1. トップ
  2. 「何回聞いても泣ける」「1番好き」25年後も絶賛される“人生の応援ソング” 60万枚超を売り上げた“希望の歌”

「何回聞いても泣ける」「1番好き」25年後も絶賛される“人生の応援ソング” 60万枚超を売り上げた“希望の歌”

  • 2025.9.19

「25年前、街角で“人生ってすばらしい”と響く声を耳にしたことはある?」

2000年の日本は、20世紀から21世紀へと時代が移り変わる節目の年だった。CDショップの試聴機には最新のシングルが並び、カラオケボックスからは夜ごとに若者たちの歌声が漏れ聞こえてきた。

世紀をまたぐような高揚感と、どこか不安をはらんだ時代の空気。その真ん中で、明るく、そして温かく響いたのがこの楽曲だった。

モーニング娘。『I WISH』(作詞・作曲:つんく)——2000年9月6日発売

undefined
2000年5月、市井紗耶香の卒業会見でのモーニング娘。(C)SANKEI

祈りのように始まる静かな幕開け

本作はモーニング娘。にとって通算10枚目のシングル。市井紗耶香の卒業後、10人体制での第一歩を刻む作品となった。

特徴的なのは冒頭、まるで教会でのゴスペルのような空気から始まる構成だ。バックには「Here We Go」などサンプリングボイスが差し込まれ、サビ前には激しいスクラッチ音が入り込む。やがてテンポアップし、一気に高揚感へと到達する流れは、“祈りから祝祭へ”と変化していく瞬間を音楽で体現しているようでもあった。

ゴスペルとダンスが出会った幸福な瞬間

楽曲全体はミディアムテンポを基調としながらも、ヒップホップのテイストでつくられている。ボイスパーカッションを思わせるリズム、サンプリングの断片、ダンスチューンとしての勢い。そこにゴスペル風のコーラスが折り重なり、“心を浄化するような神聖さと、体を揺らす快楽性”が同居していた

つんくが「教会をイメージした」と語った通り、河野伸によるアレンジは祈りの空気を保ちながら、ダンスミュージックとしての躍動を強く打ち出している。

シンプルな言葉に託された“人生讃歌”

歌詞の中心にあるのは「人生ってすばらしい」というまっすぐなメッセージだ。

難しい言葉は一切なく、出会い・涙・笑顔といった誰もが持つ瞬間を肯定することで、聴く人それぞれの人生に寄り添う。60万枚を超えるセールスは、その普遍性を物語るものだった。

単なる恋愛の歌ではなく、「生きること」そのものを肯定するこの作品は、モーニング娘。の持つアイドルとしてのイメージを越えて、幅広い世代に届いたのだ。

映像で描かれた“夢と人生の劇場”

プロモーションビデオは、メンバーが年齢や職業の異なる人々に扮し、それぞれの夢を抱えてある場所に集まるというストーリー仕立て。

さまざまな役を演じるメンバーの姿が重なり合い、楽曲のメッセージが映像として具現化されていく。まるでミュージカルの一場面のような演出は、「人生の舞台に立つ誰もが主人公だ」という普遍的なメッセージを、強く視覚的に印象づけていた。

グループを導いた“新しい夜明け”

『I WISH』は、ただのシングルにとどまらず、モーニング娘。にとって新たな章の幕開けを象徴する曲でもあった。市井紗耶香の卒業後に訪れた節目を力強く乗り越え、「希望」を歌うことでグループ全体の存在感を広げていった。

ランキングでも初登場1位を飾り、彼女たちの人気をより盤石なものにしただけでなく、ファン以外の層にも確かな印象を残した。

未来へ歌い継がれる“人生の歌”

25年という時を経ても、『I WISH』の言葉と旋律は色あせない。「出会ったり、恋をしてみたり、泣いたり笑ったり」——そんな誰にでも訪れる日常を、大げさに飾ることなく肯定する歌声。あの頃の街角で耳にしたフレーズは、今も私たちの背中をそっと押してくれる。

さらに2022年3月には、モーニング娘。’22名義で新録バージョンがリリースされ、新世代の声によって新たな命を吹き込まれた。世代を越えて歌い継がれることで、この楽曲が持つ「人生讃歌」としての普遍性が、より一層強調されたといえるだろう。

今もなお多くの人々の心に響き、SNS上には「何回聞いても泣ける」「心に響きます」「この歌に感謝です」「1番好き」といった感謝や感動の声が溢れている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。