医師「朝イチは避けて」→実は『血糖値』が急上昇するかも…気をつけたい“NGな飲み物”とは？【医師が監修】

2025.7.25

毎朝目が覚めたら、まず一杯の飲み物で喉を潤す方は多いですよね。でも、実はその「朝一番に飲む飲み物」が、血糖値を急上昇させることがあるのをご存知でしょうか？血糖値が急激に上がるとエネルギーの波が乱れ、体調に悪影響を及ぼすことも。

医師も「朝一に飲むのは避けたほうがいい」と指摘している飲み物とは、一体何なのでしょうか？今回は、どんな飲み物が血糖値を急激に上げてしまうのか、そして健康的な朝の飲み方について専門家の視点を交えながら詳しく解説します。

体が迎える“朝の仕組み”が血糖値を押し上げる理由

夜寝ている間、体はエネルギーをなるべく節約しながら、生命活動を維持しています。そのため、就寝中の血糖値は比較的安定していますが、朝になると「体を目覚めさせて活動モードに切り替えなさい」と指令が出されます。この指令の中心はホルモンの分泌に関係しています。

特に「コルチゾール」や「グルカゴン」といったホルモンが朝に多く分泌されます。これらは肝臓に貯蔵されているグリコーゲン（糖の一種）を分解して血液中に放出させる働きがあり、眠っている間に減った血糖値を効率的に補充する役割を担っています。この働きが、計算された“朝のエネルギーチャージ”と言えるでしょう。

しかし、この自然の反応で血糖値が少し上がりすぎてしまったり、体の血糖値を下げるインスリンの効きが弱まったりすると、朝の血糖値が普段より高くなることがあります。そこに過剰に糖分が含まれた飲み物などを摂取することにより、さらに血糖値が上がってしまう場合があるのです。

朝一番に避けたい『NGな飲み物』とは？

朝起きてすぐに糖分たっぷりの飲み物を口に入れると、血糖値が一気に跳ね上がりやすくなります。特に、市販のフルーツジュースやスポーツドリンク、砂糖入りのコーヒーや紅茶などは要注意。これらにはたくさんの「単純糖質」が含まれていて、胃腸もまだ目覚めきっていない朝に摂取するとインスリンの分泌が一時的に過剰に促され、血糖値が急激に下がる可能性が。

血糖値が急上昇した後に急激に下がる「血糖値スパイク」は、集中力の低下や疲労感を引き起こします。この血糖値の乱高下は血管にダメージを与える可能性があり、心筋梗塞や脳卒中による突然死のリスクを高めるとされています。また、慢性的に繰り返すと糖尿病のリスク増大にもつながることもあります。

血糖値を安定させる理想の朝の飲み物

では、朝一にどんな飲み物を飲むのがベストなのでしょうか？答えは、カロリーや糖分がほとんど含まれていないもの、そして身体を優しく目覚めさせてくれる飲み物です。例えば、水や白湯、無糖の緑茶や麦茶はおすすめ。これらは血糖値にほとんど影響を与えず、体内の水分補給もしっかりサポートします。

また、朝食時には低GI（グリセミックインデックス）食品や食物繊維と一緒に飲むことで血糖値の急上昇も防げます。最近はノンカフェインのハーブティーも人気で、リラックス効果を得つつ、胃腸を整えるのに役立つでしょう。コーヒーを飲みたい方は、無糖でブラックにするか、ミルクだけを少量加えるのが理想的です。

飲み物も意識して健康に

朝一番の飲み物選びは、血糖値のコントロールだけでなく、1日を通しての体調やエネルギーの質にも大きく影響します。甘いジュースや砂糖入り飲料は、血糖値を急上昇させるためできるだけ避け、まずはシンプルな水分補給から始めるのが賢明です。

また、朝の飲み物を変えることは簡単にできる健康習慣のひとつ。血糖値の急激な変動を防ぐことで、集中力や疲労感の緩和にもつながります。忙しい朝でもちょっとした意識の違いで、体も心も快適な1日をスタートさせましょう。

池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック東京豊島院院長：柏木宏幸

埼玉医科大学医学部卒業。東京女子医科大学消化器内科にて助教として勤務。複数の医療機関で臨床経験を重ね、2023年に現クリニックを開院。胃がん・大腸がんの早期発見と内視鏡検査の普及を目指し、企業や地域住民を対象とした健康診断や生活習慣病の治療をはじめ、一般内科および消化器疾患の診療に幅広く取り組んでいる。また、クリニックのYouTube(https://www.youtube.com/@HKa-wb4jw)を通じて医療知識や内視鏡検査の重要性を発信し、医療情報の普及活動にも尽力中。

池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック東京豊島院：https://www.ikebukuro-cl.com