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実は危険?!→定期預金だけでは『お金が減る』可能性も…見落としがちな“3つの落とし穴”とは?【FPが解説】

  • 2025.7.29
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「安全第一」で資産運用を考えると、定期預金が手堅い選択肢です。利子は少なくても元本保証が大きな安心材料になります。

しかし、実際には定期預金にはメリットがあるのでしょうか?金融の仕組みや経済の動きを少し知ることによって、定期預金に隠れたリスクも見えるかもしれません。

今回の記事では、資産運用を始める前に押さえたい「定期預金の3つのリスク」について、わかりやすく解説します。

定期預金のメリットと気になるポイントを解説

定期預金は、銀行に一定期間お金を預けることで、普通預金よりも高い利率が得られる商品です。

元本保証と利子の確定が大きなメリットになります。投資経験が少ない方でも、手が出しやすい人気の資産運用です。しかし、今の日本の低金利環境では、定期預金の金利は、0.01%〜0.2%程度と非常に低いです。それほど、大きな利益は期待できません。

定期預金には「預けた期間中は原則引き出せない」「中途解約すると利子が減る」などの制約もあります。つまり、安全と流動性の相反する関係をを示します。「本当にメリットがあるのか?」と思われるのも、無理はありません。

定期預金は「損はしないけれど、大きく増えない」という立ち位置です。これが、定期預金を始める前に知っておくべき第11のポイントです。

知っておきたい定期預金の3つのリスクとは?

では具体的に、定期預金にひそむ3つの重要なリスクを見ていきましょう。

1.インフレリスク

定期預金の利率は固定されています。物価が上がって、お金の価値が目減りするインフレが起きた場合、実質的な元本価値が減ります。例えば、年率2%のインフレが起こった場合、利子0.1%の定期預金では、実質的に損をしている計算です。預けたお金の価値が減るのは、大きなリスクです。

2.流動性リスク

定期預金は、原則として満期までお金を引き出せません。急な出費や資金が必要な場合、中途解約をすると、利子が大幅に減る可能性があります。最悪の場合、ほとんど利息が付かないかもしれません。ライフプランや資金計画を事前に立てないと、資金繰りの苦境に陥る可能性があります。

3.機会損失リスク

定期預金にお金を預けている間に、他の資産運用(株式投資、不動産、投資信託など)で大きなリターンを逃してしまうリスクです。特に若い世代や長期で資産を増やしたい方は、将来得られるはずの収益を失うことは無視できないデメリットでしょう。

リスク名 内容 注意点・影響
インフレリスク 利率固定で物価上昇に追いつかず、実質的な価値が減る インフレ率が利率を上回ると損失する
流動性リスク 満期前は基本引き出せず、中途解約で利子が減少する 急な資金需要に対応しづらい
機会損失リスク 他の投資で稼げる可能性を逃す 資産増加の可能性を失う恐れがある

「リスクに備える」賢い定期預金の使い方と資産運用のコツ

インフレリスクに備えるには、複数の資産を分散するのが鉄則です。

定期預金を全財産の中の「安全枠」と割り切ってください。その一部を、インフレに強い資産(例えば、株式や不動産投資信託など)に振り分けましょう。このような対策によって、インフレによるリスクを分散できます。

流動性リスクについては、資金の余裕度を考えなければなりません。「何にいつ使うのか」を明確にする必要があります。生活費の数か月分は、普通預金や流動性の高い資産で管理するのが基本です。定期預金に預ける場合は「当面使う予定のない余剰資金」にとどめましょう。

機会損失リスクへの対策としては、自身の資産形成の目的と期間を明確にしてください。資産全体を、バランスよく配分することが重要です。将来的な資産形成を目指す場合は、リスク許容度に応じて、株式や投資信託などへの分散投資を検討しましょう。たとえば、新NISAやiDeCoなどの制度を活用することで、税制優遇を受けながら、長期的な資産運用が可能です。

定期預金は「安全資産」として活用しよう

定期預金は、元本保証と固定利率の「安心感」が魅力です。

しかし、定期預金が絶対に安全とは言い切れません。インフレや流動性の制限、機会損失などのリスクがあります。「全財産を預ければ安心」という考えには注意が必要です。

大切なのは、自身のライフプランや資産形成の目的に合わせることです。

定期預金を「安全資産の一部」として活用しましょう。これによって、資産全体のリスクが抑えられます。資産運用は「守り」と「攻め」のバランスがカギです。適切なリスク管理のもとで、将来につながる資産運用を行いましょう。


監修者:石坂貴史

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証券会社IFA、2級FP技能士、AFP、マネーシップス運営代表。1,000件以上の記事執筆や校正、監修歴。為替・株式相場の分析、ライフプランニング相談業務のご依頼を承っています。ポートフォリオ理論、行動経済学に基づいた資産形成相談に対応しています。