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40年前、日本中が笑顔になった“異色の男女デュオポップ” 20万枚超を記録した“遊び心まんさいのかけ合いソング”

  • 2025.9.14

「40年前の夏、街角で響いたあの掛け合いを覚えてる?」

1985年の真夏。アスファルトからは熱気が立ち上り、夕暮れには商店街から風鈴の音が涼やかに響いていた。街角のラジカセからはポップで明るいヒットソングが溢れ、テレビからはアイドルが笑顔で歌い踊る姿が映し出されていた。

そんな中、人々を驚かせたのは、まさかの組み合わせによるユニットの誕生だった。

Toshi&Naoko『夏ざかりほの字組』(作詞:阿久悠・作曲:筒美京平)——1985年7月21日発売

異色の二人が手を取り合って送り出したこの曲は、誰もが一度聴けば口ずさみたくなるような爽やかさと、ほんのりユーモラスな雰囲気を兼ね備えていた。

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2025年、新曲リリースパーティーで熱唱する田原俊彦 (C)SANKEI

異色の2人が組んだ“意外性な化学反応”

Toshi&Naokoとは、トップアイドルとして当時絶大な人気を誇っていた田原俊彦と、独特の存在感を放つ歌手・研ナオコによる異色のデュオだった。

二人はバラエティ番組『カックラキン大放送!!』(日本テレビ系)などで息の合った掛け合いを見せてきた間柄で、その軽妙なやりとりは視聴者にとってお馴染みの光景だった。とはいえ、まさかデュエットという形でタッグを組むとは誰も予想していなかっただろう。

田原俊彦の若々しくはつらつとした歌声と、研ナオコのハスキーで大人びた声。その二つの質感の異なる声が掛け合いで絡み合うことで、曲全体がまるで舞台の上で繰り広げられるコメディのような親しみやすさを帯びていく。

歌謡曲的な匂いを残しつつも、軽妙でポップな仕上がりが新鮮で、世代を超えて受け入れられる魅力を放っていた。

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研ナオコ-2001年撮影 (C)SANKEI

阿久悠×筒美京平×新川博という黄金布陣

この楽曲を手がけたクリエイターチームもまた豪華だった。作詞は数々のヒット曲を生み出し続けた阿久悠。日常を切り取りながらも遊び心を忘れない詞は、男女の掛け合いを軽妙に演出している。

作曲はメロディメーカーとして不動の地位を築いていた筒美京平。耳に残るキャッチーさと華やかさを備えつつも、歌謡曲的な哀愁をほんのり漂わせる絶妙な旋律を描き出した。

そして編曲を担当したのは新川博。彼が施したアレンジは、サウンド全体に洗練を与え、軽やかさと洒落っ気を同時に感じさせるものだった。

この三人の組み合わせによって、『夏ざかりほの字組』は単なる企画物のデュエットではなく、1985年の夏を象徴するポップソングとして仕上がっていた。聴けば心が弾み、気がつけば口ずさんでしまう。その完成度の高さは、豪華布陣ならではのものだった。

大ヒットの背景にあった“夏の特別感”

リリースされた1985年は、バブル景気の前夜であり、街にはどこか浮き立つような明るさが広がっていた。夜になればディスコのミラーボールが回り、昼間は商店街や海辺で流行の歌が響いていた。そんな中で生まれた『夏ざかりほの字組』は、テレビ番組で披露されるたびに会場を笑顔で満たし、耳にした人々を自然とハッピーな気分にさせていった。

結果的にこの曲は、20万枚を超えるセールスを記録する。この楽曲が持つ親しみやすさと、時代の空気にぴたりと寄り添った軽快さゆえだろう。スナックなどで男女が楽しげに歌い合う姿は、夏の思い出を彩るひとコマとして親しまれていった。

時代の空気を閉じ込めた名場面

『夏ざかりほの字組』を耳にすると、テレビの前で家族と一緒に歌番組を楽しんでいた時間が鮮明によみがえる。大真面目すぎず、かといって軽すぎない絶妙な温度感こそが、この曲を特別な存在にしているのだろう。

歌声の掛け合いに乗せられた遊び心は、1980年代の音楽シーンが持っていた自由さを象徴しているようでもある。

今もなお、あのデュエットを思い出すと自然に口元がほころぶ。それは単なる懐かしさではなく、80年代という時代そのものを閉じ込めた記憶の断片。

『夏ざかりほの字組』は、音楽としてだけでなく、人々の心に残る“笑顔の記録”でもあるのだ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。