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医師「歯を黄ばませ、茶色く見せます」→実は『歯の色の変化』には要注意 … 意外な“3つの原因”とは?【医師の監修】

  • 2025.6.1
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「え、これってただの黄ばみじゃない?」と毎朝鏡をのぞき込んで思ったことがありませんか?実はその歯の色の変化、健康のサインを示しているかもしれません。

単なる美観の問題ではない可能性もあるこのシグナルについて、詳しく見ていきましょう。

食習慣が招く「外因性」の変色

最も身近で起こりやすいのが「外因性」の変色です。

これは、歯の表面に色素が沈着することによって起きるもので、原因は日々の生活習慣にあります。たとえば、コーヒーや紅茶、赤ワイン、カレーといった色の濃い食べ物・飲み物は、歯の表面にステイン(着色汚れ)を残します。また、喫煙習慣もヤニの付着によって歯を黄ばませ、茶色く見せます。

このタイプの変色は、歯の表面の汚れであるため、比較的改善しやすいのが特徴です。歯科医院では「PMTC(プロによるクリーニング)」や、「エアフロー」と呼ばれるジェット噴射で微細な粉末を歯に吹き付ける施術などが行われます。これにより、ブラッシングでは落とせない汚れもきれいに除去できます。日常的には、着色しやすい飲食後のうがいや歯磨きを心がけること、そして喫煙習慣がある人は禁煙を検討することが大切です。

生まれつき・加齢が関わる「内因性」の変色

「どれだけ歯を磨いても白くならない」そんな人に多いのが、歯の内部構造そのものが変色している「内因性」のケースです。

これは、幼少期に摂取した抗生物質(テトラサイクリン系)が歯の形成に影響を与えた場合や、フッ化物を過剰に摂取したことで生じる「斑状歯」などが該当します。また、加齢によってエナメル質が薄くなり、象牙質の黄色味が透けて見えるのも、よくある内因性変色です。

内因性の変色は表面の処置だけでは改善が難しく、より専門的な審美治療が必要になります。軽度であればホワイトニングが効果を発揮することもありますが、色の沈着が強い場合には、歯の表面にセラミックを貼る「ラミネートベニア」や、歯を全体的に覆う「セラミッククラウン」による治療が検討されます。審美性だけでなく、耐久性や健康的な機能面を考えて治療法を選ぶことが重要です。

神経を抜いた歯に起こる「治療後」の変色

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

意外と知られていないのが、過去に歯の神経を抜いたことがある場合に起こる「治療後の変色」です。

根管治療などで歯の神経を取った歯は、栄養が供給されなくなることで内部が乾燥し、時間の経過とともに黒っぽく変色することがあります。これは歯の“死”に近い状態で、血液の成分や治療時に使った薬剤が沈着するのも一因です。

この変色に対しては、「インターナルブリーチ(ウォーキングブリーチ)」という方法が有効です。

これは歯の内部に漂白剤を入れて、内側から徐々に白くする処置で、神経を抜いた歯に特有の変色に対して効果があります。もし変色が強く、漂白でも改善が難しい場合には、最終手段としてセラミッククラウンなどによる補綴(ほてつ)治療が行われます。こうした治療は見た目の改善だけでなく、歯の保護や再感染予防にもつながります。

歯の色が気になるなら、まずは原因を見極めることが第一歩

歯の変色にはさまざまなタイプがあり、その性質に応じてアプローチが異なります。

表面的な汚れならクリーニングで十分ですが、内部の変色や治療後の黒ずみは、専門的な診断と処置が欠かせません。「ただ白くしたい」という思いだけで自己判断するのではなく、まずは歯科医院で原因を特定し、適切な治療法を提案してもらうことが、自然で健康的な白い歯を取り戻すための近道です。


監修者:まつむら⻭科クリニック 院⻑ 松村賢(まつむら・けん)

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「いつまでもおいしく食べる」をモットーに、2015(平成27)年に地元である宮城県大崎市に「まつむら歯科クリニック」を開院。歯周病治療などの予防歯科を中心とし、保険診療・審美歯科・ホワイトニング・インプラント・義歯(入れ歯)・摂食嚥下リハビリテーション・訪問診療など、幅広い診療を行っている。
<経歴>
奥羽大学⻭学部卒(医師免許取得)
東北大学大学院⻭学研究科博士課程修了(歯学博士)
仙台市内⻭科クリニック 分院⻑
まつむら⻭科クリニック開院