象的なのは、展示を見るだけでなく「また来たい」と思わせる温かい空気感だろう。

万博という巨大なイベントの中で、インドネシア館は「人と人との触れ合い」という万博の原点を思い出させてくれる貴重な存在となっている。テレビで火がついた人気も、決して偶然ではなく、パビリオンが持つ本来の力が多くの人に伝わった結果なのかもしれない。今後も多くの来場者に愛され続けることだろう。


取材協力:万博ニキ(パクニキ)さん
大阪市内在住の20代後半男性。大阪・関西万博に50回以上訪れ(2025年8月時点)、全パビリオンを制覇済みの万博マニア。
週に複数回、平日夜に「インパク」(万博に入場すること)することが多く、万博の魅力を発信している。