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「打ち切りはやめて」「これはマズいでしょ…」“抗議文送付”騒動勃発に物議…だけど「全人類観てほしい」熱狂ファン続出の名ドラマ

  • 2025.8.17

テレビドラマの中には、時に大きな波紋を呼び起こす作品があります。今回は、そんな中から“物議を醸したドラマ作品”を5本セレクトしました。本記事ではその第2弾として、ドラマ『ブラックペアン』(TBSテレビ系)をご紹介します。天才外科医と、新たに導入された最新医療機器をめぐる激しい攻防。その描写をめぐって、医療関係者から意見が寄せられた理由とは――。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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映画「8番出口」イベントに出席した二宮和也 (C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『ブラックペアン』(TBSテレビ系)
  • 放送期間:2018年4月22日 - 2018年6月24日
  • 出演: 二宮和也(渡海征司郎 役)

天才的な手術技術を持つ外科医・渡海征司郎(二宮和也)は、大学病院に籍を置きながらも出世に興味を持たず、医局では"万年ヒラ"として黙々とメスを握り続けています。

手術成功率は100%を誇りますが、傲慢な態度や言動がたびたび軋轢を生み、"オペ室の悪魔"と恐れられています。ある日、新任の医師によって「外科医の腕を全く必要としない」手術用最新医療機器が病院に持ち込まれ、新しい手術の形が導入されることに。技量に左右されず誰でも扱えるという心臓手術用の医療機器は、現場に波紋を広げました。渡海はその導入の裏に利権や思惑が潜んでいるのではないかと疑い、強く反発。こうして、新技術導入をめぐる激しい対立が幕を開けました――。

“シリーズ累計160万部突破”野望と嫉妬が渦巻く病院で繰り広げられる人間ドラマ

『ブラックペアン』は、2018年にTBSテレビ系「日曜劇場」枠で放送された医療ドラマです。主演は二宮和也さんで、本作が同枠での初主演作となりました。

舞台となるのは、嫉妬とプライドが渦巻く大学病院。最新医療技術の導入や医局内の派閥争い、命をめぐる決断が、張りつめた空気の中で描かれていきます。医療の限界、そしてその奥に潜む巨大な権力に立ち向かう外科医たちの姿を描いた、医療エンターテインメントの代表作です。

原作は、海堂尊さんの小説『新装版 ブラックペアン1988』(講談社文庫)。『チーム・バチスタの栄光』へとつながる“バブル三部作”の第1作にあたり、シリーズ累計発行部数は160万部を超えています。

原作者の海堂尊さんは、現役の医師でありながら、フィクションを通して日本の医療現場が抱える問題を鋭く描いてきた作家です。『チーム・バチスタの栄光』では第4回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、一躍注目を集めました。

脚本は、映画『変な家』や『七つの会議』を手がけた丑尾健太郎さんが担当しました。

キャストには、主演の二宮和也さんをはじめ、竹内涼真さん、葵わかなさん、加藤綾子さんらが出演。さらに、小泉孝太郎さん、内野聖陽さん、市川猿之助さん、倍賞美津子さんといった実力派が脇を固め、医療ドラマならではの緊迫感あふれる人間模様を描き出しています。

待望の続編に現れたもう一人の“悪魔”――その正体とは?

人気を博した医療ドラマ『ブラックペアン』は、その好評を受けて6年後の2024年に続編が制作されました。主演の二宮和也さんは、前作の渡海征司郎ではなく、新たな天才外科医・天城雪彦を演じています。

原作は海堂尊さんの小説『ブレイズメス1990』『スリジエセンター1991』で、“バブル三部作”の後半にあたる作品。

物語は、心臓外科専門の新病院に世界的外科医・天城が招かれる場面から始まります。天城は渡海と瓜二つの容姿ながら、グレーアッシュの髪と陽気な性格を持つ“もうひとりの悪魔”。特殊な手技を操り、手術の成否を運任せで決めるなど型破りな一面も。

世良雅志(竹内涼真)は複数の病院で経験を積み、心臓血管外科医として東城大に復帰。渡海への憧れを抱き続けてきた世良は、外見がそっくりなのに性格が全く異なる天城の登場に心揺さぶられます。

花房美和(葵わかな)、高階権太(小泉孝太郎)、佐伯清剛(内野聖陽)ら、前作のキャストも続投。テーマは「医療と金」と「医療革命」。正義と欲望が渦巻くなか、もうひとりの“悪魔”の登場が物語を大きく動かしていきます。

SNSでは、「続編は失敗が多いのに、ブラックペアンはどちらも素晴らしかった」という声が相次ぎ、高く評価されました。

専門機関が苦言を呈すも…「全人類観てほしい」称賛殺到の名作

ドラマ『ブラックペアン』は、スリリングな展開で多くの視聴者を惹きつけた一方、現実の医療現場との“ズレ”が物議を醸す場面もありました。

中でも注目を集めたのは、加藤綾子さんが演じた治験コーディネーター(CRC)の描写です。劇中では、治験参加者に300万円の小切手を渡す場面があり、この演出に対して日本臨床薬理学会が抗議を表明しました。

学会は、実際の治験コーディネーターは公正な立場で治験を支える重要な専門職であり、ドラマの描写は「まったく非なるもの」だとして抗議文を送付。現場の信頼性や職業倫理を損なう恐れがあるとして、強い懸念を示しました。

この学会は治験コーディネーターの認定制度を運営する専門機関でもあり、誤解を招く表現には厳しい目を向けざるを得なかったのかもしれません。

こうした指摘を受け、TBSテレビは本作をあくまでフィクションであり演出上の表現だと説明。学会との話し合いを進めていることを明かし、「最後まで視聴すれば作品の意図をご理解いただけると考えている」とし、判断を視聴者に委ねる姿勢を示しました。

SNSには、この描写をめぐって、「誤解される」「大変なお仕事なのに、あんな描かれ方は気の毒」「これはマズいでしょ…」といった否定的な声が多数寄せられました。

その一方、「何かにつけてクレームばかり。暮らしにくい世の中になった」「ドラマで描写されてる事全部が本当なんて思ってない」「打ち切りはやめて」と過剰反応ではないかとする擁護の声や打ち切りを危惧する声も。

このように、作品のリアリティをめぐって視聴者の受け止め方は分かれましたが、ドラマそのものの評価は依然として高く、SNSには、「死ぬほど好きなので全人類観てほしい」「非の打ち所が見当たらない」「作品を作り上げるすべての要素が至高で、最高傑作」といった絶賛の声が寄せられています。

批判と擁護が交錯する中で浮かび上がったのは、「フィクションとしての表現の自由」と「現実の専門職への配慮」という境界線です。
リアリティとドラマ性のバランスを改めて問いかけた本作は、まさに“物議を醸した名作”と言えるでしょう。


※記事は執筆時点の情報です