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夏かぜかと思ったら『熱中症』だった … 小児科医が教える、“子どもの体調異変”と見極めるポイントとは?【医師が監修】

  • 2025.7.22
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

暑い夏の日、外で元気に遊ぶ子どもたちを見ていると、「熱中症の心配は大人ほどではないのかな?」と思いがちですが、実は子どもは大人よりも熱中症になりやすいんです。子どもの体は未熟で、大人が感じる以上に熱に弱く、気づかぬうちに体調を崩してしまうことも。さらに、夏かぜと熱中症の初期症状は似ているため、親としては見分け方を知っておくことが非常に重要です。

今回は、子どもの熱中症のリスクや夏かぜとの違いをわかりやすく解説し、夏を安心して過ごすためのヒントをお伝えします。

なぜ子どもは熱中症になりやすいの?

子どもが熱中症にかかりやすい理由はいくつかあります。まず、子どもは体の体温調節機能が大人に比べて未発達です。

汗をかいて体温を下げる仕組みがまだ十分に整っていないため、暑さへの適応が難しいのです。また、体の表面積に対して体重が小さいため、熱の吸収や放出が大人より速く、体温が急激に上昇しやすいのも特徴です。

加えて、遊びに夢中で水分補給を怠りがちだったり、暑い環境でも無理をしてしまうことも。周囲の大人がこまめに声をかけ、日陰や涼しい場所で休ませることが大切です。学校や保育園でも熱中症対策が進められていますが、家庭でも予防意識を持つことが必要です。

熱中症と夏かぜ、どう見分ける?体調不良の見極め方と対策

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

熱中症と夏かぜは、初期の症状が似ているので見分けにくいことがあります。どちらも熱が出たり、だるさや頭痛があったり、食欲不振になる点は共通しています。しかし、ポイントを押さえれば違いを見つけることができます。

<熱中症の場合>
暑い中での長時間の活動や、汗をかいているのに体調が急に悪くなることが多いです。子どもが汗をかき続けても体が熱くなり、意識がぼんやりしたり吐き気、嘔吐があれば熱中症の可能性が高いでしょう。熱中症は急激かつ高熱になることがあります。
<夏かぜの場合>
ウイルスによって起こるため、くしゃみや鼻水、喉の痛みなど風邪らしい症状が先に出ることが多く、咳が出ることもあります。
体温の上がり方も異なり、夏かぜはこれらの症状の後などに熱があがることがあります。

ただし、もちろん家庭での判断は難しい場合も多いため、気になる症状やぐったりしているなどの症状があれば早めにかかりつけ医を受診しましょう。

また、熱中症の場合は暑さだけではなく塩分不足などの可能性もあるため、塩分補給なども忘れずに。またジュースは水分としては不十分ですので水や塩分の入っているスポーツドリンクなどの摂取がよいでしょう。

熱中症を防ぐためにできること、知っておきたいポイントまとめ

子どもを熱中症から守るには、普段の生活から注意したいポイントがあります。

まず、外遊びの際は暑さが厳しい時間帯(正午から午後3時頃)をなるべく避けること。帽子や薄手の長袖シャツで直射日光を防ぎつつ、涼しい場所で休憩をこまめに入れましょう。こまめな水分補給は必須ですが、スポーツドリンクのように適度な塩分が含まれているものもよいでしょう

また、子ども自身にも「暑さで体が疲れやすいこと」「のどが渇く前に水分を取ることの大切さを教えておくと安心です。体調に異常を感じた場合はすぐに涼しい場所に移動し、衣服をゆるめて冷やし、必要に応じて医療機関に相談しましょう。

最後に、熱中症は予防できる病気です。正しい知識と日常のちょっとした心がけで、子どもたちが夏を元気に過ごせるようにしましょう。


監修者:ことびあクリニック恵比寿院 金井 幸代(かない さちよ)

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医師(日本小児科学会 小児科専門医 / 医学博士)

徳島大学医学部を卒業後、国立がん研究センター研究所や国立国際医療研究センター病院などで研鑽を積み、NICU・小児病棟で重症児の治療に携わってまいりました。地域では感染症や喘息、アレルギー、予防接種など幅広い診療経験を重ねています。小児科専門医・医学博士として、そして母としての視点も活かし、子どもたちの健やかな成長とご家族の安心を支える医療を大切にしています。

ことびあクリニック恵比寿