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医師「認知症のリスクが高まる」→実は知らずにやっているかも…寝る前に避けたい“3つのNG習慣”とは?【医師の監修】

  • 2025.7.22
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

あなたは寝る前にどんなことをしていますか?スマホをチェックしたり、お酒を飲んだり、あるいは軽食をつまんだり…。一見リラックスできそうなこれらの習慣が、実は認知症のリスクを高めてしまうかもしれません。

医師たちが「やらないでほしい」と警告する寝る前のNG習慣とは何なのか?その理由と対処法をわかりやすく解説します。

なぜ寝る前の習慣が認知症リスクに?

近年、認知症の発症には生活習慣の質も影響することがわかっています。その中でも特に注目したいのが「寝る前の過ごし方」。脳の健康維持には質の良い睡眠が欠かせませんが、寝る直前の行動が睡眠の質を著しく低下させ、それが認知症リスクとの関係が示唆されているためです。

具体的には、スマホやパソコンを寝る直前まで見続けること寝る直前の過度な飲酒カフェイン摂取、さらに脂っこいものや糖質の多い夜食を寝る直前に食べることなどが挙げられます。これらの習慣が睡眠の浅さや中途覚醒を引き起こす可能性があります。

実際にこれらはどんな悪影響があるのでしょうか?

寝る前の行動が脳へ与える影響とその対策

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

寝る前のスマートフォンの使用

私たちの脳は睡眠中に、認知症の原因とされるアミロイドβという不要なタンパク質を排出しています。このシステムは「グリンパティックシステム」と呼ばれ、脳の掃除システムであり、特に深いノンレム睡眠(徐波睡眠)の間に最も活発に働きます。しかし、寝る直前のスマートフォン使用は、ブルーライトによって眠りを促すメラトニンの分泌を妨げ、睡眠の質を下げ、脳の老廃物排出を阻害してしまいます(またニュースやSNSで得られる刺激的な情報は、交感神経を優位にし、脳を興奮・緊張状態にさせます)これが続くと認知症のリスクが高まるため、寝る1時間前にはスマホを控えるなど、良質な睡眠のための習慣を心がけましょう。

アルコールの摂取

寝る前のアルコールも睡眠を断続的に妨げる原因に。以前は「少量であれば、寝る前に飲酒をするのはむしろ良い」という説が流れていた時代もありましたが、近年は議論されています。アルコールは一時的に眠気を促しますが、体内で代謝される過程で深い眠りを妨害し、睡眠の質を悪化させることが判明しています。特に、脳の休息と記憶の定着に不可欠な「レム睡眠」を抑制し、利尿作用や代謝の過程で生じるアセトアルデヒドの影響で夜中に目が覚める「中途覚醒」を確実に増やします。

寝る直前の食事

夜遅い時間の脂質や糖質の多い食事は消化にエネルギーを使い脳の代謝にも影響します。食べ過ぎは睡眠時無呼吸症候群肥満の原因となり、睡眠中に脳が断続的に低酸素状態に陥るため、脳細胞に直接的なダメージを与え、それが認知機能低下と関係することも知られています。

こうした背景から医師や専門家は、寝る1〜2時間前のブルーライトカット、アルコールの節制、軽めの夕食は避けたほうがよいと推奨しています。逆に、就寝前の軽いストレッチや、ぬるめのお風呂(38〜40℃)にゆっくり浸かる、また読書などは入眠効果も期待できます。質の良い睡眠を維持して「脳のデトックス時間」を確保し、認知症を防ぐ生活を心がけることが大切です。

認知症予防は今日からできる!

寝る前のちょっとした習慣が、将来の認知症リスクにまで影響を与えるというのは驚きかもしれません。しかし、逆に言えば毎日の生活を少し見直すだけで効果が期待できるということです。

睡眠は脳のメンテナンス時間です。質の良い睡眠は脳の記憶や情報整理を助け、認知病症の原因となる有害な物質の蓄積を防ぎます。今日から寝る前の習慣を見直して、認知症予防に役立てましょう。


監修者:林裕章(はやし・ひろあき)
林外科・内科クリニック(https://www.hayashi-cl.jp/)理事長

国立佐賀医科大学を卒業後、大学病院や急性期病院で救急や外科医としての診療経験を積んだのち2007年に父の経営する有床診療所を継ぐ。現在、外科医の父と放射線科医の妻と、全身を診るクリニックとして有床診療所および老人ホームを運営しており、医療・介護の両面から地域を支えている。また、福岡県保険医協会会長として、国民が安心して医療を受けられるよう、また医療者・国民ともにより良い社会の実現を目指し、情報収集・発信に努めている。
日本外科学会外科専門医、日本抗加齢医学会専門医