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20年前、日本中が叫んだ“熱苦しいラブソング” 今もなお記憶に降り積もり続ける“冬の音楽遺産”

  • 2025.6.17

「20年前の今頃、冬の街で、心に響くあのメロディを覚えてる?」

2005年の暮れ、街がイルミネーションに染まる季節に、レミオロメンの『粉雪』は確かな声色で人々の心に届いた。聴こえてきたのは、ひとつひとつの音が雪のように降り積もる、切なくも力強いバラードだった。

“火曜9時”と共鳴した、冬のラブソングの金字塔

「粉雪」が一躍注目を浴びた背景には、ドラマ『1リットルの涙』(フジテレビ系)の存在がある。沢尻エリカと錦戸亮が演じる切ない青春の物語の中で、『粉雪』は挿入歌として演者の感情を代弁するように流れ、視聴者の涙腺を何度も刺激した。

ドラマと楽曲の世界観が完璧に溶け合い、視聴後には自然とこの曲が口をついて出るーー思わず「こなあぁ〜ゆきぃ〜」とサビの歌詞を叫んでしまっているーーそんな経験をした人も多かったはずだ。かつての“ドラマタイアップ曲”ブームの延長線上にありながらも、『粉雪』は単なるタイアップ曲の枠を超えて人々に愛される名曲となっていった。

『1リットルの涙』のストーリーが多くの人々の胸に深く刻まれたように、『粉雪』もまた、その感動を何倍にも増幅させる役割を担い、冬のラブソングの金字塔として確固たる地位を築いたのだ。令和の今となっても、“冬の音楽遺産”とも呼ぶべき存在感を放っている。

“レミオロメンらしさ”と藤巻の歌声の“静けさと熱苦しさ”

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(C)SANKEI

2000年代中盤、邦楽シーンには多くのバンドが登場していたが、レミオロメンはその中でも独自の立ち位置を築いた。『粉雪』は、彼らが長年培ってきた叙情性とメロディの緻密さが結実した楽曲であり、まさにレミオロメンの代表作となった。

特にボーカル藤巻亮太の声は、この曲で一層輝きを放った。サビまでは降り積もる雪のように、語りかけるような静けさと落ち着きを醸している。しかしサビになると、抑えきれない感情を心に直接ぶつけてくるような、“暑苦しい”ならぬ“熱苦しい”歌声をもって、聴く者の度肝を抜く。

同じ曲の中に存在する、そんな歌声の急激な温度差が、冬のラブソングとしてのインパクトと完成度を一段と高めていたと言えよう。

時代も世代も超えて、人々の記憶に降り積もり続ける“冬の名曲”

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C)SANKEI

あれから20年。毎年冬になると、どこからともなく『粉雪』が聴こえてくる。時代が変わっても、この曲の持つ“熱”は変わらない。むしろ聴く人の年齢や経験が増すほどに、より深く胸に沁みる名曲だ。

『粉雪』は、“冬”という季節の象徴であると同時に、“誰かを想う気持ち”の象徴でもある。だからこそ、どこか遠くで降る雪のように、静かに、でも確かに熱く、私たちの記憶に降り積もっていくーー

この曲が持つ普遍的なテーマと、季節と結びついた強いイメージは、これからも時代も世代も超えて受け継がれ、冬の訪れと共に多くの人々の心を熱くさせ続けるだろう。


※この記事は執筆時点の情報です。