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20年前、日本中の心が躍った“可愛い多幸感ポップ” 手拍子で一体感が弾けた“笑顔を運ぶ名曲”

  • 2025.8.19

「街角から流れてきたあのイントロに、自然と手がリズムを刻んでいた。」

2005年の初夏、光に包まれた街で、ギターと軽やかなクラップが重なる音が響く。気づけばその場にいる誰もが同じテンポで手を合わせていた――

そんな光景を作り出したのが、大塚愛『SMILY』(作詞・作曲:愛)だった。

2005年5月11日に発売された8枚目のシングルで、彼女にとって初のシングルチャート首位を獲得した曲だ。

「SMILEY」じゃなくて「SMILY」

本来の英語表記は「SMILEY」だが、あえて“e”を抜いた「SMILY」と命名した。意味を詰め込みすぎず、視覚的にもバランスがよく、ちょっとした“抜け感”を感じさせる。

タイトルを目にしただけで可愛らしさを想起させる、このささやかな違いは、曲の印象にも不思議な説得力を与えている。

冒頭の手拍子が生む“巻き込み力”

冒頭から響くハンドクラップとギターのストロークは、まるで「さあ、みんな一緒に」と呼びかける合図のようだ。

そこに乗る大塚の声は、甘さと茶目っ気のバランスが絶妙で、聴き手の表情を自然にほころばせる。

歌詞の中に散りばめられた「イヤン」や「イェイ!」といった掛け声は、音だけで聴く人を可愛くしてしまう魔法のようだった。

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2005年、エイベックスの野外ライブツアー「a-nation'05」で熱唱する大塚愛 (C)SANKEI

数字より記憶に残った“可愛い曲”

『SMILY』は発売初週で首位を獲得し、最終的に30万枚以上のセールスを記録した。しかし、多くの人の記憶に残っているのは、その数字よりも「あの可愛い曲」という鮮烈な印象だ。

耳に残るメロディと明るさは、季節や天気に関係なく気分を上向きにしてくれる。だからこそ、年月が経ってもふと口ずさみたくなる。

音楽はCD、テレビ、ラジオから届くのが主流だった時代。CMタイアップも功を奏し、街角の大型ビジョンや商業施設のBGMでも『SMILY』が流れ、同じ曲を同じタイミングで共有する感覚があった。

平日の朝、この曲が流れてくるだけで、その日が少し軽やかになった。

カラオケで“可愛くなれる”現象

この曲はカラオケでも定番で、イントロの手拍子で一気に場が温まる。

合いの手で「イェイ!」などが入ると、場の空気がふっと明るくなり、その場にいる全員が同じリズムを共有しているような一体感が生まれた。

聴いている人も自然に声を出し、カラオケの部屋全体が笑顔に包まれる――そんな不思議な作用を持つ曲だった。

男女問わず盛り上がる一曲として、友人同士の集まりや飲み会で愛され続けた。

時を越えた再アレンジ

2022年には『SMILY2』としてリアレンジされたバージョンが、ハーゲンダッツのWeb CMソングとして発表された。

原曲の明るさをそのままに、少し大人びた音作りで、懐かしさと新鮮さを同時に届けた。17年経っても“笑顔を運ぶ曲”としてブランドから選ばれることは、この曲の普遍性を証明している。

手拍子と笑顔は、きっとこれからも

今この曲を聴くと、2005年の景色が一瞬で蘇る。冒頭の手拍子に誘われ、気づけば体がリズムを刻み、口元がゆるむ。

『SMILY』は“みんなの中の晴れ間”として、これからも鳴り続けるだろう。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。