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銀座のバーで『78万円』請求「これって“ぼったくり”じゃないですか!?」弁護士が伝授する騙されない方法

  • 2025.8.28
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出典:Photo AC ※画像はイメージです

繁華街で客引きに誘われてバーに入ったところ、法外な料金を請求される。そんな被害を聞いたことはありませんか?

銀座のぼったくりバーで起きた実際に例では、知人の送別会の後に客引きと交渉して入店した男性が、シャンパンを1本注文した後に寝てしまい、朝方に会計と言われてクレジットカードを渡したところ、100万円を提示されたという事案がありました。男性はサインをせずにカードを取り戻し、店員と話し合って5万円を支払って帰ったものの、後日カード会社から78万円を請求されました。

このケースでは裁判となり、最終的にカード会社の請求は認められなかったものの、最近では、ぼったくりバーの店員がサクラとしてマッチングアプリに登録し、出会った相手をバーに連れていくという例もあります。

はたして、このような「ぼったくり」はどこまでが違法で、被害に遭わないためには何に気をつければよいのでしょうか?気になる疑問について、弁護士さんに詳しくお話を伺いました。

どこからが違法?ぼったくりの境界線を弁護士が解説

今回は、NTS総合弁護士法人札幌事務所の寺林智栄弁護士に詳しくお話を伺いました。

どんな行為が「ぼったくり」になるの?

---いわゆる「ぼったくり」について、店側のどのような行為が違法となるのでしょうか?

一般的に「ぼったくり」とは、通常の相場を大きく超える料金を不当に請求する行為を指します。特に飲食店や夜の繁華街の店舗で多発していますが、法律的には、消費者契約法や民法、刑法(詐欺罪や恐喝罪)などが問題となります。

以下のような場合は、違法行為に当たり、請求自体が無効または刑事事件となり得ます。

(1)料金を事前に明示せず、後から高額請求する場合
例えば、メニューや料金表がなく、注文後に高額料金を突きつけるケースです。消費者契約法により無効となる可能性があります。

(2)「飲み放題」などと説明しながら後で追加料金を請求する場合
説明と異なる契約内容であり、詐欺的と評価されます。

(3)暴力・脅迫を用いて支払わせる場合
恐喝罪、強要罪に該当します。

(4)虚偽のサービスや提供を装う
詐欺罪に該当します。

客に支払の責任があるのはどんな場合?

---高額請求され、客側に支払い責任があるのはどのような場合でしょうか?

すべてが「ぼったくり」になるわけではなく、次のようなケースでは支払う責任が生じます。

(1)料金が事前に明示されていた場合
例えば、メニュー表や看板に料金が表示されており、客がそれを見て注文した場合が該当します。

(2)注文内容に見合った料金で、法外とはいえない場合
高級店の相場として合理的に説明できる価格設定の場合は法外な料金とはいえません。

(3)追加注文をしたことが明確である場合
「セット料金に含まれないドリンクを注文した」といったケースが該当します。

「この店、ぼったくりでは!?」気づいた時にはどうしたらいい?

---飲食店で、極端に高額な金額を請求され、「ぼったくり店ではないか」と感じた際には、どのような対応をするのが良いでしょうか?

極端に高額な金額を請求されたら、まずは冷静に行動することが重要です。

(1)料金明細を求める
「なぜこの金額なのか」を確認するため、必ず内訳を出してもらいましょう。

(2)料金表示の有無を確認する
店内のメニュー表や店頭表示に料金が書かれていたかを確認しましょう。なければ違法の可能性が高いです。

(3)領収書を必ずもらう
違法請求の証拠になります。冷静に「領収書を出してほしい」と伝えましょう。

(4)警察へ通報する
脅迫的な言動や不合理な請求が続く場合は、ためらわず「110番」しましょう。警察の生活安全課などが対応してくれます。過去にも「ぼったくり摘発」で介入した事例があります。

もし払ってしまったら…?

---お金を支払ってしまった場合、その後どのような対応をしたら良いでしょうか?

「怖くて支払ってしまった」「強引に払わされた」という場合でも、後から対応できる可能性があります。以下の対応をしましょう。

(1)領収書・明細を保管
支払いの事実を証明するために必須の証拠です。

(2)消費生活センターに相談
各自治体にある消費生活センターが、事業者への指導や助言をしてくれます。

(3)警察への被害届
恐喝や詐欺の疑いがあれば刑事事件として対応してもらうことが可能です。

(4)弁護士への相談
法的に不当な請求であれば、返金請求(不当利得返還請求)を行うことができます。

支払いの段階でこれは「してはいけない」!

以下のような対応はしてはいけません。

(1)感情的に怒鳴り返す
逆にトラブルや危険を招く恐れがあります。

(2)その場で署名やサインをしてしまう
後に「支払いに合意した」と言われるリスクがあります。

ぼったくりに遭わないために…気をつけるべきこと

---ぼったくりの被害に遭わないために、どのようなことに気をつけたら良いでしょうか?

場面ごとに確認すべきことや注意すべきことがあります。

入店前に確認すべきこと

(1)料金表示があるかどうか
店頭やメニューに価格がはっきり明記されているか確認しましょう。「時価」「飲み放題○○円〜」など曖昧な表示は要注意です。

(2)口コミや評判をチェック
インターネットの口コミや観光庁・自治体の注意喚起情報で、悪質店が警告されていないか確認しましょう。

(3)客引きに注意
客引きで勧誘された店はトラブルが多い傾向にあります。繁華街で「安いよ!」と強調してくる場合は警戒しましょう。

入店後の注意点

(1)メニュー表を必ず確認する
ドリンクや料理を注文する前に、必ず価格をチェック。ない場合は注文せず退店する勇気を持ちましょう。

(2)追加注文に気をつける
「お通し」「チャージ料」などが不明確な場合は、注文前に確認しましょう。

(3)高額なボトルやセットをすすめられても即決しない
「今だけ特別」など急かす言葉には要注意です。

以下のような状況は、避けるべきリスクが高いといえます。

(1)観光地の繁華街や夜の歓楽街での無計画な入店
特に外国人観光客や地方客を狙ったぼったくり店が多いので注意しましょう。

(2)酔って冷静な判断ができない状態での入店・注文
飲酒時は判断力が鈍りやすいため、冷静に料金確認できる状態で入店するのが望ましいです。

迅速な相談と適切な対応が被害回復のカギ

まず、高額請求を受けた際には、その場で感情的にならず冷静に対応することが大切です。

そして何より重要なのが、被害に気づいた時点での迅速な相談です。78万円を請求された事例では、カード会社からの連絡で気づいた被害者が、すぐに消費生活センターに相談したことが解決への道筋を作りました。相談員の指導により事実経過を文書化し、カード会社への届出を行い、警察への相談も実施。これらの適切な対応が、最終的な勝訴につながったのです。

ぼったくり被害に遭わないためにも、繁華街での飲食では、客引きに誘われた店は避け、料金表示が明確な店舗を選ぶことが基本です。

※お酒は20歳になってから