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「朝6時から45分間タクシー待機、メーターガン無視」万博西ゲートで目撃された“異様な課金行列”

  • 2025.8.22
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

大阪・関西万博会場には東西2つの入場ゲートがあるが、最近注目を集めているのが西ゲートだ。

一般的には東ゲートの方が交通アクセスが良く利用者が多いとされているが、「攻略」の観点では西ゲートに軍配が上がるという。

そんな西ゲートで今、異様な光景が繰り広げられている。朝6時過ぎにタクシーで到着しても、ゲートが開くのは6時45分。その間、乗客は車内で待機を強いられ、メーターは容赦なく回り続ける。それでも、多くの万博ファンがこの「高コスト戦術」を選択している。

一体なぜそこまでするのか?

大阪・関西万博に50回以上訪れ(※2025年8月時点)、全パビリオン制覇済みという万博ニキ(通称:パクニキ)さんも、この西ゲート攻略を熟知する一人。そんなパクニキさんに、西ゲートの実態について、お話を伺った。

万博攻略の新たな戦場「西ゲート」

---なぜそこまでして西ゲートにこだわるのでしょうか?

「入場記録を読み取ってからおよそ10分後に当日予約が可能になる仕組みがあるんです。どれだけ早く入場記録をつけるかが勝負になります。その点、西ゲートは有利です」

万博ニキ(パクニキ)さんが語るのは、一般来場者にはあまり知られていない「10分ルール」の存在だ。万博では入場時にQRコードを読み取ってから10分経過すると、当日分のパビリオン予約が可能になる。人気パビリオンの予約を確実に取るためには、この10分をいかに短縮するかが鍵となる。

---どうして西ゲートが有利なのですか?

「西ゲートは入ってすぐ左にインフォメーションセンターがあり、そこに当日予約端末が設置されています。1分もかからず到達できる距離で、携帯よりも端末の方が動作が速い。パッと操作して即予約を確保できるんです。東ゲートは端末が遠く、みんな走って殺到するので不利ですね」

西ゲートの最大の利点は、入場ゲートから予約端末までの距離の短さだ。東ゲートでは端末まで数分の移動が必要で、しかも多くの来場者が同じ目的で殺到する。一方、西ゲートなら入場後すぐに端末に到着でき、スマートフォンアプリよりも動作の速い専用端末で確実に予約を取ることができるという。

しかし、西ゲートには大きな特徴がある。電車でのアクセスができないのだ。そのため、来場者はタクシーかシャトルバスを利用することになる。

---シャトルバスという選択肢もありますが、なぜタクシーを選ぶのですか?

「シャトルバスは梅田駅、コスモスクエア駅、トレードセンター前駅、弁天町駅から運行されていますが、最も早いコスモスクエア駅発の便でも7時40分発で約15分かかるため、西ゲート到着は8時前になってしまう。これじゃあ『10分ルール』で優位に立てませんからね。だから皆、高くてもタクシーを選ぶんです」

45分間のタクシー待機という異常事態

---それで皆さんタクシーを選択するわけですね。でも待機時間が長いと聞きました。

 「6時過ぎにタクシーで行っても、バリケードが開くのは6時45分。それまで45分間、降りられずにメーターを回したまま待機です。6時半頃にはタクシーが次々と並び始め、料金を我慢しながら"戦闘態勢"で待つ人が増えています。もっと言うと、6時ぐらいからもう45分ぐらい我慢してお金に物言わせて待ってる人も結構いると思います」

西ゲート前では車両侵入用のバリケードが6時45分まで閉鎖されており、タクシーで到着してもその場で降車することができない。乗客はタクシー内でメーターが回り続ける中、バリケードが開くのを待つしかないのだ。6時半頃から後続のタクシーが次々と列を成し、異様な光景が展開される。

しかし、こうした「西ゲート攻略法」は諸刃の剣でもある。タクシー代という高いコストを払いながら、確実に有利になるとは限らない状況が生まれているのだ。

---今も西ゲートは空いているのでしょうか?

「残念ながら今は違います。SNSで広まって利用者が急増。6月までは閑散としていた西も、今では東と同じくらい混雑しています。だから無理にタクシー課金して西ゲートを狙うのは、必ずしも得策じゃないですし、タクシーに課金して西ゲートに行くより、もう東ゲートに電車で行っちゃった方が今はいいかなって最近思っちゃいますね」

万博ブームが生んだ新たな競争の形

万博の人気とともに、来場者の「攻略意識」も年々高まっている。SNSで攻略法が拡散されると、瞬く間に状況が変化する。かつては「穴場」だった西ゲートも、今では激戦区の一つとなった。

タクシー代を払ってまで早朝から万博に向かう人々の姿は、万博人気の高さを物語る一方で、来場者同士の競争の激しさも浮き彫りにしている。45分間のタクシー待機という異様な光景は、まさに現代の万博ブームが生んだ新たな現象と言えるだろう。

閉幕まで2ヶ月を切った万博。フィナーレに向け過熱感がピークを迎え今後さらなるお得なワザや新たな「戦場」の出現することも予想される。果たして来場者たちの戦いはどこまで続くのだろうか。


取材協力:万博ニキ(パクニキ)さん
大阪市内在住の20代後半男性。大阪・関西万博に50回以上訪れ(2025年8月時点)、全パビリオンを制覇済みの万博マニア。
週に複数回「インパク」(万博に入場すること)することが多く、万博の魅力を発信している。