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31年前、日本中がざわついた“破滅愛ドラマ”の主題歌 時代の中心に返り咲いた“売上100万枚超の名曲”

  • 2025.8.6

「31年前の冬、どんな曲が心に寄り添った?」

1994年1月期、テレビから流れてきたのは、あまりに重く、救いのない物語だった。誰かの感情が壊れ、運命がねじれるたびに、画面の余白に一曲のラブソングが流れた。

尾崎豊『OH MY LITTLE GIRL』(作詞・作曲:尾崎豊)――1994年1月21日シングルリリース。

そのメロディは、爆発ではなく静けさで、視聴者の胸をつかんで離さなかった。

アルバム収録から11年、物語とともに“発見”された名曲

『OH MY LITTLE GIRL』は、1983年に発表された尾崎豊の1stアルバム『十七歳の地図』に収録された1曲。当時からファンの間では知られていたが、シングルとして世に出ることはなかった。

それが11年後の1994年、フジテレビ系ドラマ『この世の果て』の主題歌として起用される。ドラマの放送開始とほぼ同時に、楽曲はシングルとして発売され、瞬く間に注目を集めた。

主演は鈴木保奈美と三上博史。野島伸司の描いたのは、極端に振り切れた愛と破滅の物語。そのラストに、あまりにも静かなこの曲が重なる――だからこそ、心の奥に焼きついた。

その結果、『OH MY LITTLE GIRL』は100万枚を超えるセールスを記録。尾崎豊の名前が、再び時代の中心に浮かび上がることになった。

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1988年の尾崎豊 (C)SANKEI

“爆発する感情”のその先にあった、静かな尾崎のまなざし

尾崎豊というと『15の夜』『十七歳の地図』『卒業』など、感情を剥き出しにした衝動的な楽曲の印象が強い人も少なくないだろう。

“叫ぶ尾崎”というイメージは、彼の若さとカリスマ性を象徴するものであり、それゆえに長く語り継がれてきた。

だが同時に、彼の作品には『I LOVE YOU』『Forget-me-not』といった、静かに人を想うラブソングも確かに存在していた。

『OH MY LITTLE GIRL』もまた、その延長線上にある。

この曲が1994年に広く届いたとき、あらためて多くの人が、尾崎豊の“優しさ”という部分に初めてしっかりと目を向けたのかもしれない。

それは「意外性」ではない。むしろ、“怒りも叫びも超えたところで誰かを想う”という、彼の音楽に宿るもうひとつの本質が、正面から届いた瞬間だった。

映画『ホットロード』でも再び

この曲の力は、時を経ても色あせなかった。2014年、映画『ホットロード』の主題歌として『OH MY LITTLE GIRL』が起用された

主演は能年玲奈(現・のん)と登坂広臣。原作は1980年代の少女漫画。そこで再び、この楽曲は若くて不器用な愛の物語を、そっと支える存在として使われた。

約30年前のラブソングが、また新しい世代に届いた。それは、この曲が“過去”ではなく、“今の感情”に寄り添う普遍性を持っていることの証明でもある。

“叫ばない尾崎”が、なぜこれほど深く響いたのか

『OH MY LITTLE GIRL』は、尾崎豊のキャリアの中で特別な曲だ。多くの人がこの曲を、人生のどこかの瞬間にふと思い出す。

「大切にしたいものは、ただ大切だと思うことから始まる」

そんなふうに教えてくれる、尾崎豊の“やさしさの真ん中”にある一曲だ。

彼がこの世を去って、まだ2年と経たない冬――日本中がその声に静かに耳を傾けた。

そして今も、音もなく流れてくるその旋律に、変わらない安心を感じる人は少なくないだろう。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。