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30年前、日本中の胸を締めつけた“我が道を行く切ないバラード” 50万枚超を刻んだ“涙を誘う応援歌”

  • 2025.9.14

「30年前の夏、どんな恋をしていた?」

1995年の日本。渋谷や新宿の街角には、最新ヒット曲を流すCDショップが並び、夜のカラオケボックスでは学生も社会人もマイクを握って離さなかった。テレビからは連日ドラマや映画の主題歌が流れ、その一曲ごとに街の空気や人々の気分が色づいていた。

そんな夏の終わりに、心をそっと包み込むようなバラードが生まれた。

ZARD『サヨナラは今もこの胸に居ます』(作詞:坂井泉水・作曲:栗林誠一郎)——1995年8月28日発売

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※Google Geminiにて作成(イメージ)

涙を誘いながら希望を残す旋律

ZARDにとって16枚目のシングルとなるこの曲は、松雪泰子主演の映画『白鳥麗子でございます!』の主題歌として多くの耳に届いた。

ミディアムテンポで穏やかに進むメロディは、切なさをまといながらも、決して沈み込まない。坂井泉水の透明感あるボーカルが重なることで、哀しみの奥に小さな希望の光が差し込むような余韻を残した。涙を誘いながらも背中を押してくれる歌声こそが、この楽曲の最大の魅力だった。

歌詞は別れを描きつつも、ただの悲しみにとどまらない。大切な人を胸の中に残しながら歩んでいく、そんな前向きな感情が綴られている。坂井の柔らかな声質と、言葉の選び方の繊細さが合わさり、聴き手は自分自身の記憶や想いを自然と重ね合わせることができた。

クリエイターたちが紡いだ音の風景

作曲を手がけた栗林誠一郎は、B.B.クィーンズのベーシストとして『おどるポンポコリン』に携わり、ロックバンドZYYGでも活動していた人物。彼のメロディはシンプルでありながら強い印象を残し、ZARDの世界観に寄り添いながらも独自の力強さを与えている。

さらに、編曲を担当したのは葉山たけし。『負けないで』『愛が見えない』などZARDの数々の編曲を手がけてきた人物だ。彼が作り上げたサウンドは、華美な装飾を避けながらも奥行きを与え、歌詞の情感を一層際立たせている。音のひとつひとつが坂井泉水の声を支え、聴き手の心に余韻を残す音の風景を形づくった。

50万枚を超えて愛された理由

『サヨナラは今もこの胸に居ます』は、累計で50万枚を超えるセールスを記録した。ダンスナンバーや派手なロックがランキングを賑わせていた1995年当時、静かで柔らかなミディアムテンポのナンバーがこれだけの支持を集めたことは特筆すべきだろう。流行に流されることなく、心に残る音楽を届けたZARDの強さを物語っている。

映画タイアップの効果もあったが、それ以上に坂井泉水の歌声が多くのリスナーを惹きつけた。日常の中でふと聴いたときに、心が立ち止まってしまう。そんな体験を提供できる数少ないアーティストだった。

今も響き続ける余韻

あれから30年。今もこの曲が流れると、当時の情景が不思議とよみがえる。映画館の暗がり、CDショップの看板、カラオケで友人と歌った夜。音楽は時を超えて記憶を呼び起こす装置であり、ZARDの楽曲はその力を強く持っている。

誰かを思い出し、立ち止まり、また歩き出す。 その繰り返しの中で、人は前に進んでいく。『サヨナラは今もこの胸に居ます』は、そんな人生の一瞬を支えてくれる。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。