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食べ物を噛まない子どもにどんな影響がある?くろさき歯科院長黒崎先生にお伺いしました

  • 2025.7.11

子どもが食べ物をあまり噛まないままだと、どんなリスクがある?きちんと噛むように指導した方がいい?そんな問いについて、医療法人社団アーユスくろさき歯科院長の黒崎俊一先生からお伺いしました。

ママ広場

お子さまにとって「よく噛むこと」は、心身の健やかな発達だけでなく、将来の歯の健康を守るうえでもとても大切です。ところが、現代の食生活では、柔らかい食べ物が中心になり、噛む回数が少なくなり、早食いや偏食が咀嚼の機会を減らしています。
では、子どもが「しっかり噛まない」と、どんな悪影響があるのでしょうか?以下に具体的にご説明します。

1)顎の発育と歯並びへの影響

咀嚼は顎の骨と筋肉を育てる刺激です。噛まない子どもは顎が小さくなりがちで、歯がきれいに並ぶスペースが不足し、歯並びが悪くなる原因となります。結果的に、将来的な矯正治療のリスクも高くなります。顎の骨を切らなければ歯科矯正ができないケースもあります。

2)嚙み合わせの乱れ

左右どちらかばかりで噛んだり、前歯を使わず丸飲みする癖は、噛み合わせのズレにつながります。これにより、全身の姿勢に悪影響が及ぶこともあります。当院にお見えになる患者様で体が歪んでいる方は、ほぼ例外なく、噛み合わせが乱れています。

3)消化不良と栄養の吸収低下

噛まずに飲み込むことで、胃腸に大きな負担がかかります。とくに消化器官が未熟なお子さまにとっては、栄養の吸収効率が下がり、発育にも影響する可能性があります。

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4)脳の発達の妨げに

噛む刺激は脳の血流を活性化し、記憶力や集中力の向上につながることが報告されています。逆に噛むことが減ると脳の刺激が足りず、学習にも影響を及ぼす可能性があります(※参考:Mastication as a stress-coping behavior, Frontiers in Neuroscience, 2015)。
これは私見ではありますが、咀嚼は脳の活性化に影響があるなら、認知症にも影響があると考えられます。

5)歯周病リスクと歯の喪失

見落とされがちなのが、「咀嚼不足が歯周病のリスクを高める」という点です。咀嚼には唾液の分泌を促す働きがあり、唾液はお口の中の細菌を洗い流し、歯周病の原因菌の繁殖を抑える重要な役割を持っています。咀嚼が不足すれば唾液量が減少し、歯ぐきの周囲で炎症が起こりやすくなります。これが長期的に続くと、歯周病が進行し、最終的に歯が抜けてしまうリスクさえあります。

「噛まないこと」は、単に顎の発育や消化の問題だけでなく、将来の歯の喪失という深刻な結果にもつながるのです。歯を喪失することで、咀嚼ができなくなり、軟らかいものを食べるようになり、さらに咀嚼力が低下するという悪循環になります。お子さまのリスクから、高齢者になるまでの話につなげたので、驚かれたかもしれませんが、それくらい咀嚼は生活に影響を与えるのです。

保護者の皆さまへ

お子さまがよく噛んで食事をすることは、健やかな成長と将来の歯の健康、そして全身の健康を支える大切な習慣です。ご家庭でも「一口30回噛む」「噛みごたえのある食材を取り入れる」「姿勢を整えて食事する」などを心がけてみてください。合わせて、保護者の皆さまがご自身のお口について再確認をしていただく機会になれば幸いです。
気になる点があれば、歯科医師にご相談ください。

執筆者

プロフィールイメージ
黒崎俊一
黒崎俊一

くろさき歯科院長
補綴の専門医として精密な入れ歯治療や咬み合わせの改善に取り組む。治療用の入れ歯で咬み合わせを整えてから、本入れ歯を作成する「2段階入れ歯」は、お口に合いやすい設計方法となっています。近年は入れ歯の不快感を和らげるノンベース入れ歯や、難症例に対応するため、ワイヤーとマウスピースを併用する「いいとこどり矯正」など、先進的な治療を実践しています。院内にはマイクロスコープ、CT、口腔内スキャナなどの最新設備を備え、専門医がチームを組んで治療にあたる体制を整備しています。臨床心理士や管理栄養士などの専門家も交えた「第3世代の歯科治療®」を提唱し、口腔から全身・メンタルまでを見据えた総合的な診療を行っている。

くろさき歯科

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