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「おしっこが泡立つようになった…」→“気になる原因”と“病気の可能性”とは?【医師の監修】

  • 2025.5.30
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

最近、おしっこの泡立ちが気になるってこと、ありますよね。普通だったら、トイレを流す前に軽く流してしまえばいい話。でも、もし特に泡が目立つようになったとしたら…少し心配になるかも。今回は、おしっこが泡立つ原因と、その背後にあるかもしれない病気についての関係性を医師が詳しく解説します。

泡立ちの原因は意外と単純?

まず最初にお伝えしたいのは、おしっこが泡立つのが全て悪いサインではないということ。泡立ちの原因はいくつかあります。多くの場合、単純な理由は「勢い」です。尿が勢いよく排出されると、空気とよく混ざり合って泡が立ちます。飲み物を注いだ時に泡が立つのと同じような原理です。

また、脱水症状も気をつけたいポイント。体が脱水状態になると尿の濃度が上がり、泡立ちやすくなります。さらに、摂取している食べ物によっても影響を受けることがあります。例えば、高タンパク質の食事を取った後は、おしっこに含まれる尿素の量が増加し、泡立つこともあります。

病気のサイン?注意が必要な場合

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

一方で、泡がおさまらず長引く場合、または泡が非常に大きく長時間消えない場合は、何らかの健康状態が関わっている可能性があります。

尿が泡立つかどうかは液体の表面張力と関係があります。水だけの場合、振ってできた泡はすぐ消えますが、お茶やコーヒーでは泡がなかなか消えません。これは液体中に含まれる界面活性物質が表面張力を弱め、泡の膜を安定させるためです。尿の場合も同様で、尿中に含まれる物質によって泡立ちやすさが変わります。

正常な尿にも微量のウロビリノーゲン(胆汁の分解産物)が含まれますが、これは界面活性作用を持ち、尿が濃いときに泡立ちの一因となります。さらに、尿中にタンパク質が多いと石けんのように表面張力を下げるため泡立ちが顕著になります。要するに、尿に界面活性物質が多く含まれるほど泡立ちやすく、逆にそれらが少なければ泡はすぐ消えるのです。

この中でも特に注意が必要なのはタンパク尿です。タンパク尿は、尿中に通常より多くのタンパク質が含まれている状態で、腎臓疾患などの兆候である可能性もあります。腎臓が体をフィルターする働きに異常が生じ、タンパク質が漏れ出し、おしっこの中に混じることが原因です。

糖尿病や高血圧も腎機能に影響を与え、泡立ちを引き起こす要因になりえます。これらの病気は、長期的には腎障害を引き起こす可能性があるため、早期の対策が肝要です。また、心不全や慢性の肝疾患など他の疾患でも泡立ちを引き起こすことがあります。

気になったら早めに相談を

おしっこの泡立ちには多くの原因が考えられますが、一番重要なのは「長期的に、異常を感じるかどうか」です。もし泡立ちが数日も続いたり、他の体調不良があれば、早めに医師に相談しましょう。

「いつものことだから」と身体からのサインを放置せず、自分の体を守っていきましょう。


監修者:澤口達也 / 豊洲内科・糖尿病 / 形成・美容外科クリニック

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医師、医学博士、糖尿病専門医。豊洲内科・糖尿病 / 形成・美容外科クリニック院長。
糖尿病専門医として、日々、糖尿病や肥満症、高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病の患者さんの診療に従事し、食事指導や運動指導で数多くの方の減量を成功させている。自身でも様々な食事療法やトレーニングを実践しており、過去にはアスリートフードマイスターや加圧トレーニングインストラクターの資格を取得。また現在、健康スポーツ医、格闘技イベントでのリングドクターとしても活動している。