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コントラストが生む、北欧のボヘミアン・サマー──スタイリスト・ペニーレが語るコペンハーゲンの邸宅と今夏の着こなし【世界のファッショニスタのスタイル美学 vol.3】

  • 2025.7.18

空間と呼応する、自由で軽やかな“質感のレイヤー”

スタイリストとしてファッションシーンを牽引しながら、近年はインテリアのコンサルティングも手がけるペニーレ・タイスベック。彼女が暮らすのは、18世紀に建てられたコペンハーゲンの邸宅だ。もともとは2軒のアパートメントだった物件を、一家で暮らせる住まいへと再構築。すべてをいったん取り壊し、煉瓦だけ残した状態から作り直したという。「目指したのは、本来の姿にできるだけ近づけること。古い写真をネットで見つけて、その美しさに惹かれました」と彼女は話す。漆喰の壁や高いパネル、木の床など伝統的な要素を生かしつつ、スチールのアイランドキッチンやバスルームの床に異素材を取り入れるなど、現代的なコントラストを加えている。クラシックとコンテンポラリーが心地よく交錯する空間は、まさに彼女の美意識そのものだ。

大理石の大きなテーブルが映える、洗練されたリビングスペース。
fashion-wardrobe-vj-pernille-living-room.jpg大理石の大きなテーブルが映える、洗練されたリビングスペース。

季節感を加える工夫としてこだわるのは「花」。春は桜、初夏はミモザ、夏には野ばらといった花々を、デンマークのデザイナー、トーマス・ポールセンが手がけたスカルプチャーのような花瓶に生けて楽しんでいる。この花瓶は、フィービー時代のセリーヌCELINE)で見かけて以来、ずっと探していたものだという。壁には、アメリカのアーティスト、タイレル・ウィンストンによるバスケットボールのインスタレーションも。「完璧な空間に“崩し”のようなものを加えることで、個性やリズムが生まれるのが好きなんです」

トーマス・ポールセンの花瓶に生けた、深紅のシンビジウム。
fashion-wardrobe-vj-pernille-flower-base.jpgトーマス・ポールセンの花瓶に生けた、深紅のシンビジウム。

ファッションとインテリアの関係性について尋ねると、「どちらも“質感のレイヤー”が大切」と答える。シルク、レザー、デニムといった異素材をミックスするファッションのスタイルは、マーブルやウッドを組み合わせる彼女の空間づくりともリンクしている。「素材のレイヤーを重ねることで、お互いを引き立て合って、より豊かな世界観が完成するのです」

そんな彼女が、今年の夏に惹かれているのはボヘミアンなスタイル。軽やかなシルエットには、レザージャケットなどのシャープなアイテムを加えて、フェミニンさと力強さを共存させるのがコツだ。さらに、シャネルCHANEL)のシューズとベルト、そしてオールドのセリーヌのニットブラも、今季のキーピース。「小さくて軽いのに、身につけると大きな印象を与えてくれるアイテムです」。どれも主張しすぎず、それでいてスタイリング全体に奥行きを与えてくれる絶妙な存在感を放つ。

ミニマルだけどスタイルにアクセントを与えてくれる今季のキーアイテム。
fashion-wardrobe-vj-pernille-01-chanel-item.jpgミニマルだけどスタイルにアクセントを与えてくれる今季のキーアイテム。

「サマーアイテムは“多用途性”が鍵。子どもが4人いるので、旅先に持っていける服は限られます。ひとつのアイテムを昼にも夜にも使えるのが理想」とペニーレ。クロエ(CHLOÉ)の白いトップにはフレアパンツを合わせ、そしてアライアALAÏA)の黒のスイムスーツとパンツのセットなど、シーンを選ばず活躍するルックが今の気分にぴったりだという。そんな視点から、いま気になっているのが、折り畳み可能なヴィンテージのエルメスHERMÈS)のケリーバッグ。「夜はクラッチに、昼はきちんとしたバッグに。荷物が少なくて済むし、いつか旅に持っていきたいと思っているアイテムなんです」と胸を膨らます。

旅先でも都市でも、ワードローブのひとつひとつが自分らしさを支えるものであること。その視点は、空間づくりにおいても変わらない。「この夏は、気分が上がるような、軽やかで、でも長く愛せるスタイルを大切にしたい」。彼女の言葉には、表面的なトレンドではなく、時間とともに深まる美意識がにじんでいた。

【2025年夏のウィッシュリスト】

1.クロエのショーツ

ショーツ ¥149,600(参考価格)/CHLOÉ
fashion-wardrobe-vj-kristina-chloe-shorts.jpgショーツ ¥149,600(参考価格)/CHLOÉ

この夏欲しいのは、軽やかなショーツ。昼はスウェットやヴィンテージTシャツ、シルクトップと合わせてカジュアルに。夜にはキャミソールとヒールでドレスアップも楽しめる万能ピース。

2.フィービー ファイロのビーチタオル

ビーチ タオル ¥98,000/PHOEBE PHILO
fashion-wardrobe-vj-kristina-phoebe-philo.jpgビーチ タオル ¥98,000/PHOEBE PHILO

家族でビーチに出かけるのが毎年恒例の夏の過ごし方。デンマークのビーチにはサンベッドやタオルのサービスがなく、自分で持参するスタイルだからこそ、「フィービー ファイロ(PHOEBE PHILO)が初めて出したタオルを見たとき、『これは絶対欲しい!』と思ったんです」。

Profile

ペニーレ・タイスベック(Pernille Teisbaek)

デンマー ク・コペンハーゲン出身のスタイリスト、クリエイティブ・ディレクター。16歳でモデルとしてキャリアをスタート。現在はブランドのコンサルティングを手がけるほか、ライフスタイル分野でも活動。

問い合わせ先/クロエ カスタマーリレーションズ 03-4226-3883

フィービー ファイロ www.phoebephilo.com

Photos: Polina Vinogradova, , Courtesy of Phoebe Philo(beach Towel) Text: Ko Ueoka Editor: Saori Yoshida

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