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「なんでこのタイトル?」“タイトルの意味”に疑問を抱く視聴者も…だけど「感動で鳥肌が立つ」明かされた瞬間“号泣必至”の名映画

  • 2025.8.6

ドラマや映画の中には、人生を見つめ直すきっかけをくれる作品があります。今回は、そんな中から"心に問いかけられる名作"を5本セレクトしました。本記事ではその第5弾として、映画『花まんま』(東映)をご紹介します。大阪の下町で、たった二人で生きてきた兄妹。結婚式を前日に控えた妹が明かした“秘密”とは――。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

 

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映画「花まんま」完成披露プレミア試写会であいさつをする有村架純(C)SANKEI
  • 作品名(配給):映画『花まんま』(東映)
  • 公開日:2025年4月25日
  • 出演: 鈴木亮平(加藤俊樹 役)

    大阪の下町で、たった二人で寄り添うように生きてきた兄妹がいました。兄・俊樹(鈴木亮平)は、亡き父と交わした「妹だけは絶対に守る」という約束を胸に、親代わりとなってフミ子(有村架純)を育ててきました。

幼い頃から、フミ子には自分とは別の女性(繁田喜代美)の記憶がありました。まるで“生まれ変わり”のように、彼女の中に若くして事件に巻き込まれ命を落とした女性の心が宿っていたのです。あれから22年――。結婚式の前日、フミ子が抱え続けた真実が明らかになるのでした――。

17年越しに実現した“直木賞受賞作”の映画化

本作の原作は、2005年に第133回直木賞を受賞した朱川湊人さんの同名小説『花まんま』です。大阪の下町で暮らす兄妹の不思議な体験を描いた文庫本で60ページ足らずの短編ながら、累計20万部を超えるロングセラーとなりました。作者の朱川さんは、ホラーや情緒豊かな短編で高く評価されている作家です。

監督は、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』や『そして、バトンは渡された』などで知られる前田哲さん。17年前に一度企画を立ち上げたものの当時は実現せず、長年温めてきた思いを胸に、今回ついに映像化を実現させました。

キャストには、兄・俊樹役にTOKYO MERシリーズの鈴木亮平さん、妹・フミ子役に『ちひろさん』『海のはじまり』の有村架純さんが抜擢され、フミ子の婚約者・中沢太郎役に鈴鹿央士さん、幼なじみの駒子役にファーストサマーウイカさんが出演しています。

俊樹とフミ子が暮らす家は、関西特有の二階建て文化住宅を忠実に再現するため、わざわざセットが建てられました。また、キャストの多くが関西出身であることから、自然な関西弁のやり取りが作品に一層の深みを与えています。

小説から始まり、映画、スピンオフ、そしてコミックへ―

小説『花まんま』の映画化にあわせて、公式スピンオフ小説集花のたましい』が2025年3月24日に発売されました。

原作者の朱川湊人さんが、映画の脚本や撮影現場からインスピレーションを受けて書き下ろしたもので、ファーストサマーウイカさん演じる駒子を主人公にした表題作『花のたましい』や、俊樹の勤め先の社長と駒子の父親の幼少期を描く『百舌鳥乃宮十六夜詣』など、全4篇が収録されています。

さらに、2025年4月4日にはムライさん作画によるコミック『花まんま/昨日公園』も発売されました。本書には、『花まんま』を原作としたコミカライズに加え、朱川さんの代表作『昨日公園』が収められており、2つの物語を一冊で楽しめる構成になっています。

小説、映画、スピンオフ、そしてコミックへと広がりを見せている『花まんま』。これほど多岐にわたって展開されたのは、この物語が多くの人々の心に届いた証といえるでしょう。

小さな花のお弁当が紡ぐ、記憶と絆の奇跡

映画のタイトルにもなっている「花まんま」とは、子どもがままごとで作る小さな花のお弁当のことです。白いつつじをごはんに、赤いつつじを梅干しに見立てたその“弁当”は、この物語のキー・アイテムです。

本作の見どころのひとつは、妹のフミ子が繁田仁(酒向芳)に届けた花まんまが、亡き娘・喜代美の思い出と重なる場面です。フミ子の中にある喜代美が父・仁と一緒に何度も作った温かな記憶が、その小さなお弁当に込められています。フミ子から食事が喉を通らない繁田仁に届けられた花まんまには、亡き喜代美に代わって「ごはんを食べてね」という優しい願いが託されていたのでしょう。

娘を失った悲しみと後悔から長く閉ざされていた仁の心が、花まんまを通して少しずつほどけていく瞬間、観客もその想いに寄り添い、自然と涙があふれます。

生まれ変わり」というファンタジー要素を含みながらも、物語の根底には兄妹の深い絆や、大阪の下町で育まれる人情の温かさが流れています。

SNSには、「なんでこのタイトル?」と作品を視聴しはじめてすぐには理解できなかった人も「タイトルの意味がわかった瞬間、画面の中の仁と一緒に号泣。いい意味で裏切られた」「涙が止まらなかった」「感動で鳥肌が立つ」「期待を超えた傑作」「圧巻で感動した」「心が温かくなる優しい映画だった」と絶賛の声が相次いでいます。

喪失と再生、記憶と絆という普遍的なテーマを「花まんま」を通して描いたこの作品は、前田哲監督が約20年近く温めてきた思いの結晶。細部まで作り込まれた演出と、俳優陣の確かな演技が重なり、単なるファンタジーを超えて、深く心に響く名作です。


※記事は執筆時点の情報です