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30年前、110万枚超を叩き出した“ユルすぎ脱力ラップ” 社会現象化した“新時代ポップの金字塔”

  • 2025.9.21

「30年前、“まいっか”って口癖みたいに言ってなかった?」

1995年。街にはカラフルな広告があふれ、コンビニやファミレスも当たり前の存在になり、仲間と放課後に立ち寄る場所はいつも賑やかだった。カラオケボックスでは最新のヒット曲が次々とリストに加わり、雑誌やテレビからは流行が次々と飛び出してくる。そんな時代に、日常の小さな悩みを笑い飛ばしてくれるような、軽快で耳に残るフレーズがあった。

EAST END×YURI『MAICCA〜まいっか』(作詞:GAKU、YOGGY・作曲:YOGGY)——1995年2月1日発売

“まいっか”で時代を解きほぐした軽やかさ

EAST END×YURIの2枚目のシングルとしてリリースされた本作は、デビュー曲『DA.YO.NE』の勢いをそのまま引き継ぎながら、さらに軽やかでポップな魅力を備えていた。110万枚を超えるセールスを記録し、前作の約100万枚を上回る大ヒットとなったのは、そのシンプルで覚えやすいフレーズが、当時の空気に見事にフィットしたからだ。

“深く考えすぎなくてもいい”“困った時は笑ってやり過ごそう”という、日常の小さなストレスを軽やかに解きほぐすメッセージ。繰り返される「まいっか」の一言は、ただの口癖を超えて、一種の時代的な合言葉になった。カラオケや学校の休み時間、テレビ番組のちょっとした場面でも自然と口にされ、流行語として生活に染み込んでいったのだ。

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EAST END×YURI-1995年撮影 (C)SANKEI

ヒップホップとポップスの架け橋

EAST ENDのラップと、YURIのキュートなボーカル。この組み合わせは当時の音楽シーンではかなり新鮮だった。ラップというジャンルがまだ広く浸透していなかった時代に、ポップス的な親しみやすさをまとわせることで、幅広い世代のリスナーに届いたのである。

YURIこと市井由理は、東京パフォーマンスドールを1994年9月に卒業。『DA.YO.NE』がリリースされたのは1994年8月であり、その時点ではまだTPDの一員だった。だが、この『MAICCA〜まいっか』は、正式にグループを離れてから初めてのシングルであり、新たなスタートラインとなった。アイドルからアーティストへと踏み出した彼女の存在感が、この楽曲でより一層際立ったのである。

キャッチーなサビと、ユーモラスな言葉遊びを交えたラップ。これに加えて、シンプルながら耳に残るビートが重なり、難解さや尖りすぎた雰囲気を感じさせなかった。結果的に、“ヒップホップをお茶の間に広めた楽曲”としても評価され、のちのJ-POPとラップの融合を語る上で欠かせない存在となった。

“軽さ”が残した大きな意味

この楽曲は、山本耕史主演のテレビ朝日系ドラマ『さんかくはぁと』の主題歌としても使用された。ドラマの展開に、肩の力を抜かせてくれる曲調が寄り添い、作品の空気感をより柔らかいものにしていた。

なによりも『MAICCA〜まいっか』の魅力は、その“軽さ”にある。深刻な時代のムードを少し和らげ、肩の力を抜くきっかけをくれたこと。それは、単なる娯楽曲にとどまらず、日常の合言葉や流行語として人々の会話に入り込み、社会現象的な広がりを見せた

今も鳴り響く“まいっか”の魔法

あれから30年。社会はさらに複雑になり、情報の波に押し流されるような日々が続いている。そんな時代だからこそ、この曲の“肩の力を抜く魔法の言葉”は、むしろ一層必要とされているのかもしれない。

「まいっか」と口ずさんだ瞬間、あの頃の街のざわめきや、テレビの前で笑っていた自分がよみがえる。流行歌以上の存在感を放ち続ける理由は、そこにあるのだ。

軽やかに笑い飛ばすことが、時には最大の生きる知恵になる——この楽曲はそのことを、30年前から教えてくれていた。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。