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44年前、日本中が心震えた“熱すぎて静かな曲” 時代を超えて愛され続ける“普遍の名バラード”

  • 2025.6.27

「44年前、静かに心を震わせた名曲を覚えてる?」

小田和正が作詞・作曲を手がけたオフコースの名曲『言葉にできない』が世に送り出されたのは、今から44年前のこと。

深い感情を繊細に描いた歌詞と、静かに胸に響く美しいメロディが融合したこの曲。時代を超えて、今もなお色褪せることなく、多くの人々の心を動かし続け、愛され続け、名バラードとしてその地位を確立している。

今回は、そんな『言葉にできない』について、改めて振り返っていきたい。

時を超えて愛され続ける理由ーー“語りすぎない”ことで生まれた普遍の魅力

『言葉にできない』は、1981年12月1日にリリースされたオフコース9作目のアルバム『over』の中に収録されており、作詞・作曲を小田和正が手掛けた楽曲だ。翌年2月1日には、『君におくる歌』とともに『言葉にできない/君におくる歌』としてシングルカットのうえリリースされている。

この曲の特筆すべき点は、華やかな演出をあえて排し、ピアノを中心としたシンプルな旋律と、小田和正の透明感あふれる、優しくも切ない歌声だけで描き出された世界観にある。特に印象的なのは、「言葉にできない」というフレーズの繰り返し。誰もが胸の奥に抱える“伝えられない想い”、どうしても言い表せない心の奥底の感情を表現するように響き、聴き手それぞれの人生に寄り添う。

発売当時、日本の音楽シーンはアイドルソングや派手な歌謡曲が席巻していた。そんな中、対照的に『言葉にできない』が持つ“熱すぎて静か”とも言える強い情熱は、多くの人の心にゆっくりと、しかし確実に浸透していき、日本中が心を震わせた。

「シンプルで美しいメロディ」と「感情を込めた歌詞」のバランスが小田和正の音楽が持つ魅力だが、その中でも特に感情的で繊細な表現が際立つ。それこそが、この曲が聴く者の心に直接響き渡り、時を超えて愛され続ける理由となっている。

時代を超えて響く“普遍の名バラード”

未定義
(C)SANKEI

『言葉にできない』は、リリースから時間が経過するごとにその評価が高まり、現在では日本のバラードの名曲として広く認知されている。

愛する人への想いや、別れの切なさといった言葉にできない感情は、どの時代にも共通して存在するものだ。また、サビの部分の「ラララ」というスキャットは、その言葉自体には意味を持たない部分でありながら、かえって聴き手の想像力をかき立て、さまざまな感情や意味を内包させることを可能にしている。バラードというジャンルの中でも、その普遍的な感情の表現やスキャットの手法は、その後のJ-POPに多大な影響を与えていると言えよう。

また、1999年以降、生命保険会社のCMソングとして長期にわたって使用されたことでも、より日本中に浸透していった。エモーショナルな家族や仲間との写真とともに流れるメロディに、CMながらに涙が込み上げてきた方も多かったのではないだろうか。

小田和正の歌声は、時代を越えて聴く者の心に深く響き、心の奥底にある感情を呼び起こしてくれるような力を持っている。何度聴いても新鮮で、そのたびに情熱とエネルギーが蘇る。

44年経っても色あせない名曲

オフコース解散後も、小田和正はこの曲を大切に歌い継いでいる。そして先述したCMや、またドラマの挿入歌などとしても、繰り返し私たちの日常にそっと寄り添い続けてきた。初回のリリースから44年が経過しても、その音楽としての輝きを失うことなく、今もなお多くの人々の心を動かし続けているこの曲は、まさに音楽の力を象徴する作品だ。

シンプルな旋律の中に宿る力強さと、小田和正が紡ぐ優しくも切ない歌声は、今も多くの人の心を静かに震わせている。これからも、この曲は新たな聴き手の心に届き、言葉では表現しきれない感情を静かに伝え続けていくのだろう。


※この記事は執筆時点の情報です。