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医師「すぐに改善して」→実は『認知症』になる可能性が高まる…寝ているときに注意したい『NG行動』とは?【医師の監修】

  • 2025.7.23
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

眠っている間にも、知らず知らずのうちに認知症リスクを高めてしまう行動がある」そんな話を聞いたら驚きませんか?認知症予防は日中の食事や運動だけでなく、睡眠の質も大切です。でも具体的にどんな『寝ているときのNG行動』があるのか、あまり知られていません。

この記事では、医師たちが「今すぐ改善してほしい」と指摘する、睡眠時に気をつけたい行動や習慣についてわかりやすく解説します。

認知症リスクと睡眠の意外な関係

認知症は脳の神経細胞がダメージを受け、記憶や判断力が徐々に低下していく症状です。認知症にはさまざまな原因が考えられますが、認知症のリスクを高めると言われている因子の1つが『睡眠時無呼吸症候群(SAS)』

SASは睡眠中に何度も呼吸が止まることで、質の良い睡眠が妨げられてしまい、近年注目される睡眠中にアミロイドβなどの脳の老廃物を洗い流す「グリンパティックシステム」が十分に機能しなくなるといわれています。「睡眠による脳のデトックス機能」を阻害してしまう他、酸素不足や睡眠の中断が、脳にストレスを与え神経細胞(ニューロン)が直接ダメージを受け、記憶などを司る「海馬」が萎縮することも…こういった点から認知症のリスクを高めることが明らかになりつつあります。

生活習慣の見直しで質の良い眠りを!具体的な改善策をチェック

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

では、SASの症状を緩和し、健康的な睡眠を取り戻すにはどうすればよいのでしょうか?まずは生活習慣の改善から始めてみましょう。

  1. 体重管理:適正体重を維持することで、気道への脂肪の圧迫を減らせます。食生活の見直しと適度な運動がおすすめです。
  2. 禁煙・節酒:喉の筋肉や気道の健康改善につながるほか、全身の血行も良くなります。
  3. 睡眠環境の工夫:寝室の温度や湿度を適切に整え、寝具も自分に合ったものを選びましょう。
  4. 就寝習慣の整備:毎日同じ時間に寝て起きるなど、規則正しいリズムを作ることが大切です。
  5. 姿勢の改善:仰向けで寝ると気道が狭まることが多いため、横向き寝を心がけると呼吸がしやすくなります。

これらの対策は、医療機関での治療と併用することでより効果的になります。

「もしかして?」と思ったら…SASのセルフチェックリスト

□家族やパートナーから「いびきがうるさい」「睡眠中に呼吸が止まっている」と指摘されたことがある。
□日中、会議中や運転中などに耐えがたい眠気に襲われることがある。
□朝起きたときに頭が痛い、またはスッキリしない。
□夜中に何度もトイレに起きる。
□集中力や記憶力が落ちたと感じる。

これらのうち1つでも当てはまる場合は、専門医への相談を検討するよう強く推奨します。特に症状が重い場合は、専門医の診断を受けてCPAP(持続陽圧呼吸療法)などの治療を検討してください。

健康的な睡眠で毎日をもっと元気に!習慣改善の大切さを実感しよう

睡眠時無呼吸症候群は見過ごされがちですが、その影響は日中の生活の質を大きく落とすことがあります。「もしかして自分も?」と思ったら、生活習慣を振り返ってみてください。肥満やアルコール、喫煙などに習慣は改善のチャンスが大いにありますし、正しい睡眠環境や睡眠のリズムを整えることも大切です。

認知症はもちろん、健康的な毎日を送るために、「眠りの質」を高めることを意識してみましょう。生活習慣のちょっとした工夫が、あなたの身体も心も楽にしてくれるはずです。もし症状が気になる場合は、遠慮せず専門医に相談し、適切な診断と治療を受けることをおすすめします。


監修者:林裕章(はやし・ひろあき)
林外科・内科クリニック(https://www.hayashi-cl.jp/)理事長

国立佐賀医科大学を卒業後、大学病院や急性期病院で救急や外科医としての診療経験を積んだのち2007年に父の経営する有床診療所を継ぐ。現在、外科医の父と放射線科医の妻と、全身を診るクリニックとして有床診療所および老人ホームを運営しており、医療・介護の両面から地域を支えている。また、福岡県保険医協会会長として、国民が安心して医療を受けられるよう、また医療者・国民ともにより良い社会の実現を目指し、情報収集・発信に努めている。
日本外科学会外科専門医、日本抗加齢医学会専門医