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「2025年7月5日、終末論予言によって国外脱出は増えたのか?」現役旅行会社員が明かす“Xデーのウラ側”

  • 2025.7.22
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

2025年7月5日。この日を境に「日本が滅亡する」という予言がSNSで拡散され、一時は大きな話題となった。終末論的な予言に対し、果たして日本人はどのような行動を取ったのか?「国外脱出」の動きは本当にあったのか?

予言が最も話題になった7月初旬は、ちょうど夏休みシーズンの始まり。旅行需要が高まる時期と重なったことで、業界関係者は通常とは異なる動向を注視していた。一部では「外国人観光客が減った」「航空会社が減便した」といった情報も流れ、予言の影響が実際にあったのではないかとの憶測も飛び交った。

そこで今回、アメリカに長年在住の後、日本の大手旅行会社に5年以上勤務し、現場の最前線で顧客対応を行う現役社員に独占インタビューを実施。7月5日前後の「現場のリアル」を詳しく聞いた。コロナ禍を経験した旅行業界が、今度は「予言騒動」にどう向き合ったのか。その実態を明らかにする。

コロナほどの衝撃はなかった?

-- 7月5日前後、「日本滅亡予言」に関連した予約への影響はありましたか?

結論から申し上げると、コロナ流行時ほどの影響は全くありませんでした。日本人については予言はあくまでも予言と捉えられる方が多いようで、旅行をキャンセルするまでの動きにはなっていないと感じています。

海外の一部地域では風水や予言を信じるような文化があるところもあるようですが、そういったところでは日本への渡航を中止したりするケースは見られたようです。観光業全体としてもコロナ前までの水準には回復していますので、今回の予言で何か大きな影響があったかといえば、そこまでの影響はなかったと思います。

予言されていた7月5日時点では大災害は何も起きていないですしね。

-- 地域別で顕著な影響が見られたエリアはありましたか?

前の質問でお答えしたように、一部地域の航空会社も減便をするなど影響が出るほどでしたので、その地域に限れば日本渡航への影響は少なからずあったかと思われます。

ただ、航空会社も就航路線も様々な目的地があるので「特にこの地域で影響が出た」という断定はできないと思います。また、日本では南海トラフ地震が近々起こると予言されていますが、海外では「日本で地震が起きる」というざっくりとした認識なので、我々日本人とは感覚が異なると思います。

「国外脱出」は増えたのか?

-- 7月初旬にかけて、いわゆる「国外脱出」的な問い合わせや需要の変化は見られましたか?

大災害の予言が7月、夏休みシーズンに突入する時期ということもあり、一般的に旅行需要が増える時期に当たります。「国外脱出」が目的で渡航される問い合わせはないですが、もしかしたら裏ではそのような意図がある人は一定数いるかもしれませんが、今のところは特別大きな変化は見られないような状況です。

-- 一部SNSでは「京都で外国人観光客の数が減っていた」という投稿が話題になりました。外国人旅行者の動向に変化は感じられましたか?

外国人観光客は京都のみならず日本全体で旅行者が増えつつある状況です。政府発表のように訪日客数が過去最多を更新する勢いで増えており、オーバーツーリズムも問題になっています。

その中での予言の影響の判別は難しいですが、夏場の猛暑も相まって外に出ている外国人が少なくなったということは考えられます。訪日客については特段大きな影響はないと見ています。

「スタッフ内でも話題になりました」

-- 7月上旬の特殊な旅行動向について、現場スタッフの間で話題になったことはありますか?

予言についてはスタッフ内でも話題になりました。反応は様々ですが、旅行に慣れているスタッフも多いところもあり、あまり重大な認識とはとらえていないようです。

ただ、防災意識を高める点としては良い機会で、万が一災害が起こった際の対応を見直す良い機会にはなっております。様々な事態を想定して万全の対応ができるよう一致団結しております。

--「キャンセル無料」「災害補償付きプラン」など商品・サービス面での対応の変化はありましたか?

キャンセル無料プランなどについては、基本的にキャンセル理由によっては証拠の提出が必要な場合がございます。今回の予言のような場合は証拠が出せないと思いますので、適用されないと思っていただいた方が良いと思います。

ただし、航空会社等が減便対応したことによるキャンセルなどは対象となる可能性がありますので、状況に応じてご利用いただければと思います。旅行をキャンセルにせざるを得ない理由は多々ありますが、キャンセル料金なく補償される点は経済的なメリットがあると思いますので、旅行を検討される際は活用いただければと思います。

万が一への備えを見直す機会に

2025年7月5日に話題となった「日本滅亡予言」騒動を振り返ると、SNS上の盛り上がりとは裏腹に、旅行業界への実際の影響は予想以上に限定的だったことが明らかになった。
コロナ禍という未曾有の危機を経験した業界にとって、今回の予言はある意味で「想定の範囲内」だったのかもしれない。

また、今回の騒動が「防災意識を高めるきっかけ」として前向きに受け止められている点にも注目したい。
旅行業界は、常に自然災害や突発的なリスクと隣り合わせにある。予言の真偽はともかく、万が一への備えを見直す機会となったことは、決して無駄ではなかったはずだ。

夏休みシーズンという繁忙期に重なった今回の騒動は、結果として「杞憂」に終わった。
とはいえ、この経験は、業界が“もしも”に備える体制をあらためて見直す機会となったのかもしれない。
予言が外れた7月5日以降も、日本の旅行業界は着実に復調の歩みを進めている。



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