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25年前、日本中の胸を射抜いた“恋の始まりを告げる歌” 売上50万枚を叩き出した“奇天烈フレーズのラブポップ”

  • 2025.9.13

「25年前、恋に落ちたときのドキドキを覚えてる?」

2000年。ミレニアムを迎えた街は新しい時代の幕開けに沸き、CDショップの棚にはカラフルなジャケットがずらりと並んでいた。放課後の帰り道に寄ったカラオケボックス、深夜のラジオから偶然流れてきた最新曲。音楽はその頃、日々の感情をそのまま映し出す鏡のように存在していた。

そんな空気の中、不意に耳に飛び込んできた一曲が、胸の奥をまっすぐ射抜いた。

aiko『ボーイフレンド』(作詞・作曲:AIKO)——2000年9月20日発売

街角で囁かれた“あの言葉の衝撃”

メジャー通算6枚目のシングルとして放たれた『ボーイフレンド』は、タイアップのない状況にもかかわらず、50万枚を超えるセールスを記録した

やがてその熱は大舞台へ届き、同年の第51回NHK紅白歌合戦初出場という節目を呼び込む。数字以上に、日常の会話や街のざわめきに自然と混ざっていく“生活の歌”として、時代の空気に浸透していった。

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aiko-2000年撮影 (C)SANKEI

恋のはじまりを告げる“バンジョーの響き”

イントロが始まると、軽やかに跳ねるバンジョーが真っ先に耳をとらえる。カントリーやフォークの記憶を宿したその音色は、2000年のJ-POPシーンにあって新鮮にきらめき、恋の予感を告げるベルのように響き渡る

そこに割って入るのがブラスの力強い響きだ。鋭く鳴り渡るホーンは、まるで背中を押す風のように曲を一気に前へと進ませ、聴く者の心拍を加速させる。

ドラムとギターが駆け抜け、メロディが高揚感を引き上げていく中で、楽しさと切なさが同居する独特の熱が立ち上がり、わずかな時間で聴く人の身体に染み込んでいく。

無邪気さと確かさが共鳴する“声の魔法”

aikoの歌声は、無邪気に跳ねる瞬間と、感情の芯を掴む確かさが同居している。サビで一度に視界が開けるような開放感、鼻先をかすめるみたいな細やかなニュアンス。体温の残る言葉の運びで、聴く人それぞれの“あの頃”を呼び起こす親密さを生み出している。

カラオケで歌えば自分の物語に重なり、街角で耳にすれば不意に胸がざわつく——そんな“記憶のスイッチ”として機能する声だ。

印象的な“テトラポット”のフレーズ

『ボーイフレンド』といえば、多くの人が思い出すのは「テトラポットに登って」というあの印象的なフレーズだろう。

本来の表記は「テトラポッド」であり、この名称は不動テトラが商標登録している消波ブロックの呼び名だ。そのため、特定の商品を宣伝できないNHKの舞台で歌詞をそのまま歌えるのかどうか、当時はちょっとした話題となった。最終的には「テトラポット」であれば問題なしとされたようで、歌詞を変えることなく披露されることになった。

それにしても、無機質なコンクリートの塊が、aikoの歌に乗ると途端に恋の高揚感と結びつき、“青春のモチーフ”として輝きを放つ。その予想外のイメージの転換こそが、聴く人の心を鮮烈に捉えたのだ。

青春を彩る“永遠の証”

25年の時を経ても、『ボーイフレンド』を耳にすれば、視界の隅々に色が戻る。放課後に自転車を並べて走った帰り道、すれ違いに泣きながらイヤホンを握りしめた夜、仲間と笑いながらサビを張り上げたカラオケの部屋。

恋の始まりの不安と期待を、そのまま音に閉じ込めて——聴き返すたび、小さなときめきが確かに胸に残る。

『ボーイフレンド』は、2000年という新しい時代の光を映しながら、今も変わらず“恋の記憶”を呼び覚ます永遠のラブソングであり続けている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。