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35年前、日本中が痺れた“太陽の衝撃ソング” 初の1位で快進撃を始めた“象徴的な1曲”

  • 2025.8.16

「1990年の夏、街はやけに眩しかった気がする」

ステレオから流れる音は、どれも派手で勢いがあり、胸の奥を熱く揺らすものばかり。バブルの空気がまだ残る街角では、ネオンのきらめきと、行き交う人々の笑顔が交錯していた。そんな季節の真ん中に、ひときわ鮮烈な衝撃を放った一曲が登場する。

B’z『太陽のKomachi Angel』(作詞:稲葉浩志・作曲:松本孝弘)――1990年6月13日発売。

5枚目のシングルにして、彼らにとって初めてシングルランキング1位を獲得した記念碑的作品だ。ここからB’zは、シングル連続1位の長い記録を走り始めることになる。

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2006年、オリコン40周年記念表彰式「WE LOVE MUSIC AWARD」 に出席したB'zの稲葉浩志 (C)SANKEI

熱と爽快感が同居するサウンド

『太陽のKomachi Angel』の最大の魅力は、その開放感のあるグルーヴと鋭いギターワークにある。

ラテンテイストを大胆に取り入れたビートに乗せて松本のリフが空気を切り裂き、稲葉のハイトーンが突き抜ける。イントロの一音が鳴った瞬間、耳の奥が一気に夏色に染まる感覚が広がる。

疾走感を持ちながらも、息苦しさを感じさせない余裕のある展開。サビで一気に光が差し込むような明るさと、メロディの心地よい跳ね感。その両立が、聴く者の胸を何度でも高鳴らせる。

B’zの新章を告げた1位の証

セールス面でも、この曲はグループにとって大きな節目となった。発売直後から各地のリクエストチャートを席巻し、日本有線大賞「最多リクエスト歌手賞」を受賞。街中や飲食店、海沿いのカフェに至るまで、あらゆる場所でこの曲が流れ、日常のBGMとしても浸透していった。

それまでのB’zは固定ファンを中心に支持を集める存在だったが、この曲を起点に“国民的バンド”への道のりが一気に開けていく。

当時のシーンとの化学反応

1990年の音楽シーンは、バンドブームの熱気と、ポップスの多様化が同時進行していた時代。派手なシンセやダンサブルなビートが街を賑わせていた中、B’zはその華やかさを巧みに取り込みつつ、鋭く切り込むギターを軸にしたサウンドで異彩を放っていた。

『太陽のKomachi Angel』は、その勢いを象徴するように、キャッチーさとライブ感を同居させたサウンドを提示。既存のジャンルに括れないスタイルは、多くのリスナーに“これまでにない爽快感”を印象づけた。

ライブでこそ光る存在感

この曲は、スタジオ音源の完成度はもちろん、ライブでの爆発力も格別だ。

イントロのカッティングとドラムの切れ味に、観客の手拍子と歓声が重なる瞬間、会場全体が一体となって熱を帯びる。発売から年月を経ても、ライブで鳴れば会場を一気に沸かせる“待望の一曲”として愛され続けている。

灼熱の余韻は今も

『太陽のKomachi Angel』から35年。

B’zは今も第一線を走り続け、この曲がステージで響くたび、会場の熱は一気に最高潮に達する。イントロの一音が鳴った瞬間、1990年の夏の空気が鮮やかによみがえり、あの日の街角や潮風までもが押し寄せてくる。

それは、ただの懐古ではない。「この瞬間を全力で楽しめ」という衝動が、時代を越えて脈打ち続けている証だ。

情熱と解放感をまとったこの曲は、これからも聴く者の心を照らし、突き動かし続けるだろう。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。