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穿かなくなったデニムがヒールに大変身。古着のジーンズから生まれる、フローリーのラグジュアリーシューズ

  • 2025.5.24
フローリーのシューズを着用したオリビア。
フローリーのシューズを着用したオリビア。

10歳のとき、とてもおしゃれなある女性に言われた。「リヴ、靴を買う理由はいつだってある」。その言葉を大人になっても肝に銘じている私は、今ではおびただしい量の靴を所有しており、その数は増え続けている。ジェリーサンダルにバレエシューズ、メリージェーンにウエスタンブーツ。もうかれこれ5年以上履いていないヒールも持っているが、足のサイズが変わるわけでもないので、いつかまた履く日が来ることを信じて、手元とに残しておいてある。そしてその日が来たら、今流行りの厳選された少ないアイテムで構成されるカプセルワードローブなどにせずに、出番が少ない靴もとっておいてよかったと思うだろう。

そしてもうひとつ、シューズと同じくらい集め過ぎてしまったものがある。それが、デニムだ。何年もの間、ジーンズは2本くらいしか持っておらず、それらを交代で穿いていたのだが、気づいたら、半年も経たないうちにワードローブはありとあらゆるウォッシュ加工とシルエットのデニムで溢れかえっていた。シューズは何足持っていても気にならないが、デニムはこれほどあっても困る。どうしようかと頭を悩ませていたときに見つけたのが、余ったデニムをヒールにリメイクする、ロンドン発のフローリー(FLORRIE)というブランドだ。

古着のデニムを使用した「ルチア」ミュール。
古着のデニムを使用した「ルチア」ミュール。

2024年2月にアクアズーラAQUAZZURA)の元デザイナー、フローリー・ダウリーによって立ち上げられたフローリーは、イギリスのリアルスタイルにより馴染むシューズを生み出すことを目指している。「アクアズーラがターゲットにしている女性に、親近感が持てなかったのです」と言うダウリー。「ロンドンっ子が求めているのは、歩き回れて、通勤時とかにも履ける、デニムにも合うようなシューズなんです」。つまり、履きやすく、カジュアルでありながらシックなデザインに需要があるのだ。サステナブルであれば、なおいい。

古着のデニムを使うというアイデアは、ダウリー自身のワードローブから生まれた。そこには数え切れないほどのジーンズが所狭しと並び、フローリー初のシューズは、そのうちの1本から作られた。「古いリーバイス®(LEVI’S®)のデニムを、フィレンツェのアトリエの職人が丁寧に裁断、そしてアイロンがけをして、再び縫い合わせました。そうして生まれたのが、最初の『ルチア』ミュールです」。ジーンズをリメイクしたシューズは、今ではブランドのシグネチャーとなり、すべて寄付されたデニムからできている。「たくさんの寄付をいただいたので、あと数百足は作れます」

フローリーのヒールだからこそ叶う、デニム on デニムコーデ。
フローリーのヒールだからこそ叶う、デニム on デニムコーデ。
シューズはどれも、オフィススタイルにも合う万能なデザイン。
シューズはどれも、オフィススタイルにも合う万能なデザイン。

今回、取材の一環として、私はフローリーに穿き古したジーンズを1本を預けた。そしてそれは、夏用のスリングバックシューズに見事に姿を変え、私のもとに戻ってきた。フローリーはまだ、このようなカスタムのリメイクサービスを展開できるような規模ではない、とダウリーは言うが、依然としてデニムの寄付は受け付けている。カスタムメイドの1足が作れなくても、自分が穿かなくなったジーンズが確実に活用され、シューズに生まれ変わると思うと、着なくなった服の最終的な行方がわからないリサイクルショップに持ち込むより、気持ちがいい。フローリーのような、服やアクセサリーに第二の人生を与えてくれるブランドは、出番をなくしたアイテムをついつい増やしてしまう私のようなファッション好きにとって、心強い存在だ。

Text: Olivia Allen Adaptation: Anzu Kawano

From VOGUE.CO.UK

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