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医師「効果がありません」 プール熱に子供が感染したら…医師が教える『NG行動4選』とは【医師の監修】

  • 2025.7.17
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

暑い季節になると子どもたちの間で流行しやすい「プール熱」。通称アデノウイルス感染症の一種で、発症すると発熱や喉の痛み、目の充血などが見られます。もしお子さんが「プール熱」にかかってしまったら、親としてやるべきことは何でしょうか?その一方で、実は避けたほうがいいNG行動もあるのです

この記事では、医師の指導にもとづいて「プール熱に感染した子どもに対してやってはいけないこと」をわかりやすく解説します。大切な家族の健康管理のために、知っておきたいポイントをしっかり押さえていきましょう。

プール熱ってそもそも何?感染したらどんなトラブルが?

「プール熱」は主にアデノウイルス3型や4型が原因になる感染症です。名前からプールを連想しますが、水中で感染するのではなく、咳やくしゃみ、手指を介した接触などでうつる飛沫感染や接触感染がメインです。プールが閉鎖的な空間で人が密集しやすいため、流行しやすい傾向にあるため、このような名称がついています。

子どもがプール熱に感染すると3~5日程度続く発熱のほか、のどの痛み、リンパ節の腫れ、目の充血や目やになどの症状が出ることがあります。また、時には中耳炎やまれに肺炎脳炎など合併症が起こることもあるため、注意が必要です。

親としては「すぐに治したい!」、「できるだけ苦しませたくない」と思うものですが、プール熱はウイルス感染症であり、特効薬はなく、解熱剤などの処方が基本となりますが、解熱剤は根本の治療ではありません。そのうえ、プール熱についての知識があまりなく、間違った対応をしてしまうと症状の悪化や周囲への感染拡大のリスクを高めてしまう恐れがあるのです。

「プール熱」に感染したときやってはいけないNG行動4選

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

ここからは、特に注意が必要なNG行動を詳しくご紹介します。感染拡大や子どもの症状悪化につながらないためにも、この内容をしっかり理解しておきましょう。

1. 学校・保育園に行かせる

プール熱は強い感染力をもつため、流行している時期のお子さんの登園登校は控えることが重要です。症状が出ている間や熱が下がってからも数日はウイルスを排出していることがあるため、医師が登校可能と判断するまでは自宅で安静に過ごしましょう。「学校保健安全法」では「主要症状が消失した後2日を経過するまで」登園・登校停止です。

2. 症状が軽いからと感染対策を怠る

子どもが元気に見えるからといって感染対策を緩めるのはNG。目やにや咳、鼻水に含まれるウイルスは非常に強力です。特に手洗い(石けんと流水で30秒洗い)やうがいを徹底し、タオルや食器の共有は避けることで他の家族への感染リスクを下げられます。

3. 市販薬を過剰に使用する

プール熱はウイルス感染症のため、抗生物質は効果がありません。解熱剤(使用するならアセトアミノフェン)や咳止め、目薬などは症状を和らげるために使うこともありますが、自己判断で過度に使うことは控えてください。副作用や症状悪化の可能性もあるため、医師の指示に従うことが大切です。

4. 子どもの目をこすったり触らせる

目の充血や目やには特徴的な症状ですが、子どもがかゆみや違和感を感じて目をこすったりすると炎症が悪化する恐れがあります。手についているウイルスが拡散するリスクも高まるため、優しく声をかけて目を触らないよう工夫しましょう。

医師が教える『受診の目安』

ここで、医師が教える受診の目安を5つ紹介します。これらの症状がある場合はかかりつけ医などを受診しましょう。

  1. 38.5 °C以上の発熱が4日以上続く
  2. 強いのどの痛みで水分が摂れない/尿量が少ない
  3. 呼吸が苦しそう・ゼーゼーしている
  4. 目の痛み・視界のかすみ・強い充血
  5. ぐったりして反応が鈍い/けいれんを起こした

正しい対応で安心の日常を!

プール熱の治療は主に症状を和らげながら自然に回復を待つことが基本です。無理に登校させたり自己判断で薬を多用したり、感染対策を軽視することは逆効果になる恐れがあります。

また、日々の手洗いうがいや環境を清潔に保つことも、予防と再感染防止に欠かせません。もし子どもがプール熱にかかってしまったら、焦らずに今回紹介したNG行動を避け、正しい対応で家族みんなを守ってくださいね。


監修者:林裕章(はやし・ひろあき)
林外科・内科クリニック(https://www.hayashi-cl.jp/)理事長

国立佐賀医科大学を卒業後、大学病院や急性期病院で救急や外科医としての診療経験を積んだのち2007年に父の経営する有床診療所を継ぐ。現在、外科医の父と放射線科医の妻と、全身を診るクリニックとして有床診療所および老人ホームを運営しており、医療・介護の両面から地域を支えている。また、福岡県保険医協会会長として、国民が安心して医療を受けられるよう、また医療者・国民ともにより良い社会の実現を目指し、情報収集・発信に努めている。
日本外科学会外科専門医、日本抗加齢医学会専門医