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親の死後に『借金』が発覚…“子どもに返済の義務がある”って本当?!→子が取らないといけない“正しい行動”とは?【弁護士が監修】

  • 2025.7.7
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

親の死後、喪失感に包まれながら、葬儀や事務手続きを進めていた最中――「実は親に借金があった」と知ったとき、あなたはどうしますか?
多くの人が「相続=資産の引き継ぎ」と考えがちですが、実は借金などの“マイナスの財産”も相続対象になることを忘れてはいけません。今回は、弁護士に聞いた「親の死後に借金が発覚した場合の法的対応」について詳しくご紹介します。

借金は“自動的に背負う”わけではない

親の死後に借金が発覚する問題は決して珍しいことではありません。日本では高齢化社会が進み、多くの家庭で親の財産や負債の整理が課題となっています。

しかし、親が亡くなったからといって、子ども(相続人)が自動的に借金を返済しなければならないわけではありません

弁護士によれば、相続が発生したこと(親の死亡)を知った日から3か月以内に、家庭裁判所へ「相続放棄」の申立てをすれば、その借金を引き継がずに済むとのこと。

つまり、「相続放棄をすれば、親の借金は背負わなくていい」という選択肢があるのです。

借金の有無を確認するには?チェックすべきポイント

突然の相続に戸惑う中、「本当に借金があるのか」を調べるには、以下のような調査が有効です。

  • 親宛ての郵便物(請求書や通知書)を確認
  • 通帳の引き落とし履歴を調べる
  • 信用情報機関(CIC、JICC、全銀協)に開示請求をして調査
  • 顧問税理士がいれば相談
  • 不動産を所有していた場合、法務局で登記簿謄本を取得し、抵当権設定の有無を確認

こうした手がかりをもとに、相続財産の全体像を把握することが重要です。

相続放棄の手続きと期限――「3か月ルール」は絶対?

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

相続放棄をするには、以下のような書類を準備して、家庭裁判所へ申立てを行う必要があります。

  • 相続放棄申述書
  • 被相続人(親)の戸籍謄本・住民票
  • 放棄する本人の戸籍謄本・住民票 など

相続放棄は、原則として「相続が始まったことを知ってから3か月以内」に手続きしなければなりません。

ただし、やむを得ない事情があり、3か月を過ぎてから借金の存在が判明することもあります。このような場合でも、たとえば「借金はまったくないと信じていた」「そう信じるだけの正当な理由があった」といったやむを得ない事情があるときは、“借金が発覚した時点から3か月以内”であれば、相続放棄が認められる可能性があります。

相続財産を使ってしまったら、もう放棄できない?

すでに親の遺産の一部を使ってしまった後に借金が見つかった場合でも、相続放棄の道が完全に閉ざされるわけではありません。

本来、相続財産を使った時点で「単純承認(=相続を受け入れた)」と見なされますが、以下のような例外もあります。

  • 借金の存在をまったく知らなかった
  • 財産の使用にやむを得ない事情があった(例:葬儀費用の支払い)

このような事情があれば、相続放棄が認められる可能性もあります。一刻も早く弁護士など専門家に相談することが肝心です。

知らなかったでは済まされない “突然の借金”に備える心構えを

親の死後に借金が発覚するケースは、実は珍しくありません。「まさかうちの親が」と思っていても、保証人になっていたり、隠れたローンがあったりすることもあるのです。

大切なのは、“相続=資産”という思い込みを捨てること。相続が発生したら、必ずプラスとマイナスの両方を確認し、必要があれば早めに相続放棄の手続きを検討しましょう。


監修者名:ベリーベスト法律事務所 弁護士 齊田貴士

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神戸大学法科大学院卒業。 弁護士登録後、ベリーベスト法律事務所に入所。 離婚事件や労働事件等の一般民事から刑事事件、M&Aを含めた企業法務(中小企業法務含む。)、 税務事件など幅広い分野を扱う。その分かりやすく丁寧な解説からメディア出演多数。