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部下のモチベーションを下げる…。『嫌われる上司』が無意識に言っている、“恐怖のフレーズ”とは?【プロが監修】

  • 2025.8.7
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

職場の空気がどんよりするのを感じたこと、ありませんか?「なんとなく部下の元気がない」「相談されなくなった」そんな変化が現れたとき、もしかすると上司の何気ない一言が原因かもしれません。部下は怒鳴られたり、大げさに叱られなくても、日々の細かな言葉の積み重ねでじわじわと精神的な負担を感じ、やがて「静かに辞める」という選択に至ってしまうことがあります。

今回は、『嫌われる上司』が無意識に放ってしまう“恐怖のフレーズ”に焦点を当て、その背景や影響について考察します。なぜ言った本人は気づかないのか、そしてどうすれば部下の信頼を失わずに済むのか、ぜひ最後までお読みください。

無意識に言っている恐怖のフレーズが生む職場の“静かな死”

「お前さえいなければ」「そんなこともできないのか」「自分で考えろ」など、強烈な言葉は誰でも上司として控えます。

でも、多くの“嫌われる上司”はもっとささやかな言葉を放っています。

例えば、「それは常識だ」「前も言ったよね」「遅いよ」「また同じミス?」「教えたはずだ」などの否定的な言葉を無意識に使ってしまいがちです。これらのフレーズは決して激しい怒りではなく、軽い苛立ちや注意のつもりで発せられますが、受け取る部下は違います。

心理学の研究によれば、職場でのネガティブな言葉はストレスホルモンの分泌を促し、心理的なダメージを与えることが知られています。

特に頻繁に繰り返されると、自己肯定感が低下し、「自分はダメな存在だ」と思い込むようになってしまうのです。

また、「常識だろう」などの言葉は、部下の成長過程や背景を全く考慮しない一方的な価値判断の押し付けであり、コミュニケーションの断絶を生む原因になります。結果として部下のモチベーションは下がり、職場で存在感を失い、やがて辞めてしまうケースが多いのです。

背景にある“無意識の負のコミュニケーション”と改善のヒント

なぜ上司はこんな言葉を無意識に発してしまうのでしょうか?それにはいくつかの理由があります。

まず、忙しい職場環境での疲労感やストレスから、短絡的にイライラを表現してしまうこと。

次に、自分が若手の頃に受けた指導スタイルをそのまま踏襲し、感情や配慮が薄れている場合。さらに、細かいミスに気づくほど責任感が強く、部下の成長を期待するがゆえに厳しくなってしまうパターンです。

具体的には、「教えたはずだ」「これくらいできて当然だ」といった発言は、上司自身の経験や能力を基準にしており、部下の個々の成長過程や違いを無視しています。

また、部下の報告や相談を遮ったり、「自分で考えろ」と言って突き放す態度も信頼関係を損ねる原因になります。こうした言葉と態度が繰り返されると、部下は「自分は価値がないのかもしれない」と感じ、日々の成果や改善の意欲を失ってしまいます。

改善のカギは「意識的な言葉選び」と「ハートフルなコミュニケーション」です。

たとえば、同じ指摘をするにしても「ここはこうするともっと良くなるよ」と前向きな提案に変えるだけで、受け取る印象は大きく変わります。また、部下の話を最後まで聞き、理解を示してから自分の意見を伝えると信頼関係が築けます。上司自身が自分の言葉や態度を振り返り、部下への配慮を心がけることが、離職予防につながるのです。

職場の信頼を取り戻す第一歩は「言葉の意識改革」から

部下が密かに去っていくのは、派手なトラブルや激しい衝突がなくても起こります。多くの場合、その原因は日常会話に潜む“恐怖のフレーズ”。無意識に発してしまいがちな言葉が、知らず知らずのうちに部下の心をすり減らし、やがて離職という結果を招いています。

しかし、これは決して変えられない運命ではありません。まずは上司自身が自分の発言を意識し、部下の立場に立った言葉遣いや態度を習慣化することが大切です。そして、否定ではなく承認を中心に据えたコミュニケーションを心がけるだけで、職場の空気はぐっと良くなり、部下との信頼関係も深まります。

「静かに辞める部下」を増やさないために、あなたもぜひ日々の言葉に注意を払ってみてはいかがでしょうか?言葉が変われば、職場の未来も変わるはずです。


監修者:川谷潤太(かわたに じゅんた)(株式会社脳レボ 代表)

兵庫県の大手学習塾において、当時最年少で校長に就任後、1教室で1,000名以上の生徒が通う学習塾に発展させ、講師研修や入試特番テレビのコメンテーターなども務める。

その後、岡山県の創志学園高校へ赴任し、学校改革とスポーツメンタル指導を担当。史上最速、創設1年、全員1年生で甲子園に出場した硬式野球部では3季連続甲子園出場を果たし、6名のプロ野球選手が誕生。ソフトボール部では3季連続日本一、柔道部では日本一や世界一の選手も輩出した。

2019年に株式会社 脳レボを創設し、オリンピック選手やプロ野球選手など、アスリートやスポーツチームへのメンタル指導、子ども・保護者・教員向けの教育講演、企業の人材育成マネジメントや研修などを手がけ、講演回数は8年間で1,500回以上、受講者は12万名を突破。脳科学や大脳生理学、バイオフィードバック工学をベースとした、具体的かつ実践的な手法により、多くの方の願望目標達成をサポートしている。