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26年前、日本中が心奪われた“恋と宇宙のデビュー曲” 90年代最後に現れた“新世代のロックバンド”

  • 2025.6.16

「26年前、どんな音楽が“新しい時代の予感”を運んできたか覚えてる?」

ミレニアムを控えた1999年といえば、宇多田ヒカルのファーストアルバム『First Love』が空前の大ヒット、GLAYが20万人を動員したライブ『GLAY EXPO '99』を幕張で開催、その他モーニング娘。や鈴木あみなどがチャートに登場。ドラマ『救命病棟24時』(フジテレビ系)が話題を集め、ゲーム『ポケモン金・銀』が11月に発売され社会現象となった。

そんな時代の移り変わりの中、1組のバンドが鮮烈なデビューを飾った。

その名も、ポルノグラフィティ――。彼らの名を全国に轟かせたのが、1999年9月8日に発売された『アポロ』(作詞:ハルイチ、作曲:ak.homma)

そんな時代感とエモーションが詰まったこのデビュー曲は、「ポルノグラフィティ Official YouTube Channel」で本記事執筆時点で1078万回再生というとてつもない再生回数を誇っている。

なぜ、この『アポロ』は26年経った今も語り継がれているのだろうか。

衝撃のメジャーデビュー作

『アポロ』は、ポルノグラフィティの記念すべきメジャーデビュー曲。

サウンドはキャッチーなギターロック、リズムは疾走感たっぷり。タイトルの“アポロ”は、1969年に月面着陸したアポロ11号のこと。夢と未来への希望を象徴するその言葉を、恋や青春に重ね合わせて、独自の視点で描いた世界が新鮮だった。

この曲の登場は、それまでの日本のロックシーンに新たな息吹を吹き込み、多くの音楽ファンにその存在を知らしめた。彼らのオリジナリティあふれる音楽性は、デビュー直後から大きな注目を集めることとなる。まさに、日本中が心奪われた“恋と宇宙のデビュー曲”だった。

『アポロ』に心を掴まれる理由

まず『アポロ』は、メッセージ性とポップさの絶妙なバランスが秀逸だった。歌詞はデジタル仕様の腕時計や巨大広告塔などテクノロジーと情報化社会が進む中で、“時代が変わっても人と人が求める変わらない愛や想い”、“遠くの未来に届くような夢”を、アポロ計画というスケールの大きいモチーフで描きながらも、どこか日常的で親しみやすい言葉でつづられている。

それを、岡野昭仁のハスキーで芯のあるボーカルと、新藤晴一のセンスに満ちた作詞がしっかりと支え、デビュー作とは思えない完成度を実現していた。

「ただカッコいいだけじゃない」「ただ泣かせるだけじゃない」——。その絶妙なバランスが、当時のJ-POPリスナーの心を強く捉えたのだ。『アポロ』は、当時の音楽シーンに多様性をもたらし、多くのリスナーにとって、単なるヒット曲以上の意味を持つようになった。

その独特の魅力は、発表から四半世紀以上が経過した今も、色褪せることなく人々の心に響き続けている。

“90年代ロック”の風景を変えた一曲

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(C)SANKEI

1990年代後半、ロックバンドといえばGLAYやL'Arc〜en〜Ciel、LUNA SEAらがシーンの中心であったといえる。

そんな中で、ポルノグラフィティはまったく異なる路線で登場した。見た目や派手さではなく、楽曲と歌詞で勝負する“文学系ロック”。それが、2000年代初頭の新しいバンド像を切り開くきっかけにもなった。『アポロ』のヒットを皮切りに、『ヒトリノ夜』『ミュージック・アワー』『サウダージ』『アゲハ蝶』といった名曲が続々とリリースされ、ポルノグラフィティはたちまちフロントランナーの仲間入りを果たす。

彼らの音楽は、メロディの良さと歌詞の深みが融合し、多くのリスナーの共感を呼んだ。既存の枠にとらわれない彼らのスタイルは、その後のバンドシーンにも多大な影響を与えたと言えるだろう。90年代最後に現れた“新世代のロックバンド”として、その存在感を確立したのだ。

26年経っても、色褪せない“最初の一歩”

『アポロ』は、ただのデビュー曲ではない。それは、ポルノグラフィティにとっても、90年代から2000年代へと時代が変わる“節目”に、未来を指差して放たれた“希望の宣言”だった。今聴いても、その音は新鮮で、その言葉は切実で、あの頃の“なんでもできる気がした自分”を思い出させてくれる。

この曲が持つ普遍的なメッセージは、時代を超えて多くの人々に勇気を与え続けている。時代は変わっても変わらない愛の形、そして未来への憧れ。それらすべてを包み込む『アポロ』は、これからも語り継がれる名曲として、私たちの記憶に残り続けるだろう。


※この記事は執筆時点の情報です。