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医師「GW明けは特に注意」→ 実は『五月病』を引き起こす…意外な“4つのNG行動”とは?【医師が解説】

  • 2025.5.7
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

ゴールデンウィークが明けたこの時期、「なんだかやる気が出ない」「朝起きるのがつらい」「気分が沈みがち」――そんな体と心の不調を感じていませんか?それはもしかすると、いわゆる“五月病”の始まりかもしれません。
新年度からの環境の変化、長期休暇明けのギャップ、気温や気圧の変化など、5月は心身にとって大きな負担がかかりやすい時期。そのなかで知らず知らずのうちにとってしまう生活習慣が、不調を悪化させる引き金になることがあります。
本記事では、GW明けに特に注意すべき“五月病を悪化させるNG習慣”と、心と体を整えるために意識すべきポイントを解説します。

「五月病」は誰にでも起こりうる心身の適応障害

「五月病」とは医学的な診断名ではありませんが、一般的には環境の変化に心や体がついていかず、自律神経のバランスを崩してしまう状態を指します。
新社会人や新入生だけでなく、異動・転勤・転職・家庭環境の変化を経験した人などにも多く、主な症状としては以下のようなものが挙げられます。

  • 気分の落ち込み、やる気が出ない
  • 寝つきが悪い、朝起きられない
  • 食欲不振、胃の不調
  • 倦怠感、頭痛、肩こりなどの身体的不調
  • 集中力の低下、ミスの増加

これらの症状は、自律神経の乱れと深く関係しています。

人間が新しい環境の適応によるストレスで疲れを感じ始めるのは、新しいことを始めてから1〜2ヵ月以内といわれており、ちょうどGWの時期と重なるため、5月頃には心身の不調が現れやすいともいわれています。
特にGWのような長期休暇の後は、生活リズムが乱れたまま社会復帰することで、心身に大きなストレスがかかり、症状が表れやすくなるのです。

五月病を引き起こす“NG習慣”4選

以下に挙げる生活習慣は、気づかないうちに五月病のリスクを高めてしまう要因になります。思い当たる方は、早めに見直しを。

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

①休日モードのまま“夜更かし生活”を続けている
GW中に夜型の生活になったまま戻せていないと、体内時計が乱れて自律神経の切り替えがうまくいかなくなります。結果、朝のだるさや日中の眠気、集中力の低下を招きやすくなります。

②朝の光を浴びていない
朝の光は、体内時計をリセットし、睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌を止めるとともに、覚醒ホルモン「セロトニン」を活性化させる重要なスイッチです。メラトニンは抑制されてから14~16時間後に再び分泌され始め、分泌量が増えると深部体温が低下し眠くなります。これを逃すと、1日中ぼんやりとした気分が続きやすくなります。

③無理に“やる気を出そう”としている
気持ちが乗らないときに、「頑張らなきゃ」と自分を追い詰めると、逆にプレッシャーがかかり、心身の負荷が増してしまうことがあります。
特に五月病は“真面目な人・完璧主義の人”に多いとされており、自分を責めすぎない姿勢が予防につながります。

④スマホやSNSで他人と比べてしまう
休暇中の楽しそうな投稿や、周囲の順調そうな様子を見ることで、自分だけ取り残されたような気分になることがあります。
過剰な情報は“無意識のストレス源”となるため、デジタルデトックスやスマホ時間の見直しも有効です。

“立て直す意識”が、5月の心と体を守るカギに

5月は、暖かく過ごしやすい一方で、体調を崩しやすい“季節の落とし穴”とも言えます。
長期休暇の開放感から一転して日常に戻るギャップは大きく、それに伴う気分の落差や体調不良は、決して珍しいことではありません。

だからこそ、「いつも通りに戻れないのは自分だけじゃない」と知り、焦らず・無理せず・立て直す時間を取ることが大切です。

以下のような習慣を意識して、五月病の予防・改善に役立てましょう。

  • 毎日同じ時間に起き、朝の光をしっかり浴びる
  • 1日15〜30分の軽いウォーキングなど、体を動かす習慣をつける
  • 栄養バランスの取れた食事と、水分・睡眠の確保
  • やるべきことを細分化し、少しずつ達成感を得る工夫を
  • 気分が乗らない日は「休むこと」も前向きな選択ととらえる

不調が2週間以上続く場合や、日常生活に支障をきたすレベルであれば、心療内科や精神科などの専門機関への相談も視野に入れてください。
“頑張れない自分”を責めるのではなく、“立て直すこと”に目を向ける。
その意識が、これからの心身の安定と健康につながっていきます。


監修者:松澤 美愛(神谷町カリスメンタルクリニック院長 / Instagram

東京都出身。慶應義塾大学病院初期研修後、同病院精神・神経科に入局。精神科専門病院での外来・入院や救急、総合病院での外来やリエゾンなどを担当。国立病院、クリニック、障害者施設、企業なども含め形態も地域も様々なところで幅広く研修を積む。2024年東京都港区虎ノ門に「神谷町カリスメンタルクリニック」を開業、院長。

精神保健指定医/日本精神神経学会/日本ポジティブサイコロジー医学会