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『ONE PIECE』死してなお、なぜここまで影響を残すのか…?尾田先生が仕掛けた“存在しない存在感”の正体

  • 2025.6.21
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※Google Geminiにて作成(イメージ)

『ONE PIECE』では、“死んだキャラクターが再び登場する”という演出が、たびたび見られます。
その代表的なキャラクターが、“ロジャー”と“くいな”です。
今回は“まるで復活したかのように感じられる『ONE PIECE』の死者に与えられた使命”をご紹介します。
※この記事は111巻までのネタバレを含みます。

ロジャー

第1巻第1話の1ページ目で処刑されたロジャーですが、その後の物語では回想という形で何度も登場しています。

そんなロジャーは、シャンクスの記憶、白ひげの回想、ガープの発言、レイリーとの会話、そしてルフィが語った未だ明かされていない「夢の果て」など、多くのキャラクターの記憶の中に“ロジャーの声”が宿っているのです。

これは、『ONE PIECE』において“死”とは物語からの退場ではなく、“意志の継承”によって生き続けるということを示しています。

ロジャーは死をもって伝説となり、大海賊時代の幕開けをもたらしました。彼は、すべての海賊たちの原点とも言える存在なのです。

くいな

ゾロの過去回想にのみ登場する少女、それが“くいな”です。登場シーンはごく短いにもかかわらず、彼女の存在は読者の記憶に今も深く刻まれています。

それは、ゾロの戦いすべてにおいて、くいなの存在が根底にあるからです。ゾロが使う三本の刀のうち一本は、くいなの形見である“和道一文字”であり、ゾロが新たな敵と戦うたびに、彼女との約束が思い出されます。

勝てば「あいつにまた一歩近づいた」、負ければ「まだ、あいつに届かない」と。くいなはキャラクターとして再登場していないにもかかわらず、ゾロの戦いを通じて“常に読者の頭の中で復活し続けている”存在なのです。

本当の死とは?

これこそが尾田栄一郎先生の描く“復活の仕掛け”です。

死んだキャラクターを安易に再登場させるのではなく、“記憶の中でだけ完全に生き続けさせる”。これは、むしろ再登場させる以上に強い印象を残す手法です。ではなぜ、『ONE PIECE』ではこのような“記憶型復活”が多用されているのか?

それは、この作品が“意志の継承”をテーマにしているからに他なりません。

たとえば、ルフィが“シャンクスに助けられた日”と“麦わら帽子を託された日”を、忘れない限り、シャンクスはルフィの中でずっと生き続けています。また、サボが“エースの最期”の記憶と“メラメラの実”の能力を胸に、そして体に刻み続けている限り、サボはエースの拳として、世界政府を相手に革命軍として戦っているのです。

そしてゾロが“くいなの果たせなかった夢”、世界一の剣豪になるという夢を背負っている限り、くいなの思いも生き続けているのです。つまり、『ONE PIECE』における“復活”とは、死んでしまったキャラクターの意思を受け継ぎ、思いを繋いでいく事であり、その思いが語られた瞬間、死んだキャラクターも同時に“思い出される”のです。

それこそが尾田先生が仕掛けた“死んだキャラクターの最高の存在感”の演出なのかもしれません。だからこそ、ロジャーやくいなは今も語り継がれているのです。

彼らは画面に出てこなくても、セリフを発さなくても、“現役のキャラクター”と同じだけ物語に影響を与えているのです。これこそが尾田先生の真骨頂であり、“読者の記憶に残る設計”、そして最強の再登場演出なのかもしれません。

まとめ

今回は、まるで復活しているかのように感じられる『ONE PIECE』の死者に与えられた使命についてご紹介しました。

そう考えると、ロジャーやくいなは“もう一度登場する必要がない”キャラクターであり、むしろ“登場しないこと”こそが、最も強い再登場なのかもしれません。

他にも数多くのキャラクターたちの意志と、その継承の描写を振り返ってみるのも、きっと面白い発見につながるはずです。


※記事内の画像はイメージです。
※当記事は、投稿者の許諾をいただいた上で記事化しております。

出典:「ゆっくり考察クリーム」
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