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40年前、日本中が胸を打たれた“透明感ボイス” 年間1位のチャートを駆け上った“決別の応援歌”

  • 2025.9.2

「40年前、街角に流れていたのはどんな歌だっただろう?」

1985年の夏。レコードショップの店頭には最新のヒット曲が並び、テレビの音楽番組は週ごとに新しいスターを生み出していた。華やかな時代の空気の中で、静かに、しかし確実に多くの人の心に刻まれた一曲がある。

安全地帯『悲しみにさよなら』(作詞:松井五郎・作曲:玉置浩二)——1985年6月25日発売。

安全地帯を決定づけた大ヒット

『悲しみにさよなら』は、安全地帯にとって通算9枚目のシングル。

『ワインレッドの心』『恋の予感』『熱視線』などがヒットしていた彼らにとって、この曲は人気と実力を確かなものにする存在となった。リリースと同時にチャートを駆け上がり、当時の音楽番組では年間1位を獲得。誰もが知る名曲として浸透していった。

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第27回日本レコード大賞で『悲しみにさよなら』を歌う安全地帯の玉置浩二 (C)SANKEI

紅白歌合戦で響いた歌声

その勢いを裏づけたのが、第36回NHK紅白歌合戦だった。安全地帯はこの曲で初出場を果たし、玉置浩二の透明感ある歌声を全国に届けた。

歌詞の一言一句を丁寧に歌い上げる姿は、多くの視聴者の胸を打った。あの夜をきっかけに、安全地帯を知ったという人も少なくない。

歌詞に刻まれた「寄り添う言葉」

『悲しみにさよなら』の歌詞は、全編を通じてやさしい言葉に溢れている。「あなたのそばにいるから」に始まり、サビでは「悲しみにさよなら ほほえんでさよなら」と繰り返される。こうしたやさしさにあふれる言葉の流れが、この曲の特徴だと言ってもいいかもしれない。

この曲の言葉は、特定の時代や状況に縛られるものではない。誰にでも訪れる孤独や不安に、そっと寄り添い、「一人ではない」と伝えてくれる。

だからこそ、『悲しみにさよなら』はリリースから40年を経た今でも色褪せず、世代を超えて歌い継がれている。聴く人の年齢や置かれた環境が変わっても、曲が与えてくれる安心感は揺るがない。

数々のカバーが物語る存在感

この普遍性を証明するように、後年、さまざまなアーティストが『悲しみにさよなら』をカバーしてきた。

シンガーの声質が変わっても、詞と旋律が持つやさしさは揺らがず、新しい魅力として届けられる。長い年月を経ても選ばれ続けるという事実そのものが、この曲の強さを物語っている。

安全地帯の定番曲として

『悲しみにさよなら』は、その後の安全地帯にとっても欠かせない代表曲となった。コンサートで披露されると観客の心はひとつになり、ときには涙を誘う光景も生まれる。

玉置浩二が年齢を重ねた後に歌う同曲は、若い頃の透明感に加えて深い情感を帯び、聴く人に新たな余韻を残している。

永遠に残る応援歌

『悲しみにさよなら』は、1985年のヒットソングにとどまらない。40年の歳月を経てもなお、悲しみを抱えた誰かに「もう一度歩き出せる」と感じさせる力を持ち続けている。

世代を超え、時代を越えて、多くの人の心を支え続ける永遠の応援歌。それが、この楽曲の本質なのだ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。