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「歌詞が胸に響く」25年後も心を震わす“CDシングル裏面の隠れた名曲”「やっぱり沁みる」特別な一曲

  • 2025.10.4

「25年前、どんな曲を“裏面”から愛していた?」

2000年の夏。猛暑の中で街に流れていたのは、軽快なダンスナンバーや華やかなヒットソングばかりではなかった。誰もが気づかぬうちに、CDシングルの片隅から静かに広がっていった1曲があったのだ。

SMAP『オレンジ』(作詞・作曲:市川喜康)――2000年8月30日発表

150万枚以上を売り上げた大ヒットシングル『らいおんハート』のカップリングとして収録されたこの曲は、もともと派手な宣伝やテレビでの披露が多かったわけではない。にもかかわらず、いつしかファンの間では“特別な名曲”として語られ、さらにファン以外からも認知される存在となっていった。

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※Google Geminiにて作成(イメージ)

秘められた温度を持つ1曲

『オレンジ』の最大の魅力は、どこか控えめで、しかし胸を締めつけるような温度を持っていることだ。イントロから漂う優しい響き、シンプルなアレンジ、そして伸びやかでありながら繊細さを残す歌声――そのすべてが、聴く者の“記憶の奥”を呼び起こすように響いてくる

当時、SMAPといえば国民的な存在として数々の大舞台に立ち、明るく華やかな曲を歌う姿が印象的だった。しかし『オレンジ』では、彼らの声に宿る“柔らかさ”や“静けさ”が強く前面に出ている。だからこそ、この曲は時代を超えて愛され続けたのだろう。

カップリングからベスト盤へ

興味深いのは、『オレンジ』がオリジナルアルバムには収録されなかったという事実だ。一般的にカップリング曲はリードトラックとともにアルバムに一緒に収められることが多いが、この曲はそうではなかった。逆にその“限定感”が、ファンにとっての特別さを増幅させていった。

しかし曲が持つパワーがゆえに、『pamS(ウラスマ)』(2001年)や『SMAP AID』(2011年)といったベスト盤に収録され、さらに2016年にリリースされたデビュー25周年記念ベストアルバム『SMAP 25 YEARS』では、ファン投票で堂々の2位を獲得。数々の代表曲を抑えて上位に選ばれた事実は、「カップリングでありながらSMAPを象徴する1曲」という揺るぎない評価を裏づけるものだった。

SMAPと市川喜康の出会い

この楽曲を手がけたのは、市川喜康。シンプルでいて感情を丁寧にすくい上げるメロディづくりを得意とするソングライターだ。SMAPには後にシングル『Triangle』(2005年)など複数の楽曲を提供している。

SMAPにとって『オレンジ』は、彼の持ち味がもっとも美しく形になった楽曲のひとつといえる。派手な仕掛けを削ぎ落とし、声とメロディの余韻を残すスタイルは、まさに“表題に頼らないカップリングの真価”を証明するものだった。

2000年の夏に響いた余韻

2000年という年は、ミレニアムを迎えた高揚感と、21世紀に向かう不安が入り混じる時代だった。そんな日常のどこかで、『オレンジ』はひっそりと流れ、聴いた人の心に静かな痕跡を残していった。

そして今もなお、ファンの間で“忘れられない名曲”として語り継がれている。時代を越えて愛される理由は、メンバーの歌声と楽曲自信が持つ“やさしさ”にあるのだろう。表題ではなく裏面にこそ残された宝物。それが『オレンジ』だった。

25年経った今もなお「歌詞が胸に響く」「グッとくる」「辛いときにたくさん救われました」「やっぱり沁みる」など称賛の声で溢れている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。