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医師「全身に影響を及ぼす」→実は『虫歯』は放置すると危険…意外と知られていない“病気の可能性”とは?【医師の解説】

  • 2025.5.26
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「少し歯が痛い」「出血がある」と感じても歯医者に行くのが億劫で、そのままにしてしまうという人も多いのではないでしょうか。

でも実は、虫歯をそのままにしておくと、虫歯が原因で全身に影響を及ぼすかもしれません。今回は、虫歯を放置することのリスクや原因を、医師の解説を交えてご紹介します。

虫歯の放置は危険!基本的な影響を知ろう

虫歯は、口の中にいる細菌が、口に入った糖分を餌にして作りだした酸により、歯が溶けた状態のことを言います。虫歯の初期段階では軽い痛みやしみる程度ですが、放置しておくと状況は悪化します。最終的には歯の神経にまで達し、激しい痛みを引き起こすことも。

食事をする際の不便さだけでなく、虫歯が進行すると、他の歯にも影響を及ぼすことがあります。また、露出した神経は感染症のリスクを高め、ここから細菌が体内に広がることもあるため、口内環境だけでなく全身の健康を脅かすことになるのです。

口の中にいる細菌の種類は人によって異なりますが、大抵の人の口には虫歯菌が含まれています。この虫歯菌が多くなるような人や、虫歯菌が活発に活動しやすいような生活習慣の人は注意が必要です。

虫歯が全身に影響を及ぼす可能性がある病気

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

さて、虫歯をそのままにしておくと具体的にどのような病気が起こり得るのでしょうか。

まず1つ目に挙げられるのは「感染性心内膜炎」です。繁殖した虫歯菌が血管内に入ると、菌血症(きんけつしょう)となって全身のさまざまな部位に炎症を引き起こす可能性が。心臓の弁に細菌が感染することで心機能に大きな悪影響を与えます。菌血症が重篤化すると敗血症へと移行する場合もあるため、注意が必要です。

2つ目は副鼻腔炎です。鼻の奥にある「副鼻腔」という空洞に炎症が起こる状態のことを指します。鼻づまりや鼻水が続いて止まらない、頭が重くなる、さらには顔面に痛みを感じることも。副鼻腔は頬の内部や目の周り、額の奥など、複数の部位に分かれて存在しており、この空洞に炎症が起こると膿のような分泌物がたまり、菌が繁殖しやすくなります。

虫歯による炎症は、副鼻腔のひとつである上顎洞まで広がることがあり、その結果副鼻腔炎を発症してしまう可能性もあるのです。

これらは早期に発見することで、症状が軽いうちに治療ができるため、まずは気になることがあれば医療機関を受診しましょう。

放置は禁物!早めの治療を

虫歯は単なる歯の問題にとどまらず、全身の健康にまで影響を及ぼしかねない重大な病気です。「少し痛いけど我慢すれば大丈夫」という考えはやめ、痛みや違和感を覚えたらすぐに医師に診てもらいましょう。

虫歯は、早期に発見し、適切な治療を受けることで多くのリスクを回避することができます。ぜひ歯の大切さや日頃のケアを見直し、健康を維持していきましょう。


監修者:まつむら⻭科クリニック 院⻑ 松村賢(まつむら・けん)

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「いつまでもおいしく食べる」をモットーに、2015(平成27)年に地元である宮城県大崎市に「まつむら歯科クリニック」を開院。歯周病治療などの予防歯科を中心とし、保険診療・審美歯科・ホワイトニング・インプラント・義歯(入れ歯)・摂食嚥下リハビリテーション・訪問診療など、幅広い診療を行っている。
<経歴>
奥羽大学⻭学部卒(医師免許取得)
東北大学大学院⻭学研究科博士課程修了(歯学博士)
仙台市内⻭科クリニック 分院⻑
まつむら⻭科クリニック開院