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私のお店「メロディ グラフィック」、そしてカリグラフィーについてご紹介【夢見るパリ】

  • 2025.4.26

 

10年前に前オーナーから私たち夫婦が引き継いだ1986年創業の文房具店、「メロディ グラフィック」。
来年は創業40周年を迎えます。

「パリで一番美しいお店です」という言葉をお客様から一日に何度もいただけるようになったのはとても嬉しいことです。

 

私のお店「メロディ グラフィック」、そしてカリグラフィーについてご紹介【夢見るパリ】
出典 FUDGE.jp

メロディ グラフィックの店内の壁は世界中のお客様からのお手紙や有名なカリグラファーからの美しい文字で埋め尽くし、お客さまが皆さん興味深く眺めていらっしゃいます。棚上に飾ってあるのはコレクションしているインク瓶、レアなものばかりです。35年間に保管している試し書きノートもまたお店の中の装飾として置いていて、その中には有名な方のサインやアーティストのデッサンもさりげなく書かれています。

 

私のお店「メロディ グラフィック」、そしてカリグラフィーについてご紹介【夢見るパリ】
出典 FUDGE.jp

カリグラフィーのお道具、インク、革の手帳、カード、ノート、万年筆はこの10年間で徐々にバリエーションを増やし、私達が心惹かれる商品を中心に取り揃えています。

カリグラフィーを習われている方は、インクやお道具、紙など、自分のスタイルを探す冒険のような楽しさがあると思います。

 

私のお店「メロディ グラフィック」、そしてカリグラフィーについてご紹介【夢見るパリ】
出典 FUDGE.jp

2019年にはメロディ グラフィック2店舗目をオープンしました。
アンティークやオリジナルカード、シーリングワックス、シーリングスタンプ、温かみのある手作りの商品を作っています。

 

私のお店「メロディ グラフィック」、そしてカリグラフィーについてご紹介【夢見るパリ】
出典 FUDGE.jp

ヴィーナスの彫刻やアンティークの雑貨をウィンドウに置き、お店を丸ごと装飾。
パリにここだけ、という世界観を創り上げています。

 

私のお店「メロディ グラフィック」、そしてカリグラフィーについてご紹介【夢見るパリ】
出典 FUDGE.jp

お店の2階部分はカリグラフィーのアトリエにしていて、予約制でカリグラフィーのレッスンをしています。
パリに旅行中にレッスンを受けられる方やパリ在住で毎週レッスンを受けられる方もおられ、生徒さんの国籍も様々です。

アトリエの壁には古い版画や私の作品を飾り、蚤の市で集めたアンティークのインク瓶、アンティークタイル、香水瓶、クリップのコレクションを並べています。

 

レッスンはまず、30種類あるカリグラフィーの書体からお好きな書体を選んでいただいて、小文字、大文字、フレーズをお教えしていく流れです。
書体によって書く角度やペン先が変わりますので、最初に書くコツをお教えします。

人気のあるフランス書体(ロンド体、バタルド体、クゥレ体、ブリゼ体)。
ロンド体やバタルド体は読みやすく、パリのレストランやパン屋さんの看板で見つけることができます。クゥレ体は早書の流れるような線や大きなアラベスク(装飾のクルクル)が特徴です。ブリゼ体は昔はタイトルだけに使われていた書体です。

 

私のお店「メロディ グラフィック」、そしてカリグラフィーについてご紹介【夢見るパリ】
出典 FUDGE.jp

日本人なら書道をされた方は多いと思いますが、書道で使う筆とカリグラフィーで使う金属製のペン先とでは書き方が全く違います。
最初は真っ直ぐ線を引くのも難しく、書道と同じで1回で書けるようになるものではありませんが、ペン先に慣れてくると徐々に線の太さの強弱がコントロールできるようになっていきます。
書きながら静かに集中して自分と向き合う時間、自然と呼吸が整って気持ちが落ち着き「瞑想みたい」とおっしゃる生徒さんも少なくありません。

 

私のお店「メロディ グラフィック」、そしてカリグラフィーについてご紹介【夢見るパリ】
出典 FUDGE.jp

私がお店で宛名書きのお仕事をしていると、年配のお客さまが「私が子どもだった頃は学校の机にインク壺が設置されていて、毎日インクが足されて、あなたが今書いているようにインクを付けて書いていたわ」と話してくれます。

文字を書くのに6世紀ごろからガチョウの羽根ペンが使われていましたが、消耗の早い羽根ペンに替わって金属製のペン先が発明され世界に出回ったのは1850年ごろ。
1950年ごろからボールペンや万年筆が普及していったので、金属製のペン先が使われていたのは100年くらいの間でした。

現在のフランスの小学校ではノートを書くのに万年筆が使われ、残念ながらカリグラフィーの授業はありません。
以前の書き方を知らない現代のフランス人ですが、みんなカリグラフィーに興味を持ちます。

 

私のお店「メロディ グラフィック」、そしてカリグラフィーについてご紹介【夢見るパリ】
出典 FUDGE.jp

私がデザインしたデッサンカードやスタンプはお店で販売しています。
カリグラフィーのペンで描くデッサンも線の強弱が出て楽しい発見があると思います。

私はお店で招待状やお手紙代筆のお仕事も承っていますが、その場でメッセージを書いてほしいというお客様もいらっしゃいます。
カリグラファーがいてメッセージの代筆を依頼できる文房具店というのは世界的にも珍しいのではないでしょうか。

 

私のお店「メロディ グラフィック」、そしてカリグラフィーについてご紹介【夢見るパリ】
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パリまでレッスンに行けないという方でも、私は日本で年2回テーマを決めてワークショップを開催しています。

普段の文字がアートになる感覚。機械ではない、人の手の跡が残るやさしさ。
練習してコツがわかるようになってどんどん上達していく喜び。

カリグラフィーの楽しさって本当に奥深いので、それを体験していただけたら嬉しいです。

 

text:竹内 仁海

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出典 FUDGE.jp

パリ在住13年目。
イタリア人の夫とパリ4区にあるカリグラフィー専門店 “メロディ グラフィック”を経営する傍らカリグラファーとして活躍。結婚式やパーティ、パリコレの招待状や宛名書き、メッセージの代筆、ロゴ制作、フランス映画・コマーシャルの演出アイテムとしてカリグラフィーを担当。
パリから“暮らしの美学”をお届けします。

Instagram:@melodiesgraphiques

 

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