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「ほんとに放送してたの?」「今じゃ完全にアウト」32年前“異例の過激さ”で魅せた衝撃作…「ドラマ史に残る伝説」大反響のワケ

  • 2025.8.18

ドラマや映画のなかには、世の中の常識や価値観に疑問を投げかける作品があります。今回は、そんな“社会のタブーや偏見に挑んだ異作”を5本セレクトしました。本記事ではその第4弾として、ドラマ『同窓会』(日本テレビ系)をご紹介します。同性愛をテーマに、当時の地上波では異例の過激さで描かれた90年代の話題作。豪華キャストが挑んだ衝撃の人間模様とは――?

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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女優・斉藤由貴(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『同窓会』(日本テレビ系)
  • 放送期間:1993年10月20日~1993年12月22日
  • 出演: 斉藤由貴(安藤 / 折原 七月役)

安藤風馬(西村和彦)は、自分がゲイであることを受け入れられずにいました。高校時代からの親友であり、密かに想いを寄せていた中康介(高嶋政宏)への気持ちを隠したまま、その康介と以前交際していた折原七月(斉藤由貴)に結婚を申し込みます。

けれどもその直前、康介への想いを断ち切ろうとした風馬は、同性愛の世界を少しだけ覗いてみたいという気の迷いから、新宿二丁目で声をかけてきたバイセクシュアルの少年・嵐(山口達也)と関係を持ってしまいます。

風馬は彼が誰なのかを知らずにいましたが、実は嵐は、七月や風馬たちの高校の後輩である丹野唯子(田中美奈子)の弟でした。

一方、結婚後まもなく風馬が同性愛者であることに気づいた七月は、深い失望と混乱のなかで自暴自棄になっていきます。やがて深夜の新宿二丁目をさまよっていた彼女は、売春目的で立っていた嵐に声をかけられ、ビルの建設現場で肉体関係を持ってしまうのでした――。

「ドラマ史に残る伝説」と称された理由

『同窓会』は、1993年に日本テレビ系で放送された連続ドラマです。毎週水曜夜10時枠に放送され、脚本を手がけたのは『外科医有森冴子』などで知られる井沢満さん。主題歌には、Mr.Childrenの『CROSS ROAD』が起用されました。

出演は、斉藤由貴さん、西村和彦さん、高嶋政宏さん、田中美奈子さん、別所哲也さんなど、多彩な顔ぶれ。豪華キャストによる同窓生の再会劇……と思いきや、その実態は今では地上波放送が難しいとされ、「ドラマ史に残る伝説」とまで称される衝撃作です。

その理由のひとつは、同性愛のテーマが濃密に織り込まれていることです。とくに、ゲイをめぐる心の葛藤や、周囲との関係性の揺れを正面から描いた点において、当時の地上波ドラマとしては異例のアプローチでした。

さらに、描写も極めて大胆で、物語の冒頭にはヒロインの七月が毛ジラミに悩まされるというショッキングなシーンも。男性俳優の過激シーンや同性同士の親密なシーン、売春を匂わせる描写など、視聴者の倫理観を揺さぶるような展開が続きます。

あまりの過激な内容に、よくぞ各俳優の所属事務所が出演を許可したものだと驚かされる場面も少なくありません。今では考えられないような演出で、1990年代の地上波ドラマに一石を投じた作品です。

地上波プライムで放送された“異例すぎるドラマ”

1993年に放送された『同窓会』は、同性愛を真正面から描いた、当時としては異例のドラマでした。当時は、同性愛がまだ“異質なもの”として見られていた時代。だからこそ、全国ネットのプライムタイムで放送されたこの作品は、大きな衝撃とともに受け止められました。

ちょうどその頃、メディアでは“ゲイブーム”と呼ばれる現象も起こっており、情報が限られていた当時の当事者たちにとっては、自分の存在を肯定するきっかけになったともいいます。実際に、『同窓会』をきっかけにカミングアウトを決意したという人も――。

このドラマの放送は、やがてトランスジェンダーをはじめとした他のセクシュアルマイノリティの可視化にもつながっていきました。『同窓会』は、“観やすい”作品ではなかったかもしれませんが、セクシュアルマイノリティの存在を社会に示した、時代を先取りした一作でした。

社会がまだ追いついていなかった時代の挑戦

衝撃的な展開と過激な描写で、今も語り継がれる『同窓会』。

SNSでは「衝撃の内容でとにかく濃い」「壮絶な世界すぎる」「何度観ても衝撃」と、その濃密さに圧倒された声や「ほんとに放送してたの…?」「今は絶対無理」「今じゃ完全にアウト」と、当時の過激な表現に驚く声も。

一方で、「伝説のドラマ」「いつか2丁目に行きたいなと思った」「衝撃だったけど、愛について真摯に向き合っていた」といった称賛の声も多く寄せられています。ドラマ『同窓会』は社会のタブーや偏見に挑んだ、時代を先取りした名作です。


※記事は執筆時点の情報です